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突然“借金1400億円”を背負わされたゴルフ場社長 “バブル後始末”描写が生々しすぎる! “1年で最も大事な日”に密着【小川朗 ゴルフ現場主義!】
栃木県で3ゴルフ場を運営する鹿沼グループ。中核の鹿沼カントリー倶楽部は名作漫画『風の大地』の舞台にもなった人気コースですが、実はバブル崩壊後に1400億円もの負債を抱え、法的整理を受けた過去があります。そんなゴルフ場グループを立て直した経営者の自伝が話題となっています。
2200万円の無人芝刈り機を2台購入、新卒採用にも積極的
その後も2011年の東日本大震災では60カ所の破損が見つかり、翌週から計画停電が始まって入場者数が激減するピンチにも直面。社員のマルチタスク化などで乗り切るも、2015年には集中豪雨により鹿沼72CCで大規模な崩壊箇所が25に及ぶ大ダメージを受けています。これも9ホールを閉鎖し36ホールの変則コースルートで営業を続けました。栃木県内の他の2コースからの応援もあり、1年で45ホール営業の再開にこぎつけています。

しかし2019年、長年稼ぎ頭だった富士御殿場ゴルフコースが預託金償還問題で200億の負債を抱え民事再生。PGMに売却され「御殿場東名ゴルフ倶楽部」名称変更。鹿沼グループはゴルフ場を一つ失うことになりました。1度目の民事再生が1260億円、2度目が200億円。1460億円もの負債を背負った男・福島氏でしたが、コロナ禍という大きな試練に直面すると「再生→成長」の路線へと舵を切ります。
DXの象徴ともいえる無人芝刈り機(1台約2200万円)を2台投入すると、そのオペレーションに20代の社員があたっていました。その社員の「こうした仕事は楽しいし、やりがいがあります」という声が示す通り、グループの新卒採用も好調。今年も10人の新卒入社が決まっており、この日は大卒・専門学校卒の7人が壇上に上がって抱負を述べました。
「コロナ禍の中でとても苦戦していまして、2023年から採用チームプラス福島(社長)で、様々なことに挑戦し始めました。そうした中、尚美学園大学・就職課と連携が進み、インターンシップを3日間実施しました。3名参加していただき、うち2名が今年の内定者に含まれています。また、オンライン面談も取り入れることで、他県の大学からのIターンも含まれるようになりました。内定者フォローも頻繁に実施し、先日、父母懇談会も開催しました。様々なことに挑戦して、ようやく10名の入社が実現しました」(広報担当)
DXだけでなく鹿沼72にはシミュレーター2台を設置したゴルフラウンジをクラブハウス内に新設したほか、地域の人々にコースを開放しての花火大会、キッズのピザコンテストなど新機軸を立て続けに実現しています。
驚かされるのは、波乱万丈の半生をドラマチックに描き切った著者・福島氏の筆力。こうした自叙伝にはゴーストライターが付くことが珍しくありませんが、328ページに及ぶ全編を福島氏自らが書き下ろしたのです。担当編集者もこの日登壇し、わずか1週間で増刷が決定したことを報告していました。
綱渡りを演じながら、大逆転でゴールに飛び込む薄氷の民事再生劇。それはゴルフ場が預託金償還問題に直面し、倒産ドミノが続く異常な世相を生きた経営者サイドからの、貴重なドキュメンタリーとしての史料価値も持っています。
「2025年問題」に伴う社員の高齢化や人材不足がゴルフ界を直撃している中、新企画を成功に導き、人材獲得も順調に進める鹿沼グループの勢いそのままに「全体研修会」は無事終了。満足気な笑みとともに家路を急ぐ社員たちを見送る福島社長にも、さらなる前進への意欲がみなぎっていました。
※鹿沼グループ
代表取締役社長 福島 範治
・運営ゴルフ場
鹿沼カントリー倶楽部(45ホール)
鹿沼72カントリークラブ(45ホール)
栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部(18ホール)
・東京オフィス/富士企画株式会社(会員権仲介)
・従業員数 327名(2023年3月現在)
・福島範治(ふくしま・のりはる)社長の略歴
1970年7月28日生まれ、東京都出身
青山学院大学 経営学部卒 (体育会ラグビー部所属)
(株)第一勧業銀行(現みずほ銀行)に入行5年目に鹿沼グループ総帥の父・文雄氏が倒れ、後継者として(株)鹿沼カントリー倶楽部に入社(1998年)。
翌年に代表取締役副社長就任、2004年に代表取締役を退任し執行役員副社長就任。2008年に代表取締役社長就任、現在に至る。
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