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【独自】JGA加盟年会費の値上げにゴルフ場最大手が突き付けた“申し入れ” 業界を代表して表明した危機感とは?
JGAによる年会費の大幅値上げに、国内最大の運営グループであるアコーディア・ゴルフとPGMが異例の反対申し入れを行いました。背景にはJGAの説明不足や各地区連盟やゴルフ場の実情を顧みない一方的な動きへの不満があるようです。
18ホールのゴルフ場で26万円から36万円に値上げ
アコーディア・ゴルフ(172コース保有=国内最多)とPGM(149コース保有=国内2位)の2大ブランドが、年会費アップを通達してきた日本のゴルフの総本山である日本ゴルフ協会(JGA)に対して、反対の申し入れを行っていたことが明らかになりました。
2024年12月に発表された経営統合により2ブランド合わせて321コースと、日本国内のゴルフ場運営で圧倒的なシェアを持つ巨大グループから受けた異例の申し入れとあって、JGAの対応もこれまた異例。担当者が本社に出向き、両社のトップに事情説明を行う事態に発展しています。各地区のゴルフ団体、ゴルフ場からも反対の声が相次ぐ今回の値上げ措置。不満の発生源までさかのぼっていくと、JGAの性急な措置と説明不足が浮かび上がってきました。

ここにA4判2ページの「2026年度(公財)日本ゴルフ協会正会員年会費の改定及びJGAゴルフ普及・振興協力金について」とタイトルが付けられた文書があります。宛て先はJGAの加盟倶楽部で、差出人はJGAの池谷正成会長。書かれている内容は昨年12月18日に開催された臨時理事会で承認された年会費の改定案が承認されたということでした。
9ホールのコースで14万円から18万円、18ホールは26万円から36万円、36ホールは34万円から44万円、36ホール以上のコースは40万円から50万円という大幅な値上げです。その理由として書かれているのが、ここ数年続いているJGAの赤字経営。コストの見直しや削減に取り組んだものの、昨今の物価高や人件費の高騰のため、自助努力だけでは運営を維持することが難しくなったと説明しています。
JGA、そこまでピンチなのでしょうか。苦しい台所事情を山中博史専務執行役はこう明かします。
「ナショナルチームの活性化もあり、ジュニアの普及振興もあって年々やることが多くなってきています。一方で諸物価や人件費の高騰もありながら円はどんどん安くなり、経費は上がっていますから、JGAの自助努力だけでは限界にきているんです。もはや待ったなしの状況なので、33年間据え置きにしてきた年会費の一部を、加盟倶楽部の方に少し負担いただきたい。これからも自助努力はするし、皆さんにより喜んでいただけるような協会の活動をしていくので、なんとかご理解くださいという話なんです」
そもそも日本のゴルフ場のうち、JGAに加盟しているのは2026年3月31日の時点で1459カ所。昨年3月31日時点で日本のゴルフ場の数は2145(日本ゴルフ場経営者協会=NGK調べ)ですから、全コースの7割程度です。必ずしも加盟しなければならないわけではありませんが、「コースレートが欲しい、ハンディキャップが欲しい、というのがゴルフ場が連盟に加盟する最大の理由です。ハンディキャップは世界共通になっていますから。ここはJGAの管轄で、そのお手伝いを地区連盟がしている形。そういう意味では地区連盟とJGAはイコールの関係という見方もできます」(地区連盟関係者)。
その加盟ゴルフ倶楽部からJGAに返ってきたのが、今回の通達に対する厳しい反応でした。特に反発を招く原因となったのが、文書が出されたタイミングです。書面に明記されていた発送日は2026年1月19日。添付資料の末尾には、改定実施年度が2026年度年会費より、とも記されていました。
JGAの正会員は、全国8地区(北海道、東北、関東、中部、関西、中国、四国、九州)の連盟に加盟している倶楽部が対象となりますが、問題はそれぞれの地区によって年会費の徴収方法がまちまちであること。
例えば九州ゴルフ連盟(GUK)。現在加盟している192倶楽部(準会員1)から10万円(準会員は5万円)の年会費と、入場者から一律25円(準会員は13円)の協力金も徴収しています。ちなみに24年の10月1日から1年間の入場者数は約870万人。1915万円の年会費と約2億1700万円の収入の中から、JGAへの九州地区分の年会費である5196万円を納入する形を取っています。
中国ゴルフ連盟(CGU)は5県99倶楽部が加盟していますが、入場者負担金という名目で、九州と同額の25円を徴収しています。昨年は約419万人の来場者数だったので約1億475万円。CGUの場合、33年前にJGAの年会費が6万円増額された際に、差額分を連盟が負担することを決めて払い続けてきました。18ホールのゴルフ場は通常26万円のところ、20万円をJGAの会費分として支払えばよかったわけです。そこに突然届いた10万円の値上げ。やすやすと受け入れられないのも無理からぬところです。
