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- 意外!霞ヶ関CCはタトゥー絶対NGじゃないらしい それでも広がらないゴルフ場のタトゥー解禁
日本のゴルフ場では体に入れ墨・タトゥーが入った人の入浴をお断りしているケースが大半です。プレー中も隠すことが求められます。しかし、外国人のゴルファーが増えればその基準も変わっていかなくてはいけないのでは?日本ゴルフジャーナリスト協会(JGJA)会長の小川朗氏が、この問題に深く切り込みます。
五輪はOKでも国内ツアーではタトゥーは絶対NG
今回の東京オリンピックで象徴的だったのは、スケートボードなどのストリートスポーツにおける日本勢の躍進。次のパリ大会では、その一つであるブレイキン(ブレイクダンス)も採用されます。こうしたストリートスポーツの競技人口も、今後一気に増えていきそうな気配です。そうした実力者たちには、タトゥーの愛好者が多くいます。影響を受けた若者たちの間にも、タトゥー文化は広がりを見せそうです。
しかし国内の一部では、まだまだタトゥーへのアレルギーが強いようです。たとえば映画『フラガール』の舞台となった「福島のハワイ」ことスパリゾートハワイアンズ。公式ウェブサイトの「基本情報」の一番上に「ご来館に際してのお願い」として、次のような文面を掲げています。
「暴力団およびその関係者、刺青・タトゥ-(シール類を含む)をされた方の入館は固くお断りいたします。判明した場合は退館して頂き、それに伴う返金・補償は致しません。また、トラブル防止のため関係機関へ通報する場合もございますので、ご了承下さいませ」
ゴルフ業界も、この問題と無縁ではありません。スパリゾートハワイアンズはゴルフ場も27ホールありますが、広報担当者によれば、こちらも同様のルールが適用されるとのこと。基本的に入れ墨はNGなのです。
これはプロゴルファーたちの組織も同じで、例えば男子ツアープロの組織である日本ゴルフツアー機構(JGTO)は、トーナメント規定の「トーナメント会場におけるマナー等の準則」として「選手は原則として入れ墨をしてはならない。入れ墨の露出は禁止する」とうたっています。
また日本女子プロゴルフ協会も「選手心得」という項目で「選手は、入れ墨、タトゥーを施してはならない。もし発見した場合は、即座に退場を命じることがある」と厳しく規定しています。
今年の東京オリンピック・ゴルフ競技が開催された霞ヶ関カンツリー倶楽部も例外ではありません。同ゴルフ場の越正夫広報委員長は、「入れ墨全般は禁止していないのですが」と前置きをしたうえで「『指定暴力団、またはこれに準ずる暴力団、その他の反社会的勢力の構成員、または関係者。反社をうかがわせるような入れ墨を施していると認められたとき、この場合は利用を拒否することがあります』という項目があります」と明かしてくれました。「ただ、これはあくまで入れ墨がダメということではなく、反社会勢力はダメ、ということです」と念を押していたのが印象的でした。
日本では反社会勢力と結び付けられやすい入れ墨ですが、海外ではまったく違った意味合いを持っていて、自己表現の一つとしてすっかり定着しています。海外ツアーに詳しい関係者は「(英国の女子選手で東京五輪にも出場した)メリッサ・リードの趣味がタトゥーで、服に隠れているところにかなりしているみたいです。本人が公言してます」と、米ツアーの現状を解説してくれました。
CJカップで優勝争いを繰り広げたばかりでZOZOチャンピオンシップにも来日しているリッキー・ファウラーが、左上腕に母方の祖父である日本人、田中豊さんの名前を、右前腕に米国代表としてリオで出場した五輪のマークを入れていることは有名です。タトゥーに関しては、欧米のツアーでは問題視されていないということでしょう。
たとえ霞ヶ関CCにタトゥーを施したゴルファーが入浴したとしても、本人が「これは反社をうかがわせるような入れ墨ではない」と主張すれば、お目こぼしにあずかれそうです。とはいえ、まだそうした実例はないとのこと。実際にそうした事態に直面した時、反社会勢力であることをうかがわせるような入れ墨と、そうではない入れ墨の境界線をどこで引くのか。明確に判断するのは、相当難しいように思います。
観光庁は工夫を施してのタトゥー入浴を推進
一方で、霞ヶ関CCがオリンピックを開催したことで生じた「ダブルスタンダード」を疑問視する声もあります。
一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会の大石順一専務理事は「(事実上)タトゥーにしても、アンダーウエアとシャツの重ね着にしても、霞ヶ関CCでは禁止されているわけです。でも今回はオリンピックということで許されている。こうしたダブルスタンダードはやっぱりおかしい。見識を問われますよ。誰に対しても同じ決まりなら、クラブとして(オリンピックでも)適用すべき」と厳しく指摘していました。
霞ヶ関CCはドレスコードに厳しいクラブであることでも知られ、公式ウェブサイトにも「好ましくない服装」として、アンダーウエアの重ね着(半袖ポロシャツの下にアンダーウエアの着用)を明記しています。
前出の大石専務理事もこの点を指摘しているわけですが、今回の五輪は、霞ヶ関CCはIOC(国際オリンピック委員会)にゴルフ場を貸している立場。IOCにも日本のナショナルフェデレーション(国内の統括団体)であるJGA(日本ゴルフ協会)にも「入れ墨を規制する項目はない」ため、「ドレスコードについても、タトゥーについても、霞ヶ関のルールは適用外です」とJGAの山中博史専務理事は説明しています。
プライベートクラブがクラブ内のルールを作るのは、そのクラブの勝手です。しかし、オリンピックの時だけそのルールを解除し、終了したらまた元に戻すことに違和感を覚える方は多いはずです。
観光庁は2016年の3月16日に「入れ墨(タトゥー)がある外国人の入浴に関する対応について」というタイトルで、個別の施設の対応改善を促しています。具体例として(1)シール等で入れ墨部分を覆うなど、一定の対応を求める方法、(2)入浴時間帯を工夫する方法、(3)貸切風呂等を案内する方法などを示しています。この10月13日、同庁に確認したところ、その方針に変更はないとのことでした。
コロナ禍が収まれば、いよいよ海外からの観光客もやってきます。国内でもタトゥー文化が広がっていくことになれば、日本の重要な観光資源である温泉の入浴に制限を設け続けることに、無理が生じてきていることも確か。そういう意味では狭い国土に2000以上あるゴルフ場も貴重な観光資源といえます。若年層のゴルフ人口を本気で増やす気があるならば、もはやタトゥーやドレスコードにこだわりすぎることは時代遅れとなりつつあるのかもしれません。
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