残り2試合の優勝者合計年齢が83歳以下なら優勝者の平均年齢記録を更新
22歳の稲見萌寧が伊藤園レディスを制して7月末の楽天スーパーレディース以降、15試合連続で23歳以下の選手の優勝となった。今シーズンの優勝者平均年齢は現在23.56歳。最年少記録の更新がカウントダウンに入った。

ツアー制度が施行された1988年以降のシーズン別優勝者平均年齢最年少記録は2009年の24.26歳である。今シーズン残り2試合の優勝者年齢合計が83歳以下ならばこの記録を塗り替えることになる。もうこれは、確定的と表現していいだろう。
今季、女子ツアーを強力に引っ張ったのは黄金世代と呼ばれる1998年度生まれから下の世代だ。
ここまで黄金世代が12勝(小祝さくら5勝、勝みなみ、原英莉花、渋野日向子各2勝、大里桃子1勝)、1999年度生まれが稲見1人で9勝、2000年度生まれが12勝(古江彩佳6勝、西村優菜4勝、吉田優利2勝)、2001年度生まれが3勝(笹生優花2勝、山下美夢有1勝)で合わせて36勝にものぼる。50試合中36勝だから全試合の72%がこの4世代で占められているわけだ。
宮里藍のアマチュア優勝が現在の若年齢化のターニングポイント
ここで優勝者平均年齢の歴史を振り返ってみよう。日本女子プロと日本女子オープンが創設された1968年、開催されたのはこの2試合だけで優勝者はともに樋口久子。
日本女子プロの時は22歳で日本女子オープンの時は23歳だった。平均すれば22.5歳。ツアー制度施行前まで含めればこれが最年少記録となるわけだが、さすがに2試合だけだから参考記録といっていいだろう。
その後、平均年齢は徐々に上がり、1980年代から2000年代の初頭にかけてはほぼ毎年30歳を超えていた。最も高かったのは1987年の33.14歳である。
若年化のターニングポイントとなったのは2003年だ。前年の32.42歳から一気に27.70歳にまで下がっている。
要因のひとつは26歳(シーズン終盤は27歳)の不動裕理が10勝したことだが、何といっても当時高校3年の宮里藍が勝ったことが、その後の流れを決定づけた。翌年以降、宮里を筆頭に横峯さくら、諸見里しのぶ、上田桃子らが次々に20歳前後で優勝を重ね、世代交代が一気に進んだ。
これまでの最年少記録である2009年はどんなシーズンだったか。23歳の横峯さくらが6勝を挙げて賞金女王となり、1学年下の諸見里が6勝で賞金ランキング2位。さらに1学年下の有村智恵も5勝して、この3人でシーズン全試合のちょうど半分を勝ったという年だった。
その後は全美貞やアンソンジュ、イボミら韓国勢が勝ち星を伸ばすのに比例して平均年齢は徐々に上昇に転じ、2016年には28.51歳にまで戻っていた。
再び若年化に流れが向いたのは2017年。前年、アマチュア優勝を果たしてプロ転向した当時18歳の畑岡奈紗がミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン、日本女子オープンと2週連続で優勝した年である。翌2018年には畑岡と同じ黄金世代が次々にプロとして活躍を開始した。
2017年以降は優勝者の平均年齢若年化が一気に加速
この優勝者平均年齢の推移はグラフで表すと一目瞭然なので、以下に2000年以降の推移を掲載しておこう。

2017年から急激に右肩下がりになったグラフ。その幅は1シーズンあたり1歳前後である。黄金世代を境に稲見や古江、西村といったさらに下の世代もグイグイと頭角を現してきたことが若年化を推し進めている。
今シーズンは今年の5月から7月にかけて上田桃子、笠りつ子、申ジエ、菊地絵理香、若林舞衣子の30歳代の選手が相次いで勝ち星を挙げてベテランの意地を示したが、冒頭で述べたように楽天スーパーレディースで21歳の吉田優利が初優勝を飾ってからは15試合連続で23歳以下が優勝。12年ぶりの最年少記録更新へと突き進んでいったわけだ。
コロナ禍の影響で2年にわたった今シーズンは残り2試合。このまま「アンダー黄金世代」が勝ち続けるのか、それとも中堅、ベテランが一矢報いることができるのだろうか。