CGUは会費の徴収を半期に区切り、JGAの会費も10万円ずつ前後期に分けて支払う仕組み。1月からの前期分はすでに請求書を発送しているため、今年の増額分は間に合っていません。
「理事会としてきちんとした決議を取られている以上はそれに従わざるを得ないという状況はあると思いますので、後期分に増額分を合わせた分で請求するということになろうかと思います。この辺りについては支配人会で説明をさせてもらっています」(CGU関係者)。とはいえ「(JGA)理事会で(改定案に)反対を表明」していることもあり、JGAの動向を見ながら様子見の姿勢を崩していません。
逆に98倶楽部が加盟している北海道ゴルフ連盟(HGA)の場合は、冬季期間中連続して3カ月以上コースを閉鎖しているため、年会費は他の連盟の半額。そのため上乗せされる金額も半額の5万円で、JGAからの通達が営業再開前ということで、他の地区連盟に比べ混乱は少なかった様子が伝わってきました。
しかし、8地区のうち1都10県の500倶楽部弱が加盟する最大組織である関東ゴルフ連盟(KGA)の場合となると、そうはいきません。しかも中国や九州とは違ってJGAとKGAの年会費を分けて請求し、JGAには「お預かり金として」(関係者)代行する形で納入しています。
ゴルフ場の苦境に対する具体策がないままの負担増には賛同できない
その負担額はゴルフ場にとって決して少ない額ではありません。
18ホールのゴルフ場が支払う年会費は、KGAに32万円で、JGAにも26万円で計58万円。27ホールだとKGA42万円に対しJGAは34万円で76万円。36ホールとなるとKGA52万円とJGA40万円が合算され92万円。今回の10万円が加算されると、102万円と3桁の大台に乗ることになります。KGAはさらに27年度から振興金という形で一口2万円以上を徴収していくことも決めています。
もう一つ問題があります。KGAの会計年度は1月から12月まで。すでに26年度分の請求書は例年通り1月の初旬から中旬までに発送していました。各ゴルフ場にはKGAから前年と同額の請求書が届いたのと前後する形で値上げの通知が届いたわけです。これがまた新たな混乱を呼ぶ原因になっているのです。
前出の山中氏も各地区連盟の徴収方法が同じでないことによる難しさを痛いほど認識しています。
「地区連盟もJGAの会費として取っているところもあれば、ゴルファーから1人いくらでもらって、そこから捻出してJGAに送っている地区連盟もある。だから、ゴルフ場によってはJGAの年会費を知らないところもあるんです。地区連盟に渡して、その中からJGA分として払っている地区連盟もあるのでバラバラですね」
さらに問題なのが、今回の時間のなさ。「地区連盟の方が一番気にしているのは、時間がない中でパッと決まってしまったので、地区連盟としてはゴルフ場に対して説明して議論する時間もない。それで一番反対されたんですよ」(山中氏)。
加盟ゴルフ場から受ける批判の矢面に立つのは各地区の連盟です。それに対する配慮がないことへの不満は、まだまだくすぶり続けています。九州ゴルフ連盟の公式HPでは3月17日の通常総会の席上における年会費増額問題に対する中尾和毅理事長のコメントを次のように掲載しています。
「先日のJGA理事会に対し関西・中部を除く6地区のゴルフ連盟の連名で反対の文書を提出し、動議として取り上げて審議してもらうよう依頼しましたが、反対多数で取り上げてもらえず非常に残念で憤りを隠せません」
そうしたなか、年会費の値上げにハッキリと反対の意向を文書でJGAに伝えたのが、国内最大の運営グループを形成するアコーディア・ゴルフとPGMでした。「当社グループは、JGAの役割やゴルフ振興の必要性自体を否定するものではありません」と前置きしながらも、こう続けています。
「一方で、現在のゴルフ場業界は、インフレ、人件費・資材費の上昇、人手不足、若年層・初心者・女性の参入不足、交通アクセスの課題など、重大な構造課題に直面しています。このような状況において、JGAには、業界全体の持続的成長に資する具体的な改革と政策提言を進める役割を担っていただく必要があると考えています。こうした具体策や、負担増の必要性、使途、成果目標、執行体制等が十分に示されないまま、会費増額や新たな協力金導入によって現場に追加負担を求めることには賛同できません」
コメントは「なお、本件は、抗議文ではなく、業界全体の将来を踏まえた建設的な要望として申し入れを行っているものです」と締めくくられていました。抗議ではなく、建設的な要望。そうは言っても、その内容からはアコーディアとPGMという日本の二大大手運営会社が共有している強い思いが伝わってきます。
その文言もかなり強烈なものと言っていいでしょう。特に「具体策や、負担増の必要性、使途、成果目標、執行体制等が十分に示されないまま、会費増額や新たな協力金導入によって現場に追加負担を求めることには賛同できません」という一節は、JGAの説明不足と安易な方策をきっぱりと否定し、再考を促しているものと解釈できます。
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