「20位タイまでしか合格できない」 女子プロテストの高い壁がもたらすもの

新型コロナウイルスの影響で、6月と11月の年2回行われることになった最終女子プロテスト。現在はプロテスト合格者でないと、ステップアップツアーやレギュラーツアーに出場できないこともあり、これまで以上に人生をかけた戦いが繰り広げられています。

プロテストを実施している国はほとんどない、という現実

 究極のサバイバルゲームである女子の最終プロテストが近づいてきました。

 日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の2021年度プロテストは、10月15日までに3会場で2次予選を終了。ここを突破した103人と、ロレックスランキング上位の者や今期のツアー単年登録者、ナショナルチームメンバーで日本アマチュアランキング上位5人や、日本女子アマ、日本女子学生の優勝者など、1次、2次免除の者が、11月2日から72ホールの最終決戦に挑みます。

 舞台は、城陽カントリー倶楽部(京都府)。合格ラインは20位タイまでという狭き門です。プロテストは、ゴルフを始めたときからプロを目指して練習を重ねてきたプレーヤーが増えるにつれて、どんどん厳しいものになっています。

日本女子プロゴルフ協会会長の小林浩美(写真左)と稲見萌寧 写真:Getty Images

 その実態について、ジュニア、プロテスト出場者、そしてツアープロと、様々なレベルのプレーヤーを指導しているツアープロコーチの井上透さんがこう解説してくれました。

「(1998年度生まれの)黄金世代は、石川遼君たちの影響で1ケタの超低年齢からゴルフを始めた子が多かった。その世代が(プロになって)抜けたとしても(テストの)レベルダウンどころか、その流れがずっと続いています。実は、ジュニアゴルファーの人口そのものは、登録ベースでは右肩下がりなのですが、本気度の高い子たちが残っています。そこには功罪もあります。(レベルが高いため)早めに諦めてしまう人も多くなっているし(年齢が高くなってからの)途中参加はどんどん厳しくなっています」

 JLPGAは、一度は試合に出場するためのQT出場の門戸を、JLPGA会員(例外を除きプロテスト合格者のみ)以外にも開いたのですが、最近になって会員限定に規定を変更しました。

 そのため、基本的にはプロテストに受かる必要があります。「絶対に受からなくては」という気持ちは以前より強くなっているでしょう。

 受験そのものは『JGA/USGAハンディキャップインデックス5.0以下の実力を有する者を推奨』という一文はあるものの、4月1日時点で17歳以上の女子(出生時)なら、1次予選からなら誰でも受けられます。5会場それぞれで上位の人たちが、3会場の2次予選に進みます。そこでさらにふるいにかけられるのです。ファイナルに進むことができても、最終的にプロのライセンスを手にすることができるのは20人余りの厳しい世界です。

 テストに合格しなくても、プロゴルファーになることはできます。海外の試合でプレーしている人もそうですし、レッスンをしている人もプロ。ゴルフを生業にしている人は皆、プロです。

 前述の井上さんは、こうも言っています。

「何をもってプロというか、という話なのですが、世界的にはプロテストを実施している国はほとんどありません。日本はライセンスカードを出している組織がツアーを持っているという珍しい国です」

 おっしゃる通り、例えば欧米のツアーに出場するためのプロテストはありません。言い方は少し違っても、QTと言われる試合に出場するための競技を行っているだけで、その門戸は広く開放しています。

「JLPGAは会員の既得権益を守るほうに、かじを切ったということだと思います。プロレベルの技を持っていながら、年1回のプロテストに受からないから戦う場が与えられない“ゴルフ浪人”がどんどん出てきています。ここまでのレベルのプレーヤーたちがツアー出場のチャンスすら与えられないというのは、妙に感じられます」

 という、井上さんのような声は、少なくありません。中途半端な立場の人たちが、どんどん増えているのです。

「プロテストに合格していないプロ」という中途半端な立場の人が増えている

 一方で、アマチュアがツアーに出場できる機会はまだまだ残されています。スポンサー推薦の回数が年8回に制限されたと言っても、シードやQT上位ではないプロと同じだけあります。さらに、オープン競技などの枠もある。アマチュアのツアー優勝が増えているのには、そんな理由があります。

 1973年トヨトミレディスで清元登子選手が優勝した30年後に、宮里藍選手が勝った時(2003年ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン)にはツアーのレベルもはるかに高くなっていただけに衝撃が走りました。

 けれども、12年のキム・ヒョージュ選手(サントリーレディス)以降、勝みなみ選手(14年KKT杯バンテリンレディス)、畑岡奈紗選手(16年日本女子オープン)、K・ギルマン選手(18年センチュリー21レディス)、古江彩佳選手(19年富士通レディス)と、今では、次々にアマチュアが優勝。アアチュアが優勝争いをするのは、珍しいことではなくなりました。 

 プロの”間口“を狭めながら、アマチュアには出場機会を与える”ダブルスタンダード“と言ってもおかしくない不思議な状況が続いているのです。

 20年は、コロナ禍を理由にプロテストは延期され、今年6月に1回目、11月には2回目の最終プロテストが行われますが、これは特例となります。

「今のプロテストに『絶対』はありません」と、井上さんも言うハードな短期決戦。ティーンエイジャーを中心とした受験生の将来をかけた戦いはもうすぐ。プロテスト合格を目標に頑張ってきた若者たちが、その多くの時間をゴルフに費やすのは当然のこと。

 健闘を祈るのはもちろんですが、一方でこんな考え方も頭の隅に置いておいてほしいと思います。「ゴルフは人生の一部」だと。先輩プロの何人かが、のちに気付いたように。

「高い壁」を乗り越えた6月のプロテスト合格者5人をチェックする

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