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- 「練習は試合のように、試合は練習のように」 カリスマコーチ・大西翔太と恩師・石井貢氏の対談には上達のヒントがたくさんあった
青木瀬令奈のコーチ兼キャディーとしてはもちろん、ティーチングプロとしても活躍する大西翔太。彼が心の師と仰ぐのが母校・水城高校ゴルフ部元監督で、現在は明秀学園日立高校のゴルフ部総監督を務める石井貢氏です。そんな2人に、どのような理念で選手を育ててきたのか語り合ってもらいました。
大西翔太のコーチとしての成功を予言
青木瀬令奈のコーチ兼キャディーとしてはもちろん、ティーチングプロとしてのレッスンにも定評がある大西翔太。彼が心の師と仰ぐのが、母校である水城高校でゴルフ部の監督を長年務め、現在は明秀学園日立高校のゴルフ部総監督を務める石井貢氏。
ともに、プロゴルファーからの信頼が厚いことで知られますが、どのような理念で選手を育ててきたのか語り合ってもらいました。

――大西翔太コーチがレッスンの道を選んだのは、母校である水城高校でゴルフ部の監督を長年務められた石井貢氏のアドバイスがあったからだとか?
大西翔太(以下大西) 高校の卒業間近に「翔太はコーチになったら必ず成功できるよ」といわれた時は、ビックリしたというか衝撃が走りましたね。自分の道は自分で決めるべきだと思うかもしれませんが、違うんです。石井監督は部員一人ひとりの性格から行動まで把握しているので言葉に重みがありますから。監督がそう感じたなら間違いないと素直に受け取れるんです。
石井貢(以下石井) 水城高校では全てのことを自分一人で行っていたので大変でしたが、そのぶん、部員のことを理解できたと思います。朝から晩まで部員たちを見て、職員室では担任の先生に授業などでの態度を聞いたりしていましたから。翔太は周囲の状況を理解できますし、空気を読める長所があります。他人の気持ちを分かるだけに、人を教えるコーチという職業は成功するなと思いました。
大西 当時はまだツアープロコーチの数も今ほど多くはありませんでしたが、監督に勧められたので、何の迷いもなくレッスンの道を選択できました。
石井 青木瀬令奈プロが9年連続シード権を獲得しているのも、翔太の力が大きいと思います。コーチとしては彼女の力を100%引き出していますが、キャディーとしてもパワーを与えているように感じます。暑ければ傘を差し出し、のどが渇いていると思ったら水を渡す。グリーンが見えなければ、見えるところまで走って確認しにいく。当たり前のことですが、人の気持ちが分かるから自然にできるんだなと思いますね。
大西 最近になって思うのが、当時監督にいわれていた「練習は試合のように、試合は練習のように」という言葉がより分かるようになったことですね。強いプロは練習を試合のようにやっているんです。試合にどう結びつけるかを考えながら練習していますし、その裏付けがあるから試合では練習以上の力を発揮するんだなと。
『勝つか負けるか』ではなく、『勝つか学ぶか』
――石井氏は水城高から数多くの男子プロを輩出していますが、明秀学園日立高の総監督に就任してからも多くの女子プロを誕生させています。女子を教える難しさはありますか?
石井 女子というよりも、水城高のように毎日部員を見ていないことが大変でしたね。週2、3回ほど練習に顔を出しましたが、生徒が何を考えているか分からないんです。なので、個人面談で考え方や性格などを把握するようにしました。どんなアドバイスをしても相手が吸収してくれないと意味がありませんからね。まずは、話を聞いてもらう状況をつくることが大変でした。
大西 コーチを始めて思うのが、力があるのにその力をどう出力したらいいのか分からない選手が多いことです。青木プロを教えたときも自分の力を出すやり方から取り組みましたし、その過程で選手と話し合うことは大切ですよね。

石井 高3で全米女子オープンに出場した小暮千広がいい例です。彼女は入部当時、関東大会にも進めなかったんです。スイングはいいし、技術はあるし、向上心も強い。練習ラウンドでは60台を出せるのに、試合では叩いてしまう。メンタルが弱かったんですよね。OBを叩くと、その日はもうダメだと思ってしまうんですよ。それで、「嫌なことをガマンしてやってみようよ」といったんです、学校の掃除を率先してやってみなさいと。意識的に嫌だなと思うことをすることによって、我慢することを覚えてもらうわけです。笑顔で掃除をできるようになってからは、試合でも結果を出せるようになりましたね。最後まで腐らずに頑張った人とそうでない人の差は大きいですよ。
大西 自分も選手やジュニアには技術の前に心のあり方が大切だと話しています。昨年、安田祐香選手がミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンで優勝しましたが、最終日の前日に電話をして、「明日は周りの選手が上がってくるかもとか考えず、自分が勝つんだという強い気持ちで戦ってきて」と伝えたんです。試合後、「おかげでネガティブにならず、ポジティブになれました」とお礼をいわれましたが、それも監督から高校時代に教えられたことをそのまま伝えただけなんです。当時の自分も「翔太ならできるよ」と背中を押されたことで勇気が出ましたからね。
石井 そういう気持ちにさせるのが私の仕事なんですよ(笑)。
大西 監督にいわれて印象に残っているのは、「勝つか負けるかではなく、勝か学ぶかなんだよ」ということばです。「学んで、学んで最後に勝てばいいんだよ」と。「学べばチャンスになり、勝つことにつながるよ」と。それも選手やジュニアに伝えていますが、自分たちは高校時代、知らぬ間にそういうマインドにしてもらっていたんですよね。おかげでコーチの仕事をするうえでかなり役立っています。
石井 翔太の高校時代はヤンヂャ坊主でしたが、そういう子の方が行動力に限界がないんです。今までどおり自分でいいと思うものにどんどん挑戦していってほしいですね。個性を出すのは難しいですが、個性を出せる人が上にいけますから。
大西 自分の原動力は監督なので、期待に応えられるように、今まで以上に行動していきたいと思います。
石井貢(いしい・みつぐ)
水城高校の教諭を務めながら、ゴルフ部監督に就任。ゴルフ未経験ながら独学でゴルフを学び、インストラクターの資格を持つ。同校を全国高校ゴルフ選手権大会の夏季大会で6度、春季大会で4度の優勝に導く。16年4月から明秀学園日立高校のゴルフ部総監督を務める。
大西翔太(おおにし・しょうた)
1992年生まれ。水城高校を卒業後、コーチングの道へ。15年から青木瀬令奈のコーチを務め、トーナメントではキャディバッグも担ぐ。18年にPGAティーチングプロA級資格取得。分かりやすいゴルフ理論には定評がある。今年からBS10『大西翔太のゴルフ大好キッズ』に出演中。メンタルトレーナー、整体師の資格も持つ。
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