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- 倒木撤去に2億5000万円!? ゴルフ場が抱える異常気象リスク
猛暑や豪雨が当たり前になった今、ゴルフ場経営は大きな転換点を迎えています。来場者の減少だけでなく、芝や設備への深刻な被害も増える中、気候変動がゴルフ場にもたらす現実を関係者の証言から探りました。
“豪雨”と“猛暑”がゴルフ場経営に大きなリスクとなっている
ゴルフ場はホテルや飲食店と同じように、多くの利用者を受け入れる「ハコモノビジネス」の一種です。ただ、大きく違うのは、自然環境の影響を強く受けることです。
ホテルであれば、雨が降っても室内で過ごせます。飲食店は天気が悪ければ客足が鈍るかもしれませんが、営業そのものが難しくなるわけではありません。
一方、ゴルフ場は屋外施設です。雨が降ればキャンセルが続出しますし、最近は天気予報の精度も上がりましたから、「この日は雨が降りそうです」と予報が出た段階でキャンセルが増えます。
ひと昔前は、「ゴルフは雨でもやるスポーツ」という考え方が一般的でした。しかし近年は事情が変わってきました。ゴルファーの高齢化が進み、本人はプレーするつもりでも、家族から「こんな天気の日に行かなくてもいいでしょう」と止められるケースもあります。

さらに、雨の降り方そのものも変化しています。以前は弱い雨がしとしと降るのが梅雨でした。しかし今年は6月初旬から台風が日本列島を襲いました。そうなると、「多少の雨ならプレーする」というレベルでは済まなくなります。
加えて、夏場は猛暑によって来場者数が減少しています。ゴルフ場経営のリスクは、10年前、20年前と比べて増えているのでしょうか。ゴルフ場関係者に聞いてみました。
「それはもう、間違いなく増えていますよね。ゴルフ場にとって最も深刻なのは、猛暑によるゴルファーの減少と、芝生の健康被害です。毎年のように、あちこちのゴルフ場で『グリーンがやられた』という話は聞きますよね」
グリーンはコース内で最も繊細に管理するエリアですから、「ゴルフ場の顔」とも呼ばれます。そのホールのスコアが決まる最終地点であり、コンディションによってプレーの満足度も大きく変わります。
「うちのゴルフ場も、平均気温が4~5年前と比べて3度くらい上がっています。3度上がると、グリーンにとっては致命傷に近いような温度になります」
芝生は生き物です。気温が高くなれば、水分の蒸発量が増え、病害も発生しやすくなります。人間が暑さで体力を奪われるのと同じように、芝生も高温によって大きなダメージを受けています。
キャンセルだけでなくコース損傷のリスクもある
そして、もう一つの大きなリスクがゲリラ豪雨や台風です。関係者のゴルフ場では、コースの法面(のりめん)が崩れ、復旧に5000万円を要したそうです。
ゴルファーの感覚では、雨の影響というと「キャンセルが増える」程度のことを想像しがちです。しかし現場では、コースそのものが損傷するリスクと隣り合わせになっています。2019年の台風被害について印象的な話がありました。
「あのときは千葉県のゴルフ場で木が倒れる被害が相次ぎました。あるゴルフ場では木を片付けるのに2億5000万円くらいかかったそうです」
18ホールのゴルフ場の年間売上高が4~5億円と言われていますから、その約半分が一気に吹き飛ぶことになります。さらに関係者は、設備面の問題も指摘します。
「今のゴルフ場は、開場して30年以上のところがほとんどですから、排水管が詰まっているとか、潰れているとか、結構いっぱいあると思うんですよね。それを1個1個補修する余裕のあるゴルフ場なんて、本当に少ないですよ」
ゴルフ場の多くは高度経済成長期からバブル期にかけて建設されました。そのため、排水設備などのインフラが老朽化している施設も少なくありません。本来であれば計画的な補修が望ましいのでしょう。しかし、すべてを更新するには莫大な費用がかかります。
気候変動による自然災害リスクと、設備の老朽化リスク。この二つが同時に進行しているのが、現在のゴルフ場経営です。
ただ、世界に目を向ければ、日本よりも暑い地域や寒い地域、あるいはスコールのような強い雨が日常的に発生する地域でも、多くの人がゴルフを楽しんでいます。
そう考えると、日本のゴルフ場も「昔のほうがよかった」と振り返るだけではなく、今の気候条件に合わせて対応を変えていくしかないのでしょう。
文・保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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