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- 「その選択は“非現実的”だから救済はNO」と一蹴されたショットを成功させたファウラーに全米喝采! 物議醸した競技委員の判断とは?
PGAツアー競技「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」でのこと。最終日に崩れたものの久々に優勝争いに顔を出したリッキー・ファウラーが、選択できると考えた「動かせない障害物」からの救済がツアーのルールオフィシャルに認められず、タフなショットを強いられるシーンがありました。
意図するショットのスタンスがカート道路にかかるので救済を要請
先週のPGAツアー競技「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」でのこと。最終日に崩れたものの久々に優勝争いに顔を出したリッキー・ファウラーが、選択できると考えた「動かせない障害物」からの救済がツアーのルールオフィシャルに認められず、タフなショットを強いられるシーンがありました。そのオフィシャルの判断はすぐにメディアやファンの間で物議を醸すことになりました。このトラブルの内容を振り返ってみましょう。

ファウラーにトラブルが生じたのは「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」第1ラウンドの14番パー4。彼のティーショットは大きく右にプッシュアウト。ボールは木立の間を抜け、アウトオブバウンズ(OB)を定める金網製のフェンスに近接、1インチ(約2.5センチ)ほど手前のラフの中に止まっていました。
“ボールの1インチ先に金属フェンス”! 一般アマチュアであればそこからのショットは、はなから「無理」と諦めるところでしょう。
でも、そのフェンスは「白杭」と同様、OBの「境界物」ですから無罰の救済はありません。あるがまま打つのが無理なら、1罰打で「アンプレヤブル」とするしかありません。
しかし、ファウラーはその状況から低い弾道のフックで、左前方の木立の間を通して、フェアウェイ方向に打ち出すショットを狙うことにしました。
すると、その場合、スタンスが手前のカート道路にかかるので、彼は「動かせない障害物」からの無罰の救済を受けられると考え、それをルールオフィシャルに要請します。
しかし、そのオフィシャルはファウラーが意図するショットは「非現実的」と判断。カート道路からの救済を認めませんでした。
R&A発行の『ゴルフ規則のオフィシャルガイド』の「16.1a(3)/2――プレーヤーは状態からの救済を受けるために明らかに不合理なストロークを用いることはできない」に、次のような解説が記載されています。
「プレーヤーは異常なコース状態からの救済を受けるために明らかに不合理なストロークを用いることはできない。そのプレーヤーのストロークが与えられた状況に明らかに不合理な場合、規則16.1に基づく救済は認められず、そのプレーヤーはその球をあるがままにプレーするか、アンプレヤブルの球の救済を受けなければならない」
つまり、「非現実的」なショットの選択では、「動かせない障害物」からの救済は受けられないということ。
でも、ファウラーは「たとえ救済が認められなくても、僕はそのショットをする」として、「非現実的」ではないことを主張します。
意図するショットはリスクが高く合理的な選択ではないと判断
そこでオフィシャルはセカンドオピニオンを求め、もう一人のルールオフィシャルを呼んだのですが、ボールのすぐ下にフェンスの土台(=境界物の一部)があるようなので、やはりファウラーが意図するショットは非現実的、合理的な選択ではないと判断。
そして、ファウラーに「もしここにカート道路がなくても(つまり、救済を受けられる状況でなくても)、あなたはそのスタンスをとって、そのショットをしますか?」と質問。
それに対してファウラーは「他の選択肢はあまり良いものと思えないから、そうするでしょう」と返答。
「そうです。他の選択肢というのは、1罰打でアンプレヤブルにすることで、それがあなたの選択肢です」とオフィシャル。
しかし、ファウラーは納得しません。
「つまり、このまま打つしか選択肢はないということですね」
「選択肢はある。でも、それは無罰の救済ではありません。正直、フェンスが近すぎます。ここにカート道路がなかったら、あなたはそのショットを選択するとは思えません。ボールとフェンスが近いこと。そして、プレーの方向を考えると、リスクが高すぎて現実的ではありません」として、オフィシャルはファウラーに、救済を受けずにそのまま打つか、アンプレヤブルにするかの選択を迫りました。
もちろんファウラーは前者を選択。そして、実際に放たれた一打は見事に木々の間を抜け、フェアウェイ手前のラフまで飛んだのでした。
その場を離れ際、ファウラーはこう言い放ちました。
「フェンスにも触れなかったよ」
つまり、すべてがファウラーの狙い通り、オフィシャルに言った通りのショットになったのです。
ならば、救済は認められるべきだったのでは? いや、それは結果論? この問題はすぐにSNSで大きな話題となり、関係者やメディア、ファンの間で議論が巻き起こりました。
ある中継のアナウンサーは「もはやどうすることもできないが、オフィシャルが『君がやろうとすることは合理的な選択ではない』と言ったショットを彼はやってのけた」と、オフィシャルの判断を批判。これに多くの評論家が続き、オフィシャルの決定を「不条理」として、判断の甘さと論理性の欠如を指摘しています。
ただし、この件についてファウラー本人は何らコメントを発表していません。
プレーヤーにとっての「合理的な選択」――ときに、リスク覚悟の選択――と、ルールオフィシャルが考える「合理的な選択」の食い違い。現場では、とても難しい問題なのかもしれません。
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