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- 韓国は弱くなったのか、それとも日本が伸びたのか 女子ゴルフ勢力図を数字で再検証【韓国女子ゴルフの現在地】
日本躍進で語られる“日韓逆転”。だが世界ランク層やLPGA通算219勝の実績を見ると韓国の土台は健在だ。失速か構造転換か、女子ゴルフ勢力図をデータで再検証する。
女子ゴルフの勢力図を語るうえで、象徴的な一戦となったのが昨年の国別対抗戦「ハンファ・ライフプラス・インターナショナルクラウン」だ。開催国の韓国はプール最終戦で日本と対戦し、勝てば突破が見える状況で1分1敗。準決勝進出を逃した。
試合内容は拮抗していた。コ・ジンヨン&ユ・ヘラン組は竹田麗央&古江彩佳組と引き分けた一方、主将のキム・ヒョージュ&チェ・ヘジン組は山下美夢有&西郷真央組に終盤で追いつかれ、18番のバーディーチャンスを決めきれず逆転を許した。
韓国メディアには感情的に報じるものもあったが、重要なのはこの敗戦が「単発の結果」ではなく、近年続く潮流の延長線上にある点だ。韓国側にも、日本の台頭を“現実”として認める論調が増えている。(文・キム・ミョンウ)
韓国が嘆く「逆転」は本当か

一部の韓国メディアは、日本の近年の米女子ツアーでの成績を根拠に「日韓逆転」と表現した。実際、2025年シーズンは山下美夢有や西郷真央ら日本勢がメジャーを含む勝利で存在感を増し、「勢い」という面では最も目立つ国になったのは間違いない。
ただし、“逆転”という言葉が妥当かどうかは慎重に見る必要がある。競技力の国力は1年単位の勢いだけでなく、「世界ランキングにおける層」「LPGAでの通算勝利」「メジャー勝利の蓄積」といった複数の尺度で測るべきだからだ。
2026年1月19日時点の世界ランキング50位以内の人数は韓国13人、日本9人。層の厚さという観点では韓国が上回る局面もある。つまり短期的に「日本が強い」ことと、中長期的に「韓国が弱体化した」ことは必ずしも同義ではない。
LPGA通算219勝――韓国女子ゴルフの“土台”は崩れていない
さらに重要なのは、「世界の実績」というもう一つの事実である。韓国人選手はLPGAツアーで通算219勝。メジャーでも通算34勝(17選手)を挙げている。これは単なる数字ではなく、韓国女子ゴルフが30年規模で築いてきた支配力の証明でもある。
韓国女子ゴルフのLPGA初勝利は1988年の具玉姫(ク・オッキ)。潮目を変えたのは1998年の全米女子オープンを制した朴セリで、そこから国内のゴルフブームに火がついた。韓国では100勝目は2012年のパク・インビ、200勝目は2021年10月のコ・ジンヨンと報じられている。
近年は「失速」と言われながらも、昨季韓国選手は6勝を挙げている(キム・アリム、キム・ヒョージュ、ユ・ヘラン、イム・ジンヒ&イ・ソミ、ファン・ユミン、キム・セヨン ※ペアマッチを含むため優勝者は7人)。韓国は完全な下降線というより、一定の回復力を保ちながら戦っていると見るのが妥当だ。
メジャーに関しても、直近の優勝は2024年のエイミー・ヤン。2025年はメジャー制覇こそなかったが、韓国はパク・インビ(7勝)、朴セリ(5勝)、チョン・インジ(3勝)ら「複数回勝てる選手」を継続的に輩出してきた歴史がある。
敗戦の意味は「韓国の終わり」ではない
では、インターナショナルクラウンでの敗戦は何を意味するのか。それは韓国の終焉ではない。むしろ、日本が勢いを「一時的な好調」ではなく、構造として獲得し始めたと見るべきだろう。
一方で、これまで韓国が“世界の中心であること”を前提にしてきたがゆえに、少しの変化が大きく見える側面もある。ユ・ヘランも「世界の女子ゴルフのレベルは標準化している。勝つのは簡単ではない」と語っていた。現役選手の実感として重い言葉だ。
つまり、米女子ツアーにおける韓国の選手層はいまだ厚く、世界実績も圧倒的である。
ただ、国別対抗戦で勝負を分ける局面での「1メートル」のパットが空気を変えたように、いまはもはや、どの国の選手が勝っても不思議ではない時代に入っている。
韓国が“危機”と捉えるべきなのは敗戦そのものではなく、韓国が最も得意としてきた「世界に挑む文化」が、国内の充実によって鈍り始めた点だろう。
そして日本は、その逆を行く。いま女子ゴルフ界で起きているのは「日韓逆転」という単純化ではなく、日本の伸長と韓国の構造転換が同時に進む“拮抗の時代”だと言えそうだ。
キム・ミョンウ
1977年生まれ、大阪府出身の在日コリアン3世。新聞記者として社会・スポーツ取材など幅広い分野を担当。その後、編集プロダクションを経てフリーに転身。2010年、サッカー北朝鮮代表の南アフリカW杯出場決定後、日本メディアとして初めて平壌で代表チームを取材し、『Number』に寄稿。2011年から女子プロゴルフの取材も開始し、日韓の女子プロとも親交を深める。現在は女子ゴルフとサッカー、アスリートインタビューなどを中心に雑誌やWEB媒体に寄稿。著書に「イ・ボミ 愛される力」(光文社)。
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