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ゴルフ県代表コーチが自己破産を選択するまで―14冊の取材ノートから― 【小川朗 ゴルフ現場主義!】
「無料でホームページが作れる」という甘い誘いは、やがて1600万円の負債へと変わった。ティーチングプロの女性が巻き込まれたのは、被害総額46億円規模ともいわれる契約トラブル。崩れた日常と再出発までを追う。
「ようやく周りの景色が見えるところに来られたかな」
それが現実となるのは、2017年2月のことだ。「九州の様子がおかしくなっているらしい」とのうわさが耳に入って間もなく、不安が現実のものとなる。のちのゴルフスタジアム被害者の会代表から「広告掲載料(の支払い)が止まるかもしれない」という連絡が入るのだ。
不安は的中した。2015年に契約後、必ず引き落とし前に入っていた12万円余が、2月分の支払いからピタリと止まった。
九州から始まった騒動は、一気に広がった。入金が止まったのに、DVDのローン支払い請求は止まらない。レッスンプロたちはそれが自分たちの負債となったことに初めて気づく。篠田も同様だ。この時点で800万円あまりの残金がある。毎月25万円程度の収入から12万円が差し引かれるとあっては、生活が困窮することは目に見えていた。
そんな時、救いとなったのが全国で立ち上がった「ゴルフスタジアム被害者の会」だ。代表も決まり、4月30日に都内で設立集会が開かれる。その場でこの事件の被害者が1000人を超え、被害額がおよそ46億円にも及ぶことが明らかになるのだ。
西村國彦弁護士を代表とする弁護団も結成され、支払い凍結の措置などが取られることとなる。「ドキドキするような不安もなくなった」篠田は、地域を代表する世話人にもなり、積極的に被害者の会の運営もサポートするようになっていく。
しかし、篠田を結果的にだますことになった営業マンたちは姿を消し、ゴルフスタジアムそのものが実態をなくす。そこで弁護団はDVDのローンの与信を通した信販会社に対し、債務不存在の訴えを起こした。
そこからは、裁判や債権者集会などのたびに地元から東京に出てきて参加した。地域で活動している会員たちとのつなぎ役を担っているという責任感もあった。
それから8年。裁判は大詰めを迎えた。800万円の負債を抱える篠田に信販会社側から和解案も提示されたが、篠田に支払うことは、とうていできない金額だった。もはや判決まで突っ込んでいくしかない状況だが、負ければ5年間支払いを止めていた期間の遅延損害金が上乗せされることも確実だった。
結果として、篠田は和解に応じることにした。しかし、その後、支払いは困難となり、目の前にはローン残金と遅延損害金……。ちょうど倍の1600万円の支払いが残されていた。到底払える額ではない。篠田は複数の弁護士からのアドバイスを受け、法テラスに足を運び地元の弁護士を紹介された。
そこで出された答えは、裁判所から「借金の支払い義務を免除(免責)」してもらうことで再出発を図るための法的手段である自己破産。ブラックリストに載りローンが組めない、クレジットカードが作れない、などの不都合はあるものの、1600万円の債務はゼロになった。
その後、篠田はリゾート施設内の託児所に職を得て、今はすがすがしい表情で毎日を送っている。「もともとやりたかった職業に戻ったことになりますね。少し時間はかかるでしょうが、いずれはレッスンの仕事にも戻りたい」。まだ50代なかばの篠田は、今や被害者の中でも一番の「希望に満ちた日常」を送っているように見える。
最後にこう締めくくった。「今はマイナスだった生活からようやくゼロに戻り、ようやく周りの景色が見えるところに来られたかなと思います」。(文中敬称略)
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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