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- 東京五輪ゴルフを酷暑の中で支えた人々 ボランティア約1200人動員の裏側を見た
稲見萌寧の銀メダル獲得という快挙にゴルフファンが歓喜して幕を下ろした東京オリンピックゴルフ競技。ゴルフジャーナリストの嶋崎平人氏は、各組のスコアやプレー状況をリアルタイムで登録するスコアラーとして参加しました。重要な役目だけに選手と同じく“バブル”の中で過ごした2週間を振り返ります。
無観客開催でもボランティア約1200名を動員
霞ヶ関カンツリー倶楽部で開催されたオリンピックゴルフ競技。松山英樹はメダル獲得こそならなかったものの銅メダル決定戦のプレーオフに進出、女子は稲見萌寧がリディア・コとのプレーオフを制して銀メダルを獲得するなど、期待以上の盛り上がりを見せました。
ツアー競技では優勝を決めるプレーオフはありますが、2位、3位を決めるためのプレーオフはありません。メダル争いの手に汗握る熱戦はオリンピックならではのシーンでした。
なお、稲見はこの銀メダル獲得によりJLPGAツアーの5年シード権、日本ゴルフ協会(JGA)の日本代表選手支援金と日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)からの報奨金を合わせて1000万円、そのほか、日本オリンピック委員会(JOC)から200万円の報奨金も支給され、計1200万円を獲得しました。
さて、オリンピックはどうしても選手に注目が集まりますが、競技を運営するために多くの人が関わっています。
ゴルフは審判のいないスポーツといわれますが、ルール上疑義が生じたときに対応する審判も、私が確認できただけでも、米PGAツアー、ヨーロピアンツアー、アジアンツアー、日本ゴルフツアー機構(JGTO)、JGA、JLPGAから15名が参加していました。
ただ、今回はコロナ禍で人員を絞っており、例えば前回のリオ大会では、審判は各組に同行しており、統括などを含めて25名参加していたのに比べると、少数精鋭での対応となりました。オリンピックゴルフ競技の運営は国際ゴルフ連盟(IGF)が統括し、IGFの審判を含めて40名が霞ヶ関カンツリー倶楽部に集結し、国際的な大会であることを印象づけていました。
オリンピック競技を支えるボランティアも、ゴルフ競技をスムーズに運営するために欠かせない存在です。参加者はオリンピックのボランティア募集に応募し、参加するためのオリエンテーションやフィールドキャスト共通研修を受けました。また、ゴルフ競技のボランティア参加決定後は、e-ラーニングでゴルフ競技の概要について学習してから参加しています。
ゴルフ競技でボランティアの役割は数多くありますが、各組のスコアを掲示するキャリングボード、プレー中であることを「お静かに」ボードで周囲に知らせる、ボールの落下地点の確認、ボール位置測定、スコアをリアルタイムでモバイル端末に入力するウォーキング・スコアラー、練習場のボール供給、練習場の選手名看板の設置などがありました。
また、ボランティア、スタッフの朝食、昼食を取るため食堂のサポートや、プレスルームでのサポートなど多岐にわたって大会を支え、約1200名が参加していました。今回は新型コロナの影響で無観客となりましたが、それでもゴルフ競技をスムーズに進行するためには、なくてはならない存在です。
ボランティアの参加者に話を聞くと、男女ゴルフトーナメントでボランティアとして参加経験を持っている方もいて、オリンピックのゴルフ競技に参加できたことを喜んでいました。
選手と接触の可能性のあるスコアラーは“バブル”対応
筆者はスコアデータをリアルタイムで本部に送るウォーキング・スコアラーを担当しました。この仕事には筆者を含め50名が従事しましたが、IGFにより、NTO(国内技術役員)としてゴルフ競技の審判補助として選定されています。
ウォーキング・スコアラーは、各選手の打数をリアルタイムでスマートホン形状のモバイル端末に入力。入力するのは、ショットごとのボールのライ、使用クラブ、ショットを打つたびにタップすることで、スコアがカウントされます。このデータはリアルタイムでゴルフ中継やスコアボードに反映されますが、ペナルティーや暫定球の入力などがあるためゴルフ規則の知識が要求されます。
このスコア入力のシステムは、オリンピックのスポンサーでオフィシャルタイマーのOMEGA(オメガ)が提供していました。OMEGAのスタッフは外国人のため競技中スコアに関するやり取りは英語のみのため、英語力も要求されました。
事前にe-ラーニングで英語のテスト、モバイル端末の取り扱いの講習を受けてからの参加となりました。また、選手と接触の可能性があるため、大会関係者として移動はホテルとゴルフ場の往復のみ。
PCR検査も毎日受けるなど、いわゆる“バブル”の中に入り、一切外出禁止でコンビニも行けませんでした。
今回のオリンピックゴルフ競技では、キャディに熱中症でリタイアする人が出たことも報じられました。会場である埼玉県では熱中症警戒アラートが出る日もあり、屋外競技のゴルフは酷暑の中でのサポートとなりました。
熱中症対策として、塩分を補給するタブレット、冷却シート、ペットボトルの水などが供給され、休憩エリアは十分冷房が効いていました。ボランティアに支給されたポロシャツ、パンツ、帽子、シューズも暑さ対策を考えられ、網目構造も一部採用された仕様で、暑さに対応していました。
もちろん、コロナ禍での感染症対策も徹底していました。ボランティア、関係者は、専用入り口で、まず手のアルコール消毒をし、サーモカメラで自動検温、身分証明書を自動で読み取り顔認証して荷物検査後、会場に入れます。会場内はマスク着用が義務付けられ、電光掲示板にも注意喚起が度々出されていました。
また、ボランティア、関係者が朝食、昼食をとるための約250名が収容できる大きな食堂用テントも、入り口でアルコール消毒、またテーブルは間仕切りで仕切られていました。朝食、ランチはお弁当、サンドイッチの提供でした。
このように、多くのボランティアや大会関係者の協力や努力により、霞ヶ関カンツリー俱楽部で開催のゴルフ競技は無事終了したのです。
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