合格者のうち、ツアー優勝できた確率は14.2%
女子のプロテストが現在のように20位タイまでが合格という形になったのは1997年からだ。それまではスコアによって合否が決まっており、1996年は54ホールで12オーバーが合格ラインだった。

20位タイまでが合格となった1997年以降に合格した選手は2020年度までで530人いる。うち、国内ツアー競技の優勝経験者は75人。優勝者率は14.2%である。この75人を合格順位別に分けると以下のようになった。
合格順位 優勝経験者数 主な選手
1位 9人 有村智恵(14勝)、吉田弓美子(7勝)、服部真夕(5勝)
2位 7人 横峯さくら(23勝)、成田美寿々(13勝)、米山みどり(7勝)
3位 8人 鈴木愛(17勝)、上田桃子(15勝)、笠りつ子(6勝)
4位 0人
5位 1人 大塚有理子(1勝)
6位 8人 森田理香子(7勝)、北田瑠衣(6勝)、永峰咲希(2勝)
7位 4人 大山志保(18勝)、西山ゆかり(2勝)、川岸史果(1勝)
8位 5人 比嘉真美子(5勝)、渡邉彩香(4勝)、一ノ瀬優希(3勝)
9位 6人 諸見里しのぶ(9勝)、勝みなみ(6勝)、青木瀬令奈(2勝)
10位 2人 原英莉花(3勝)、菊地絵理香(2勝)
最下位を除く
11位以降 12人 飯島茜(7勝)、茂木宏美(6勝)、渋野日向子(6勝)
最下位 13人 李知姫(23勝)、古閑美保(12勝)、稲見萌寧(9勝)
真ん中の10位で分けると、10位以内の合格者からは50人の優勝経験者が出ているのに対して11位以下は25人。合格者数は共に265人だから10位以内の合格者がちょうど2倍の確率で優勝しているということになる。
トップ合格者の最多勝利は有村智恵の14勝
トップ合格は10位以内の順位別では最多の9人。さすがの実績である。今回のトップ合格は日本女子アマ覇者でもある尾関彩美悠。日本女子オープンでは11位に入るなどプロのトーナメントでも悪くない成績を残しているから期待大だ。

トップ合格者の最多勝は有村智恵で14勝。ただ、2ケタ勝利は有村1人で公式競技優勝者も有村だけ。賞金女王まで上り詰めた選手はいない。コンスタントな成績を残している一方で超大物が少ない印象だ。
2位合格者からは横峯さくら、3位からは上田桃子と鈴木愛が賞金女王の座を射止めている。3位以内をひとくくりにすると、優勝経験者は24人で優勝者率は30.0%。全体の優勝者率は前述したように14.2%だから、やはり上位合格者はプロの世界で活躍する確率が高いといえそうだ。
ただ、不思議なことに4位合格者からは1人も優勝者が出ていない。さらに、5位からは通算1勝の大塚有理子1人だけ。6位以降は、バラツキはあるもののそれほど目立った傾向はない。論理的に理由を説明するのは不可能なレベルの話だが4位、5位合格者は大苦戦しているわけだ。
今回の4位はスタンレーレディスでプレーオフまで残って注目を浴びた佐藤心結。5位タイ4人の中には日本女子オープン7位で、賞金女王2度を誇る平瀬真由美の姪ということでも話題になった竹田麗央がいる。彼女らには、この嫌なジンクスを覆してもらいたいものだ。
さて、11位以下の選手は10位以内に比べて優勝する確率が低いと書いたが、最下位で合格した選手に限ればまた違ったデータがあるから面白い。23勝の李知姫や歴代賞金女王の古閑美保といったビッグネームがおり、今季大活躍中の小祝さくら、稲見萌寧、笹生優花もあと1打悪ければ運命が変わっていた選手たちだ。分母が大きい(125人)から優勝者率は10.4%と高くはないが、大物が次々に出現している。最下位合格者の合計優勝数は70勝で、順位別では2位合格者の55勝を抑えてトップなのである。
今回の最下位合格は岡山県の作陽高校で渋野の1年先輩だった成澤祐美と2度目の挑戦でクリアした19歳の宮澤美咲。ともに全国的には無名の存在だが、注目しても面白いかもしれない。