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- “稲見萌寧の素顔“ 銀メダル獲得の翌朝から普通に練習
東京オリンピック銀メダリスト、稲見萌寧。金メダルを獲得したネリー・コルダ(米)には1打及ばなかったものの、リディア・コ(ニュージーランド)とのプレーオフで銀メダルを手にし、弾けるような笑顔を見せた。2021年に花開いたその実力は、さらなる飛躍の予感を感じさせる。オリンピック期間中の7月29日に22歳になったばかりの素顔に迫った。
銀メダルもゴルフ人生の一つの通過点 稲見萌寧の素顔とは
2021年の国内ツアーで10戦4勝と驚異的な強さを見せていた5月の月曜日、稲見はいつもの場所にいた。千葉市にある北谷津ゴルフガーデン。稲見がホームの練習場にしている場所だ。
3月にシーズンが始まって2か月がたち、連戦の疲れが出始める頃。優勝争いの疲労は半端ではないはずで、しかも試合終わりの月曜日。休みにあてても問題ないなか、稲見は当たり前のように球を打ち、トレーニングをしていた。
1999年7月、東京都豊島区生まれ。10歳の頃、初めてクラブを握った。一人っ子で、自営業の父·了(さとる)さんが、友達と初めて練習場に行くのについて行ったのがきっかけだった。その頃は、常に外で遊んでいる活発な女の子。小学校のクラブ活動では、バドミントンやテニスをしていた。
クラブを握ると、最初から面白いように当たった。週に2~3回、レッスンを受けるようになる。プロを意識したのはゴルフと出会ってわずか1か月後。「自分の好きなことで仕事ができるのはいいな」と決めた。
毎日練習するようになると、すぐに3つの練習場を“掛け持ち”するようになる。友達がいて楽しい場所、ショートゲームを磨く場所、スイングを丁寧に磨く場所だ。
5年生になると、現在の“ホーム”である北谷津ゴルフガーデンを練習の拠点に。その後、父と2人で“ホーム”の近くに引っ越した。
学校に行く時間以外の早朝、放課後、夜間はゴルフの練習。試合に出はじめると、4試合目で早くも70台が出た。メキメキと腕を上げ、5年生のうちに60台も出るようになると、一気にゴルフが楽しくなった。
中学、高校と北谷津ゴルフガーデンを中心に練習を続け、全国クラスの試合にも出場。ナショナルチームを経て2018年にプロ転向。2019年に取材した時、口にしていたのはこんな目標だった。
「ずっとシードを落とさない選手でいたい。28歳までに永久シードは欲しいですね。賞金女王は当たり前です。ドラマチックな恋愛ドラマにはあこがれるけど、今はそれより大切なことがある」
国内ツアー初優勝を遂げ”ハザマ世代”と振り返り胸を張る
実力者が揃う1998年度生まれの黄金世代と2000年度生まれのプラチナ世代の間である自分たちを“ハザマ世代”と呼んで胸を張った姿が印象的だった。2019年の夏にセンチュリー21レディスでツアー初優勝を挙げる。
さらなるステップアップを目指した2020年、「前半で3~4勝、海外にも出たい」という構想を持っていたがコロナ禍で試合がなくなった。当初は目標を見失ったが、コーチに一喝されて目が覚める。「1勝は通過点と考えて永久シードを目指す」と、いつも通り練習を続けた。
予定通りこの年の夏にオリンピックが行われていたら、出場することはできなかった。延期が決定する前に、「(オリンピックが)延びたらラッキー。でも、その(出場する)ためにはどうするか考えてやったらいいと思います」と、口にしていたのが印象的だった。
オリンピックどころか、ツアーさえいつ再開されるのかがわからない状況で、「ゴルフが楽しい。試合が楽しいんです」とも話していた。「ハザマの中のダイヤモンドだからこそ目立てている」ともつけ加えていた。ツアー再開後、2020年秋のスタンレーレディスで2勝目をゲットする。
ハザマの中のダイヤモンドが輝きを一気に増したのは、2021年に入ってから。2戦目で優勝すると、8戦目までに4勝。勝率5割という驚異的な結果を叩き出す。1年延期されたオリンピックの代表争いはし烈なものになったが、見事に逆転。大会への切符を手にした。
こうして臨んだオリンピックでの活躍は、改めて述べるまでもないだろう。コルダ、コのメジャー王者2人と並んでメダルを受け、米ツアー72勝、メジャー10勝のレジェンドであるアニカ·ソレンスタムに祝福されてキラキラと目を輝かせた稲見。しかし、その夜に出演したテレビのハイライト番組では、もう翌朝の練習について話していた。
銀メダルは大きな勲章だが、それもまたゴルフ人生の一つの通過点に過ぎない。そのようにふるまう姿こそが、稲見の強さの源なのだろう。
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