コロナ禍でプロもセルフプレー増加 優勝者が気づかせたゴルフの奥深さ

コロナ禍のなか、プロツアーで増加するセルフプレー。通常より3本少ない11本のクラブを担いで「ミズノオープン」を優勝した、フィリピンのジュビック・パグンサンが気づかせたゴルフの奥深さとは。

◆国内男子プロゴルフ<~全英への道~ミズノオープン 5月27日~30日 岡山・JFE瀬戸内海ゴルフ倶楽部 7349ヤード・パー72>

バッグを担いでプレーしたパグンサンが“厳選の11本”で優勝

 11本のクラブが入ったバッグを背中に担いでグリーンを笑顔で横切る優勝者、ジュビック・パグンサン。トップレベルのプロツアーでは比較的珍しいシーンが、2021年の日本男子ツアー「~全英への道~ミズノオープン」で見られました。

電動カートを使うとグリーンを横切れない

 プロツアー競技の多くではプレーのペースを一定に保つなどの理由から、キャディーを必ずつけなければならないという規定があります。

 少なくとも、日本、アメリカのトップツアーは男女ともにそうなっていたのですが、コロナ禍で事態は一変しました。感染リスクを減らして試合を行う方策として、セルフプレーを認めるツアーが出てきたからです。

 パグンサンがプレーした日本の男子ツアーもその一つ。新型コロナ対策特別規定により、セルフプレーを認める場合があるということになりました。

電動カートイメージ 写真:AC

 その結果、2021年に行われた7試合(6月1日現在)のうち3試合で、キャディーのいないセルフプレーの選手が優勝しています。しかし、前の2人はいずれも手押しの電動カートにバッグを積んでのものでした。ジュニアゴルファーのように背中にバッグを担いで優勝したのは、パグンサンが初めてです。

 パグンサンはこれまでセルフで回った3試合全てでバッグを担いでいましたが、その理由は、「(電動)カートを使うとグリーンを横切れないから」というものでした。

 優勝したミズノオープンでは、バッグに11本のクラブしか入れていませんでした。通常、プロは規則上で許される最多の14本を入れていますが、パグンサンはバッグが重くなる負担を考えて、3本少なくすることを決断したのです。

 その結果が、日本ツアー10年目での初優勝でした。

セルフプレーでバックを担いで移動するジュビック・パグンサン選手 写真:Getty images

1本のクラブで多彩なショット パグンサンが示したゴルフの奥深さ

 ゴルフクラブにはそれぞれの役割があります。しかしパグンサンには、今回バッグに入れなかった3本のクラブをほかのクラブで補える技術とイマジネーションがあったからこそ、11本のクラブで優勝できたのでしょう。

 母国フィリピンでは、「少ない本数のクラブでプレーする機会もある」と言うパグンサン。クラブという道具を使ってプレーするゴルフでは、1本のクラブを様々に工夫して使うことで、多彩なショットを打つことができます。また、「自分が打つショットをイメージすることこそが楽しい」というゴルファーも少なくありません。

 パグンサンは、ツアーというレベルの高い場でそれを見事にやってのけ、最高の結果を出しました。11本のクラブに、ゴルファーの本能を引き出されたのかもしれません。いずれにしても、ゴルフの奥深さを自ら示したといえるでしょう。

プロのセルフプレーから得られるゴルフの新たな楽しみ方

 2010年にアジアンツアーで賞金王になった経験をもつパグンサンですが、実はこの時も優勝はしていません。

 2011年から日本でプレーをし、2位の経験は何度もありましたが、43歳になってようやく手にした初優勝に感無量でした。

 当面はセルフでのプレーが見られる日本ツアー。キャディーとともに戦っている時とは違うプロの姿を見ることで、これまでとは違ったゴルフの楽しみ方や可能性を感じられるかもしれません。

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