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- ヘッドスピードはそれほど変わらないはずなんだけど… 女子プロのスイングをアマチュアが再現できない理由とは?
男子だけでなく女子プロゴルファーも多くの選手が取り入れるようになった「フィジカルトレーニング」。そんな彼女たちのスイングを大人になってからゴルフを始めたアマチュアがマネするのは無謀なのでしょうか。
フィジカルトレーナーをつける選手が増えてきた
「JLPGA公式女子プロゴルフ選手名鑑2025」と「月刊ゴルフダイジェスト3月号増刊女子プロ選手名鑑2025」を読み比べていたところ、印象深い記述がありました。
前者はプロフィール欄に「師弟関係」という項目がありましたが、師匠の名前を回答していない選手が多数派でした。一方で、後者は「スイングコーチ」と「フィジカルトレーナー」を回答する項目がありましたが、こちらは多くの選手がコーチとトレーナーの名前を回答していました。
日本のプロゴルフ界は古くから若い選手がベテラン選手に指導を受ける「師弟関係」を構築するのが一般的でしたが、近年は欧米を中心に選手と対等の立場でスイングを指導するツアープロコーチが増えてきました。また、技術的なトレーニングだけでなく肉体を鍛えるフィジカルトレーニングを重視する選手も多くなってきました。

プロゴルファーは今でこそアスリート化が進みましたが、30年ほど前はフィジカルトレーニングをする選手はほとんどいませんでした。むしろ上半身の筋肉を鍛えるとスイングの邪魔になるといわれていました。したがって走り込みなどの下半身のトレーニングをする選手はいましたが、トレーニングマシンなどを使った上半身のトレーニングをする選手は皆無でした。
ところが1996年8月にタイガー・ウッズ選手が大学を中退して20歳でプロ転向し、PGAツアーでいきなり2勝を挙げ、1997年4月の「マスターズ」で史上最年少の21歳3カ月での初優勝を達成しました。
圧倒的な飛距離で2位に12打差をつけたウッズ選手の快進撃を目の当たりにした他の選手たちは、プロゴルファーも体を鍛えるとワンランク上のパフォーマンスを発揮できることを知り、多くの選手がフィジカルトレーニングに励むようになりました。
ウッズ選手を慕うロリー・マキロイ選手をはじめ、ダスティン・ジョンソン選手、ブルックス・ケプカ選手、ブライソン・デシャンボー選手らがハードなフィジカルトレーニングによって強靱(きょうじん)な肉体を手に入れ、メジャーチャンピオンの座に上り詰めました。
フィジカルトレーニングをしている選手のスイングはマネできない
日本のプロゴルフ界にフィジカルトレーニングの文化を持ち込んだのは丸山茂樹選手です。2000年にPGAツアーに参戦すると、周りの選手たちがウッズ選手の独走にストップをかけようと熱心にトレーニングに励んでいる姿を見て、自らも肉体改造に着手しました。日本にいたときはポッチャリ体型だった丸山選手がアメリカに行ってからスリムになったのを記憶しているゴルフファンもいるでしょう。
やがて男子ツアーのトレーニング文化が女子ツアーにも波及してきました。2003年9月に宮里藍選手が高校3年生でアマチュア優勝を達成し、女子プロゴルフブームが巻き起こりました。
宮里選手と同学年の横峯さくら選手、1学年下の上田桃子選手と諸見里しのぶ選手、2学年下の有村智恵選手、原江里菜選手、笠りつ子選手らが頭角を現し、女子プロ人気を高めていきました。
彼女たちは当初からプロ意識が高く、トレーナーと契約こそしていませんでしたが、フィジカルトレーニングに熱心に取り組んでいました。やがてフィジカルトレーナーたちも女子プロゴルファーの“伸びしろ”に注目するようになり、積極的に指導を行なうようになりました。
今の女子ツアーは若手選手が次々と台頭し、25歳で中堅、30歳でベテランと呼ばれるほど選手の入れ替わりが激しい世界です。アマチュア時代に身につけた技術だけでは太刀打ちできません。ツアーで戦いながらもスイングとフィジカルを磨き上げないと、第一線で活躍を続けるのは難しいのです。
彼女たちはツアーの合間の月曜日にフィジカルトレーナーの元に通い、毎週ハードなトレーニングを積んでいます。その姿を見ていると、彼女たちのスイングを見習いたくてもマネできるわけがないと思い知らされます。
大人になってからゴルフを始めたアマチュアは、自分ができる動きの中で最適なスイングを構築していくしかないのでしょう。
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