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【舩越園子の砂場Talk(バンカートーク)】五輪ゴルフの会場と迷彩服の妙な関係!?
毎週水曜日に更新されるゴルフジャーナリスト・舩越園子さんの連載コラム「砂場Talk(バンカートーク)」の2話目です。今回は五輪のゴルフ会場となっている埼玉県の霞ヶ関カンツリー俱楽部でのこぼれ話です。
五輪ゴルフ開幕前から大波乱!人気選手が新型コロナ陽性で欠場へ
五輪のゴルフは男子が今週7月29日(木)から、女子は来週8月4日(水)から始まるが、開幕前から大波乱に見舞われている。
米国代表で400ヤード級の飛距離を誇るブライソン・デシャンボーが出国直前のPCR検査で陽性となり、急きょ欠場が決まった。
その数時間後には、スペイン代表で現在の世界ナンバー1、ジョン・ラームも陽性判定を受け、欠場を余儀なくされた。
ラームは6月始めの米ツアー大会、メモリアル・トーナメントの3日目を単独首位で終えた直後にも陽性判定を受け、10日間の自主隔離を経験したばかりだ。
その隔離が明けて、ぎりぎりセーフで滑り込んだ全米オープンを見事に制し、メジャー初優勝を挙げたラームには、何か不思議な運命めいたものを感じずにはいられなかった。
だが、そんな経緯を経たラームが、今度は東京五輪の直前に、またしてもコロナ陽性、欠場となったことは、これまた理屈では説明のしようもない不可思議な何かに感じられて仕方がない。
ゴルフの世界では、しばしば不思議なことが起こる。「何が起こるかわからないのがゴルフ」とは、言い得て妙である。
しかし、五輪ゴルフの会場、霞ヶ関CCには「不思議だ」「わからない」では片づけられない重要な任務を遂行している人々が、あちらこちらに詰めている。
ゴルフコースでは普段見かけない“迷彩柄”の人たちが担う大事な任務とは
近隣の警察署から派遣されている警察官は、コース内の巡回や安全確認、警備を行なっている。消防署員は傷病者への救急対応はもちろんのこと、安全対策や危険物取り扱いにも対応している。
だが、迷彩柄のユニフォームに身を包んだ陸上自衛隊の姿をゴルフの大会会場で目にするのは初めてのことで、その存在がとても興味深く感じられる。
日ごろ、日本のゴルフトーナメントの大会運営に携わっている担当者によれば、「警察や消防の方々に会場内に入っていただくことはありますが、これまで自衛隊が会場に入ったことは無いです」とのこと。
どうやら、通常のプロゴルフの大会は「民間運営」だが、五輪は国家プロジェクトゆえに、政府主導で自衛隊の出動や稼働をお願いできるということのようだ。
そんな命令系統の事情はさておき、ゴルフトーナメントの会場で初めて目にする自衛隊の方々は、どこからやってきて、どんな仕事を受け持ち、何を感じているのかが気になった。
会場内には、大会関係者やボランティア、私たちメディアなどが通るセキュリティゲートがあり、そこでIDなどの確認や荷物のチェックを行なっているのは、栃木県内の駐屯地からやってきている自衛隊員たちだ。
埼玉県内など近隣の駐屯地で寝泊まりしつつ、自衛隊の大型車両に乗り込んで霞ヶ関へやってくる。
24時間体制で入場ゲートのチェックを受け持つ彼らの究極の任務はテロ対策。とはいえ、「大きな事件は今のところは皆無ですし、災害救助などの現場に比べたら、ずっと平穏な気持ちで任務に就くことができています。ゴルフの選手ですか。松山英樹だけは知っています。私たちも人間なので選手の姿をちらっとでも見たいとは思いますが、持ち場を離れるわけにはいきません」と、高いプロ意識を見せてくれた。
霞ヶ関の一角で、そうやって任務に勤しむ自衛隊員の迷彩服姿がとても新鮮に感じられ、その一方で、妙なことを思い出した。
日本の名門ゴルフ場の中には迷彩柄のウエアを禁じているところが多く、霞ヶ関CCのドレスコードを見ると、やはり迷彩柄のデザインは「着用をお断りいたします」とされている。
そのコースの警備を迷彩柄のユニフォームに身を包んだ自衛隊員が受け持っているという妙な取り合わせは、ちょっぴり皮肉めいた不思議に感じられ、「ああ、やっぱり何が起こるかわからないのがゴルフだなあ」と私は一人秘かに呟いた。
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