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韓国代表のエースが「日本アマ」で圧勝! なぜ男子も強くなった? 日本をよく知る仕掛け人の監督を直撃 【小川朗 ゴルフ現場主義!】
日本のアマチュア競技最高峰の舞台「日本アマチュアゴルフ選手権」で2位に5打差をつけて優勝したキム・ミンス。圧勝劇の陰には日本をよく知る監督の存在がありました。
監督のキム・ヒョンテは2000年代に日本ツアーで活躍
韓国のアマチュアランキング第1位でナショナルチームのエース、キム・ミンス(以下ミンス)による日本アマで圧勝劇の裏に「日本の芝を知り尽くした男」の存在がありました。
「第110回 日本アマチュアゴルフ選手権 Presented by カープレミア」は3日、三重県の四日市カンツリー倶楽部で最終ラウンドが行われ、3打リードの単独首位でスタートしたミンスが最終日も69をマーク。2位に5打差をつける17アンダーで圧勝しました。

3打差・単独首位スタートの前半で2バーディーを奪って独走態勢を固めると、10番でもバーディー。18歳のミンスは「内心、緊張感でいっぱいだった」というものの、守りどころは慎重すぎるまでに慎重で、4日間を通してボギーは2日目の3番で叩いた一つのみ。攻めどころとみれば300ヤードを越えるドライバーショットなどで大胆に攻め、4ラウンドトータルで1イーグル16バーディーと、攻守のメリハリが利いたコースマネジメントで難コース四日市を攻略しました。
7打差6位から追い上げた藤井太己(佐賀クラシックGC)、連覇を狙った佐藤快斗(東北福祉大学)、グラファイトデザイン日本アマチュアゴルフランキング1位の長﨑大星(勇志国際高校)らが付け入るスキはまったくなし。2008年のキム・ビオ以来、18年ぶりの韓国勢の優勝となりました。
それを支えたのが、日本のコースを知り尽くした韓国ナショナルチームの監督でした。2000年代から国内男子ツアーを見ていたゴルフファンならH・T・キムという名をご記憶の方も多いはず。本名はキム・ヒョンテ(金亨泰=以下ヒョンテ監督)です。
2003年のチャレンジツアー(現ACNツアー)から日本に参戦し、いきなり開幕戦の「PRGR CUP関東」で優勝。07年にはわずか20万円差でシードを逃す苦しみを味わいながらも、09年から3年連続シードを獲得した実力者です。14年のミズノオープンでは3位に入り、4人までに与えられる全英オープン出場権をゲットした経験もあります。
「日本ではスイングのスピードを落としてスピンがかからないように」
そんな“日本の芝を知り尽くした男”がミンスにアドバイスしたのは、長年自分がプレーして知り尽くしている、韓国とは違う日本の芝での戦い方。「日本のコースと韓国のコースが一番違うのは、フェアウェイから打った時のスピン量が、日本のコースでは多くなってしまうこと。韓国では2バウンドでピタっと止まるけど、日本は2バウンドしてから(バックスピンで)10メートルくらい戻ってしまう。韓国の芝は葉っぱが大きいのでスピン量が少ないんです。僕も最初に日本に来た時は、結構苦しみました。それでなくても、今の子たちは300ヤード以上飛んでいないと普通じゃない。ミンスもナショナルチームでは1、2を争う飛ばし屋だから、ウェッジで狙うことになる。54度とか58度で打つと、ボールがみんな戻ってしまっていた」(ヒョンテ監督)
そこでヒョンテ監督が教え込んだのが、スピンコントロールの方法。「韓国では上からバーンと打ち込んで、フィニッシュまで振り抜いていく。だけど、日本ではスイングのスピードを落として、スピンがかからないようにしました」。

そしてもう一つ、昨年のデータを生かしての、ミンス本人による作戦変更もありました。「去年のこの大会は8位だったけど、バーディー数を自分でチェックし直したら優勝者と僕とバーディー数はあまり変わらない。でもボギーが結構多かった(15ボギー、1ダブルボギー)。日本のゴルフ場はボギーを減らした方がいい成績になる。ボギーの回数を少なくすることに、去年からずっと集中して練習していました。今年はショットの感覚も良く、グリーン周りも去年よりも良くなってきていました」(ミンス)。
そんなミンスたちに対するヒョンテ監督の指導方針は「走れ走れ」。
「僕が監督に就任する前はトレーニングをそんなにしていなかった。選手の親が協会に電話して『なんでゴルフがダメなのにトレーニングするんですか?』とか『俺の息子はトレーニングしたら、ゴルフがダメになってしまう』とか。でも世界レベルの選手を作るためには、トレーニングがなかったらもうダメなんですよ。大事です。メジャーの試合に行って世界レベルの選手を見てみると、みんなトレーニングしていました。だから今の選手には『世界に必要な選手を選ぶことができるようになるためだ』と説明しました」
「最初にナショナルチーム入ってきたときと比べると、ヘッドスピードが10から15(mph=4.5~6.7m/s)くらい違うんですよ。20~30ヤードくらいは飛んでるから。僕たちがツアーを戦っていた時とは距離が全然違うんです。50ヤード違うから。それはナショナルチームで例えばウェイトとか、いろいろなトレーニングの結果です。個人のコーチと個人のトレーナー、ナショナルチームのコーチとトレーナーがちゃんと話ししながら、今の韓国のチームの育成をしています。だから数年前とは全然変わってきています。トレーニングの時は僕が超怖いんですって(笑)。『怖くて嫌い』って言うんだけど、自分の経験で選手たちのレベルが上がるようにしていますから、彼らも理解しています」と、現状についてヒョンテ監督は話しています。
出場権得た日本オープン優勝からマスターズ出場狙う
気になるミンスの進路ですが、ヒョンテ監督は「今は高校3年生だから、プロには今年終わったら転向できるんだけど、まだ決まらなくて」と言ってから、こう続けました。「韓国ツアーにもたまに推薦で出ています。韓国オープンはアジアンツアーとの共同開催だからレベルは結構高くて予選を通るのも結構大変だけど、去年が3位で今年も4位。今はアマチュアの立場ですから、アジアパシフィックアマチュア(10月29日~11月1日、ニュージーランド、テ・アライ・リンクス)に勝ってマスターズへ行くこと。でも僕とミンスの目標はアマチュアの時にプロの試合で優勝して、それから転向するのが一番です。いずれはPGAツアーに行きたいんだと思います。普通に世界を目指しています」。
25年に「韓国アマ」を2連覇し、「台湾アマ」も制覇し、ついには日本アマでも圧勝したミンス。日韓台というアジア3大ナショナルアマの優勝で、次なる目標はこの優勝で出場権を得た日本オープン(10月15~18日、滋賀県・タラオカントリークラブ西コース)。アジアパシフィックアマと同じく優勝すればマスターズ切符をゲットできる日本の最高峰タイトルに照準を合わせています。
その後開催されるのがアジアパシフィックアマ。キムと同様にマスターズを目指す長﨑大星ら日本勢にとっても、強力なライバルとして立ちはだかってくることは間違いなさそうです。(小川朗/日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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