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アジア大会代表にプロゴルファー初選出も“男子のみ”の謎… 地元開催なのに女子プロ派遣見送りの裏事情【小川朗 ゴルフ現場主義!】
4年に一度のアジア競技大会で、初めてプロゴルファーが日本代表候補に選ばれました。一方で女子は、日本女子オープンとの日程重複という事情からアマチュアのみの編成に。“ドリームチーム”が組めなかった裏事情とは?
アジア大会と日程をずらした週に新規大会が入った男子ツアー
4年に一度のサイクルで開催されているアジア競技大会ゴルフ競技のTEAM JAPAN候補選手に、初めてプロゴルファーが選出されました。日本ゴルフ協会(JGA)が6日に発表したもので、7月中に予定されているJOC(日本オリンピック委員会)の承認・発表をもって、正式に「TEAM JAPAN」(日本代表選手)に認定されることになります。
日本勢にとっては3度目の自国開催となる第20回大会のゴルフ競技は9月30日から10月3日まで、愛知県・春日井CC東Cがその舞台となります。日本代表の候補選手は男女6人。各日18ホール、4日間72ホールのストロークプレーで個人戦と団体戦を行います。団体戦は各日、男女とも3名中上位2名のスコア合計をその日のチームスコアとし、4日間の合計スコアで順位を決定します。
男子はプロとして初めての代表となる中島啓太と比嘉一貴、さらにアマチュアの本大志(アリゾナ大2年)の3人が選ばれました。中島は日本男子が団体戦Vを飾った2018年のインドネシア・ジャカルタ大会でアマチュアながら日本男子20年ぶりとなる個人戦金メダルにも輝いています。

アジア大会には以前からプロゴルファーが参戦していました。韓国などは金メダル獲得なら兵役が免除される特例が与えられるという理由もあります。前回の中国・杭州大会(23年)では実際に韓国が金メダルを獲得。イム・ソンジェとキム・シウー(ともに韓国)の兵役が免除されています。
最強の布陣を敷くことができる韓国に比べ、これまで日本からはアマチュアしか選出されないことに疑問の声が上がっていました。
今回、ようやくライバル国と戦える陣容が整ってきたとも言えますが、実は一つ、ここで当初の思惑とは違う事態が起きていたのです。
同じ愛知県内の三好CC西コースで1970年から開催されている「バンテリン東海クラシック」は昨年が10月2~5日、一昨年は9月26~29日と、まさにアジア大会と同時期に行われていました。しかし、今年はアジア大会とバッティングするため、約1カ月開催を遅らせ、10月29日に大会初日を迎えるスケジュールへと変更されています。これもプロのスケジュール調整にはプラスに働くはずでした。
ところが、アジア大会まで3カ月を切った7月7日になって、国内男子ツアーに新たな試合が加わることが発表されました。アジア大会と同週の10月1~4日に静岡県・グランフィールズCCで行われる「ドラッグストア・コスモスカップ」です。

このあたりの事情を、会見に出席した倉本昌弘副会長はこう説明します。
「まず(この期間に)アジア大会があるということは我々も存じていまして、JGAの山中(博史氏=専務執行役)さんとはアジア大会についてさまざま話をしていたところであります。また、以前からアジア大会と(バンテリン)東海クラシックが同週で同地区ということなので、(他の週に)動かすことを前提に我々の日程を調整している中、この週が空き週になるということで『男子はこの週、選手を派遣できますか?』という問い合わせがありました」
「そこで我々としては『派遣については拒否するものではない』と(バンテリン東海クラシックを移動させて)オープンウイークにしてしまったので『それはどうぞ』とJGAさんと話して、比嘉君と中島君でほぼほぼ決まったと聞いております」
「それから今回の件(新規大会)については(アジア大会開催の愛知県とは)隣の静岡県で開催するということをアジア大会の組織委員会に伝えていただいて開催に至ったというのが経緯であります。中島君と比嘉君、特に比嘉君については親しいものですから『どうする? 試合が決まったけど、こっち(ドラッグストア・コスモスカップ)に出る?』って言ったら『イヤ、JGAさんとお話をしてるので、向こうに出ます』ということでした」
日本女子オープン出場を諦めざるを得なかった長澤愛羅
一方、女子はいずれもアマチュアが選出されています。発表前日の5日に決着がずれ込んだ「資生堂・JALレディス」で7人プレーオフを戦って2位の長澤愛羅(日本ウェルネススポーツ大1年)のほか、後藤あい(松蔭高3年)、 新地真美夏 (ネットの大学managara1年)の3人です。
実はアジア大会と同週にJGAが主催する女子最高峰のトーナメントである「日本女子オープン」(10月1~4日、兵庫県・宝塚GC旧C)が開催されます。この試合は6月16~19日に開催された「日本女子アマチュアゴルフ選手権 Presented by カープレミア」の優勝者に出場権が与えらますが、この大会で優勝したのが他ならぬ長澤でした。長澤はその前にアジア大会を選んでいたということです。
対して女子プロたちは優勝すれば3年シードも付いてくるナショナルオープン出場を選択したため、女子は地元開催でありながら最強の布陣を敷くことはできなかったというわけです。プロゴルファーは個人事業主。試合の選択については選手自身の選択となるため、日本女子オープン出場を決めたら、誰にも覆すことはできない、ということになります。
アジア大会ゴルフ競技は日本女子オープン翌週のはずだった
実は日本女子オープンとアジア大会がバッティングしたのにも、特殊な事情がありました。
「もともと日本女子オープンはアジア大会の前の週(の開催)だったんです。しかしアジア大会側から『プレジデンツカップがある』と言う理由で一週後ろに持ってこられちゃった。(それで日本女子オープンと同週開催になってしまい)『それだと僕ら協力できないですよ』って話をしてたんですけど、これはもうしょうがない。ただ、アジア大会は我々もJOC(日本オリンピック協会)も関係している試合なんで、選手は出さなければならない。そのためアマチュアの選手たちにアジア大会でプレーしてもらうという状況になってしまった」(JGA・山中博史専務執行役)
プレジデンツカップは9月24~27日にメダイナCCコースNo.3(米イリノイ州)で開催されます。男子の大会であるこの大会が、結果的に女子の代表選考に影響を与えてしまったことになります。この大会はライダーカップ(米欧対抗)と交互に行われているアメリカと世界選抜チーム(欧州を除く)が激突する対抗戦ですので、アジア大会に出場する45の国と地域の選手には関係してくるわけです。
出場枠(ポイント上位6人、キャプテン推薦6人)を争う先週までのポイントランキングでは、1位にキム・シウー(韓国)、2位に松山英樹、9位に久常涼、10位にトム・キム(韓国)、14位にイム・ソンジェ(韓国)がいます。
様々な事情が絡み合っての日本代表決定劇だったわけです。いずれにせよ、日本勢には地元の声援と地の利を生かし、思い切って男女同時優勝にチャレンジしてほしいもの。そのためにも日本のゴルフ界が一体になって、代表6人をバックアップすることが重要になるはずです。(小川朗/日本ゴルフジャーナリスト協会会長)
取材・文/小川朗
日本ゴルフジャーナリスト協会会長。東京スポーツ新聞社「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女メジャーなど通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。東京運動記者クラブ会友。新聞、雑誌、ネットメディアに幅広く寄稿。(一社)終活カウンセラー協会の終活認定講師、終活ジャーナリストとしての顔も持つ。日本自殺予防学会会員。(株)清流舎代表取締役。
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