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- 飛ばないボール導入で“おじさんのゴルフ”に何が起きる? “低反発”でも結局飛んでるけど…/木村和久『ゴルフ=レジャー宣言』
2030年からプロもアマチュアも今より飛ばないボールを使わなくてはいけないそうです。ゴルフは飛ばないと面白くないという人も少なくないなか、普通のおじさんには酷い仕打ちのようにも思えますが、実際に導入されたら、どうなっていくのでしょうか。
飛距離減はプロで約10ヤード、アマチュアで約5ヤード程度
先だってR&AおよびUSGAが飛ばないゴルフボール導入をプロアマともに2030年とすると発表して話題になりました。
これは昨今ツアープロを中心として飛距離が伸び、コースを延伸させたりレイアウトを改造する作業に莫大な費用がかかるのを防ぐためだそうです。つまりゴルフコースの距離を伸ばすくらいなら、ボールを飛ばなくすれば良いという考えです。

飛ばないボール導入にあたって、予測される飛距離減はプロで約10ヤード、アマチュアで約5ヤード程度と言われています。飛ばないアマチュア、特におじさん世代にとっては、結構な痛手になりかねないかも。
というわけで、飛ばないボール導入に向けて、今後どうなるのか考察したいと思います。
1)過去の例を参考にする
実は以前も同様なルール改正が起き、その時も何かと問題になりました。それは2008年にゴルフクラブに起きた反発規制「SLE(Spring Like Effect)ルール」です。現在われわれが使っているドライバーは、ほとんどがその規制に沿って作られたSLEルール適合製品です。
当時はクラブ競技に参加していたので、すぐさまSLEルール適合のクラブを購入しました。
予測ではユーザーの買い替えサイクルの3~5年ぐらいまで混在状態が続くと思われましたが、実際はクラブの切り替えが早かったのです。
これは規制開始の2008年当時は、まだ多くのアマチュアゴルファーがニギリをやっていた時代です。だから、同じ土俵で戦うべきだという考えが一般的で、支持されたのだと思います。
誰かに「あいつは違反クラブを持っている、ズルい野郎だ」と言われたくなかったんでしょうね。
2)飛ばないクラブ導入の結果
そして驚くべきは、飛ばないSLEルール適合クラブを使っているにもかかわらず、飛距離が伸び出したのです。
PGAツアーのドライバー平均飛距離を見ると、2003年が285ヤードなのに、SLEルール開始5年後の2013年には287ヤードと微増。そして2022年が299ヤードなので、現状300ヤードヒッターがゴロゴロいる状態になっていました。
これは反発係数以外のスピン量やヘッドスピード、シャフト、スイートスポットの拡大など、メーカーのたゆまぬ努力が実を結び、プロの身体能力向上もあいまった結果のようです。
そのトータルで飛ぶ技術はアマチュアのクラブにも反映されています。SLEルール適用後、飛ばないと言っていた連中も、2~3年目からは、結構飛ぶと話題になりましたもの。
3)ボール規制の考え方と本音
クラブのSLE規制は実現までに足かけ10年くらい下準備をしてやっと漕ぎ着けました。今回の飛ばないボールも、実は2028年にエリートレベル(プロやトップアマ)だけ、先に施行する案もありましたが、プロだけだと混乱を招くので、一律にやろうと2030年に実施予定となりました。
これはR&A、及びUSGAが掲げるワンゲーム哲学の遂行です。つまりプロもアマも同じクラブ、ボールを使い、同じルールでプレーするということです。
個人的には綺麗事を言ってる気もしますけどね。本音を言えば、用具の認可でメーカーやゴルファーを規制しているようにも見えます。
以前、日本のクラブメーカーが規制ギリギリみたいな謳い文句で新しいドライバーを売り出したら、R&Aの逆鱗に触れ、ルール不適合となって修正を余儀なくされたことがあります。
結局メーカーはR&A及びUSGAの認可という、錦の御旗がないと賊軍になってしまい、商売あがったりになるんですよね。
つまり、本音を言えば、クラブやボールは買い替え需要という大きなビジネスチャンスがあり、業界もそれに乗っているのです。
日本のゴルフの用具マーケットは約3000億円(メーカー売上高ベース)、その10%弱がボール購入費だそうです。
そのボールが2030年を機に全部取り替えになる予定ですから、かなりの販売額が予想されます。
4)今後予想される動き
2030年直前には飛ぶボール在庫一掃セールで、ボールが一時的に安くなる可能性はありますよね。そして2030年は空前のニューボール購入ブームか?
ただ違反ボールかどうかを判断するのは非常に難しいので、ゴルフクラブの規制のように、スムーズに移行するとは思いません。
高反発ドライバーは打った時の音が明らかに違うので、同伴者が気づきます。ボールはアマチュアがロゴを見ても、瞬時に判別つかないでしょう。
だからメーカーが示し合わせて、ボールに新ルール適合のマークを付けるとかね。そういうことをやるのか拝見したいです。
メーカー側としては飛距離で劣る分を、スピン性能や打感などで補い、気づいたらそこそこスコアがまとまるボールに仕上げるんじゃないですか。
ただ気になるのは、新しくゴルフを始めた若い層の動きです。彼らは気ままに独自の世界観でゴルフをしているので、ボールの規制には無関心かも。
しかもニギリはせず、競技もほとんど参加しないし、コンペも新ペリアがだから、ボールは何でも良いと思っているはず。そうなると若者は最後の飛ぶボールだとばかりに、激安ボールの爆買いに走ったりして。
2030年は飛ばないボールと飛ぶボールの使用が混在し、世代間で分断が起きる可能性もなきしもあらずですね。
文/木村和久
1959年生まれ、宮城県出身。株式投資から大衆文化まで、さまざまなジャンルで“現代”を切り取るコラムニスト。有名ゴルフ媒体へも長く寄稿してきており、スイング理論やゴルフ場設計にも造詣が深い。近年はマンガ原作者としても活躍。
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