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コラム

抗がん剤で味覚障害のなか味わった大好物のフカヒレ ジャンボ尾崎“最後の日々”を長男・智春さん明かす【小川朗 ゴルフ現場主義!】

2026.02.04 小川 朗(日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
小川朗 ゴルフ現場主義! 尾崎将司

2月3日に都内で行われた日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)の新年会に出席したジャンボこと尾崎将司さんの長男・智春さんが、父の最後の日々を明かしました。

日本ゴルフジャーナリスト協会の新年会で闘病生活を振り返る

 昨年12月23日にS字結腸がんのため78歳で亡くなったジャンボこと尾崎将司さんが最後にきちんと味わうことのできた食事は、大好物だったフカヒレでした。2月3日に都内で行われた日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)の新年会に出席したジャンボの長男・智春さんが明らかにしました。

 日本最多の113(ツアー通算94)勝、賞金王12回など偉業を達成したジャンボのゴルフジャーナリズムへの多大な貢献をたたえ、JGJAから特別賞が贈られたもの。表彰式で代理として記念の盾を受け取った智春さんから明かされたのが1年に及ぶ過酷な抗がん剤治療でした。

「2024年の9月にステージ4の末期がんで、何も(治療を)しなければ余命3カ月であることを告げられたんです。親父は結構冷静に聞いていて『このまんまでいいや』と言っていましたが『助かる可能性もあるから』と言われて『じゃあラストチャンスだ』と抗がん剤治療を10月から始めたんです」

 10月に約1カ月入院したあとは自宅療養を選択。千葉市内の自宅から新宿の病院まで2週間に1回通院。9時に始まり4時間に及ぶ治療により「手足のしびれや乾燥による体のかゆみ」のほか、味覚の喪失という副作用が出たと言います。

父・尾崎将司さんの最後の日々を明かす長男・智春さん
父・尾崎将司さんの最後の日々を明かす長男・智春さん

 ジャンボといえば、ゴルフ界屈指の美食家としても知られました。名古屋遠征の帰りにはかならずひつまぶしを3人前購入し、うなぎだけを食べるというのは有名な話。これにフカヒレと北京ダックを加えたのが3大好物。「それらを『腹いっぱいになるくらい食いたい』っていつも言ってましたけど、(抗がん剤の治療中は)僕がうなぎを持っていっても、やっぱり『あんまり味がない』って言っていました」。

 甘味だけは少し感じられたため、ほとんど果物しか食べられない日々が続く中、智春さんは漢方薬探しに奔走します。幸いにも効く薬が見つかり「これを飲むと味がするんだ」と笑顔を見せていたそうです。

 9月に故郷・徳島にある先祖代々の墓の隣に建てた墓が完成。「『誰が行っても、ジャンボ尾崎だと分かる墓を作りたい』と語り、五重塔のような形で真ん中がゴルフボールになっている」。墓標には本名ではなく「ジャンボ尾崎」が刻まれたものになったそうです。その写真を智春さんが見せると「これで俺も安心していける」とつぶやいたそうです。

「いずれこの抗がん剤が効かなくなくなるので、別の抗がん剤に変える」と医師から告げられていたことが、治療開始1年後の昨年10月に現実のものとなります。「だんだん効かなくなって、がんが大きくなってきている」と告げられたのですが、「ラストチャンスだと言われて(最初の抗がん剤を服用した)たし『副作用がつらいし、俺はもう、これでいい』と言って」薬を変えての治療を拒否します。その結果、副作用が消え、一時的に体調は好転します。

「11月頃は(体の)調子が何度も良くなって、カートに乗ってアカデミーの生徒のプレーを見たりしていました」

「大谷(翔平)君のおかげで1年間楽しく過ごせた」

 しかし、その後、がんは進行していきます。

「目には見えないけれども、だんだん調子が悪くなってきたなっていうのも分かったんです。先生からは『年越しは大丈夫』って言われていたんですが、12月の初旬にはすごく体調が悪くなってきて、亡くなる1週間ぐらい前までやっと口を聞けるような状態だったんで、思ったより早いなって感じでしたね。やっぱり」

亡き父に代わり、尾崎将司さんに贈られたJGJA特別賞を受け取る長男・智春さん(右は筆者)
亡き父に代わり、尾崎将司さんに贈られたJGJA特別賞を受け取る長男・智春さん(右は筆者)

「池羽陽向ちゃんというアカデミーの子がプロテストに合格して、会って話をした数日後、年間女王が決まった(佐久間)朱莉ちゃんが会ったのが選手としては最後。細胞の活性化が多分人よりも早くて、すごく進行が早かったっていうイメージです」

「(亡くなる2日前の)21日に(次弟)健夫プロ、(末弟)直道プロ、飯合(肇)プロの3人が来て、朝からずっと話をしてました。でも、その時にはもうほとんど喋れず、目を開けてただ聞いているぐらいでした」

 闘病生活の中で救いとなったのが、大谷翔平が活躍する大リーグ中継。

「最後は野球でしたね。ほとんどゴルフの試合を見ずに、(闘病生活の)1年間は大谷君でした。大谷君のおかげで1年間楽しく過ごせて、最後の最後にあんな素晴らしい試合を見ることができて、悔いはなかったはずです」。通院時に被っていたのは、ドジャースのキャップ。弟子の原英莉花からもらった米国土産だったそうです。

 親子の最後の対話を智春さんはこう振り返りました。

「いろんな言葉を話したけど、最後に言ったのは『もう少しだから大丈夫だ』。僕にはそれが『もう少しだから大丈夫』っていう(言葉通りの)意味なのか、『もう天国に行く準備ができた』という意味なのかは……分かりません」

 最後に味わったのは、大好物のフカヒレだったそうです。

「最後にフカヒレを持っていった時は、一人で食べましたよ。おいしそうに食べて、『ちょっと食いすぎたなー』みたいなこと言っていましたけど、あれが最後でしたね」

 5日には郷里・徳島でジャンボ自ら建てたお墓への納骨式が行われます。

取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。

【写真】「ジャンボさんが一番うれしそう!」 原英莉花、佐久間朱莉、小林夢果が駆けつけた誕生日会 実際の投稿
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