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突然“借金1400億円”を背負わされたゴルフ場社長 “バブル後始末”描写が生々しすぎる! “1年で最も大事な日”に密着【小川朗 ゴルフ現場主義!】
栃木県で3ゴルフ場を運営する鹿沼グループ。中核の鹿沼カントリー倶楽部は名作漫画『風の大地』の舞台にもなった人気コースですが、実はバブル崩壊後に1400億円もの負債を抱え、法的整理を受けた過去があります。そんなゴルフ場グループを立て直した経営者の自伝が話題となっています。
「56人」もの役員…従業員から浴びた「あーやまれ!あーやまれ!」コール
もしも突然1400億円の負債を背負ったら、あなたならどうしますか?
真っ先に浮かぶのが「自己破産」でしょうか。そんな人生最大のピンチから脱出し、次から次へと新企画を実現に移しているゴルフ場経営者がいます。栃木県で3ゴルフ場を運営している鹿沼グループを率いる福島範治社長です。その福島氏の「1年で最も大事な一日」に密着しました。

※ ※ ※
ステージ上で「1400億円を背負った男」は熱弁をふるっていました。
2025年2月25日。よく晴れた冬の朝、宇都宮駅前に降り立つと都心とは違う寒気がピーンと張りつめていました。
宇都宮駅から約2キロの市街地にあるホテル東日本宇都宮では、鹿沼グループ(※)にとって年に一度の大事な「全体研修会」が開催されていました。同ホテルのメインである大宴会場「大和」は、朝9時半だというのにすごい熱気。役員や正社員、嘱託社員、正キャディーなど3コースの全従業員209名に来賓19人を加えた228人が、ズラリと顔を揃えていました。

この日は朝9時半から、地元・鹿沼が生んだロンドン五輪卓球女子団体銀メダリスト・平野早矢香さんの講演会に始まり、昼食をはさんでグループの事例発表や個人・団体に対する表彰と続き、今年の経営方針発表まで一気に進むスケジュール。まずは平野さんが「昨日の自分より一歩前へ」と題した講演に登壇。卓球ファンならずとも興味をそそられる中身の濃い内容でした。それはまた、新機軸を打ち出し、それを実行し続ける鹿沼グループのスタッフに、響く内容であったようです。
午後からはグループの表彰などが続き、熱気とともに閉会へと向かいます。その最後に福島社長から壇上で明らかにされたのが、8日前の2月17日に発刊されたばかりの『負債1400億円を背負った男の逆転人生』(日経BP刊)についての詳細でした。
福島氏の著書は、序盤から息もつかせぬ展開が続きます。舞台となる鹿沼グループの従業員数は、ピーク時の1990年で約2000人。漫画『風の大地』の舞台となった鹿沼カントリー倶楽部などのゴルフ場4コースを核に、スキー場やリゾートホテル、「栃木新聞社」や「鹿沼盆栽公園」や会員制倶楽部、貿易会社や旅行会社まで手を広げ、関連企業は30社近く。隆盛を誇った企業グループの倒産劇が、経営者側の目線で生々しく描かれていきます。
時は日本に不良債権処理の嵐が吹き荒れていた1998年。体調を崩したオーナーに代わるリーダーとして、メインバンクの足利銀行が白羽の矢を立てたのが非嫡出子でメガバンク銀行マンの福島氏でした。しかし、家業を継ぐ決断をして乗り込んだ鹿沼グループにはなんと「56人」もの役員がいて、その多くが親族であり、中には「働いていない人もいた」。ほとんどが仕事中に雑誌や新聞を読んでいるような状況です。
危機感のまるでない東京・京橋の本社は、バブル崩壊に伴う不景気の大波に飲み込まれます。福島氏が入社した時には、すでに給料の遅配が始まっており、取引先への支払いも滞ります。メインバンク、サブバンクの両行から約450億円、それ以外の金融機関から約100億円の借り入れも判明。頭を下げて回る先々では不良債権先としてカメラの回る特別室で面談されることもありました。
整理回収機構(RCC)では特別回収室に入れられ、「お前」呼ばわりの恫喝に近い尋問も受け、悔し涙にくれる場面も出てきます。リストラに反発したキャディーたちからの「あーやまれ! あーやまれ!」という拍手とコール。まさに針のムシロの毎日です。精神に異常をきたしてもおかしくないような苦難の道が延々と続きます。
民事再生を選択し、明らかになった負債の総額は1260億円に及びました。債権者集会では、居並ぶ約1000人の債権者から罵声と怒号を浴びせられる中、謝罪。その後も福島氏個人を中傷誹謗する怪文書騒動が追い討ちをかけ、さらに総会屋や雑誌ゴロとのトラブルにも襲われます。
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