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- 【海外】スロープレー発端に“殴り合い”の乱闘勃発! なぜゴルファーは他人の行動にそこまで怒るのか?/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
「ゴルフはスポーツか? それともレジャーか?」――600万人ともいわれるゴルファーのなかでは見解はさまざまだと思いますが、あなたはどう考えますか? ゴルフを筆頭に、平成~令和の日本を縦横無尽に遊び尽くしてきたコラムニストの木村和久氏が、浅いのか深いのかよく分からないこの問いを考察していきます。
「プレーが遅い」「月曜の夜だぜ、何を急いでいるんだ」でゴング
先日、カナダのゴルフ場でスロープレーに激怒したゲストが前方組を注意をしたところ、双方殴り合いの喧嘩に発展したそうです。

しかも、その一部始終をほかのゲストがスマホで録画しており、それが拡散して日本に届いたからびっくり仰天、ネットのつながりってスゴイですね。
その殴り合い動画を見ると、まず「プレーが遅い」と後方のおやじ客がクレームを言います。すると前方のスロープレーヤーが「月曜の夜だぜ、何を急いでいるんだ」と横柄に答え、そこから口論となります。文句を言ってる方が、相手の肩付近を小突く。そこからエスカレートしてパンチの応酬となりました。
結果、文句を言われた側に機敏な人がいて、次々と殴って倒していく。最後はグダグダになって終わり、何事もなかったかのように解散しました。
誰かがクラブでも振り回すのかと思いましたが、そこはしない。やはり武器を持つと収拾がつかなくなると分っているようです。
日本でもスロープレー問題は炎上しがちです。“明日は我が身”と思うでしょう。実はこれに近いような出来事を、30年ぐらい前に体験しています。
休日の伊豆でゴルフをした時、大混雑で毎ホール待たされました。フェアウェイのど真ん中で、前の組が空くのを待ってた時、同伴者のビギナーが時間を持て余し素振りをしました。そのとき、何気に「肩突っ込み過ぎですよ」と軽くアドバイスをしました。
そのホールは何事もなく終えたけど、次のホールで、突如後ろの組の夫婦がやって来て「お前らプレー中のレッスン行為は禁止だぞ」って大声で怒鳴るわけ。しかもこっちの同伴者が打つ瞬間にですよ。今度はその友達が激怒して「打つんだから黙ってろ! その方がマナー違反だろ」と怒鳴り返し、双方罵り合いの大喧嘩。
結局、プレー中のレッスン行為は、文句を言うきっかけに過ぎなかっただけで、全体的に遅いことにピリピリし激怒した模様。
その場所がちょうど高台だったので、この組が遅いわけじゃなく、全体的にすべて渋滞していると説明して、はるか先の渋滞まで見せます。
けど、相手は振り上げた拳を下ろすタイミングを逸して、「それにしてもレッスンはないよ」などとグダグダ文句を言ってきます。
こちら側にはコースのメンバーもいて、そこまで言うなら「どうぞ先に打ってください」と、相手のカートを先に追いやったのです。
今度はこっちが相手をせっつく番になり、相手は打ったら速攻で走り、追い立てられることに。なんだかな~、ですよ。メンバー曰く、ここは休日いつもこんな感じなのに、あいつらは何も知らないよそ者だ、困ったもんだとぼやいていました。
文句は迷ったら、言わない。本当に頭にきたときは迷う前に言ってる
というわけで、現在の日本の状況ですが、過去に何度も前の組のスロープレーで、イライラしたことがあります。直接言うと問題が生じますので、マーシャルにクレームを言うしかありません。
ポイントは、満遍なく渋滞しているか、その組だけ遅いかの判断です。その組だけ遅い場合でも、電磁誘導式カートだと追い抜くことは難しく、マーシャルが確認して、午後に順番を変えてもらうことが多いです。
しかし、最近は安い料金にしてお客さんを詰め込むコースが多く、慢性的に渋滞している光景がよく見られます。
値段の安さに負けて、渋滞は覚悟の上でラウンドしている感じでしょうか。つまりゴルフ場に飼い馴らされているんですかね。
待つのに慣れてしまうと、大阪万博の行列も苦にならないのが一つの成果かな……。
日本の場合、問題が起きやすいのはスロープレーよりも、目立つアクションをした場合ですかね。ボールを一人で何球も打つとか。打ち込んできたのに謝ってこない。突然茂みから現れて、フェアウェイを歩くやつ。ティーショットを打とうとしたとき、後方から乗用カートが轟音とともに近づき、大声でしゃべるとかね。
そういう直接的迷惑が多いです。ただ、普通の場合は注意すれば「気をつけます」「すみません」とかで終わりでしょう。
スロープレーだって、グリーンでパットを打ち終えたら、クラブを拾って小走りに去る。それだけで遅れていることを気にかけていると分かりますから。
結局、文句を言うか言わないか迷ったら、言わない方が良いです。本当に文句を言いたいときには、気づいたらすでに言ってしまっているものですから。
最後に、昔、真夏の朝4時半スタートのアーリーバードをラウンドして、文句を言おうか言うまいか悩んだ話をしましょう。
それは「朝イチのスタートだと、どれぐらいの時間で終われるか?」みたいな、雑誌の企画でのラウンドでした。
さあ、スタートだと思ったら、目の前に1組いるじゃん。話が違うんだけど。なんでも急に入ってきた客がいて、コース側からすみませんって言われたら、こっちは我慢するしかないです。
けど、その組がすごく遅くて、しかもさほどうまくない。何度クレームを出そうか迷ったことか。「早くして下さい」いや「先に行っていいですか?」かな。セリフまで考えて、あれやこれやブーブー言いながら、結局文句を言うタイミングを逃してプレー終了。
そして靴を洗っていたら、前の組の男が一人、のそのそとこっちに来るじゃないですか。
小さい声で「遅いんだよ」と悪口を言ってたのがバレたのか。ヤバイ、どうしようと思って心臓バクバクに。そしたら、「木村さん、おはようございます」って名前を呼んでくるし。顔を見たら、よく通っているキャバクラの社長だった。店の営業終わりでそのまま来たんだと。
ねっ、だから言ったでしょ。文句を言うか悩んだら言うなってね。危うく知り合いと喧嘩になるところでした。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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