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- サウジ政府系ファンドの“カネ”とノーマンの“執念”を推進力に、強引に突き進む世界ツアー構想
今、実は世界の男子ゴルフツアーは時代の転換点にあるのかもしれません。浮かんでは消えていた「世界ツアー構想」がサウジアラビアの資金をバックに強力に推し進められようとしているのです。その中心にいるのは、レジェンド、グレッグ・ノーマンです。
選手は世界ツアーに参戦する“だけ”で30億もらえる!?
世界のゴルフ界において、このクリスマスブレークの主役の一人は間違いなく、「グレート・ホワイトシャーク」として恐れられたグレッグ・ノーマンです。
騒動の始まりは2020年の初めでした。イギリスに拠点を置く「ワールドゴルフグループ」という組織が、突然「プレミアゴルフリーグ(PGL)」という名称の新しい世界ツアーの構想を打ち上げたのです。
いかにもサッカー「プレミアリーグ」の国らしいネーミングですが、構想の概略は世界のトッププレーヤー48人を擁し、賞金総額1000万ドルの競技を年間18試合、世界を転戦して行うというものでした。
また、競技は自動車レースのF1(これもイギリスが本部です)のように、個人と並行してチーム(各チームに4選手が所属し、シーズンを通して戦う)でも年間ポイントを競うユニークなフォーマットでした。
これに対して欧米両ツアーは「PGLに登録した選手は、自分たちのツアーの登録選手にはなれない」として、資格の永久はく奪を含む、厳しい対抗姿勢を見せました。
また、ローリー・マキロイをはじめ多くのトッププレーヤーも、米ツアーを飛び出してまで参加する意思のないことを表明しました。
その後、世界はコロナ禍に襲われ、いつしかPGLの名前は聞かれなくなりました。
ところが21年5月、今度は「スーパーゴルフリーグ(SGL)」という名称で、同様の構想の新ツアーが浮上します。そして、サウジアラビアの豊富な資金をバックに、既に有力選手に接触を始めたというのです。リーグに参加するだけで2000万~3000万ドルの契約金を提示された選手もいると伝えられました。
「これは始まりに過ぎない」というホワイトシャークの不気味な宣言
そして、この10月末、水面下でずっとうごめいていた新ツアーの運営実体が明らかになります。
サウジアラビア政府系の世界最大級の投資ファンドが過半数の株式を保有する「LIVゴルフインベストメンツ」という会社で、そのCEOがグレッグ・ノーマン。いま世界中のプロゴルフ界を揺るがすレジェンドなのです。
ノーマンは、1990年代からプロテニスツアーのように組織化された「ワールドツアー」の設立を提唱していました。残念ながら彼の構想は米ツアーの賛同が得られず頓挫しましたが、これをきっかけに誕生したのが、基本的に年4回開催される「世界ゴルフ選手権(WGC)」でした。
さて、ノーマンのLIVゴルフインベストメンツですが、さっそくコロナ禍で活動がストップしていたアジアンツアーに出資することを表明。2022年から10年間で2億ドル以上の巨額を投じ、年間10試合をアジアンツアー競技としてアジア・中東・欧州で展開するといいます。
さらに、リリースには「これは始まりに過ぎない。LIVゴルフインベストメンツは世界のプロゴルフ界に新たな機会を創出するための十分な資金を確保している」として、念願の新ツアーを構築中であることをぶち上げたのです。
一方、ノーマンが参画するアジアンツアーですが、その発表の直前、今年まで欧州ツアー競技として実施されていた「サウジインターナショナル」を、22年は「ゴルフ・サウジ」という組織との共催で、アジアンツアー競技として開催することを発表しています。この試合は、LIVゴルフインベストメンツが企画する10試合とは別のトーナメントですが、さて今後も無関係であるのか。疑心暗鬼が付きまといます。
“いわくつきの大会”にDJ、フィル、デシャンボーら豪華なメンツ
サウジインターナショナルといえば、18年大会ではイスタンブールのサウジ大使館でジャーナリストが殺害された事件に絡み、タイガー・ウッズが300万ドル超のアピアランスマネーを蹴って出場を見送ったと報道された、いわくつきの大会。先日、来年2月3~6日に22年開幕戦として開催される同大会の出場予定選手が発表されたのですが、その顔ぶれがすごかった。
ディフェンディングチャンピオンのダスティン・ジョンソンを筆頭に、フィル・ミケルソン、ブライソン・デシャンボー、ザンダー・シャウフェレ、ババ・ワトソン、アダム・スコット、セルヒオ・ガルシア、リー・ウエストウッド……。
「カネにモノを言わせた」といった感じの陣容です。
これに対して、欧米ツアーは自分たちの登録選手にサウジインターナショナルの出場許可を与えておらず、出場した場合は罰金などの制裁を検討中とのこと。
その一方で、さらなる選手の流出を抑えるため、22年は多くの競技で賞金総額を大幅に増加する策に出ました。例えば、米ツアーのフラッグシップ競技である「ザ・プレーヤーズ選手権」の賞金総額は1500万ドルから2000万ドル。優勝すれば360万ドル、約4億円です。また、最終戦の「ツアー選手権」に勝って年間チャンピオンになった選手には、今年の1500万ドルから1800万ドル、約20億円に増額された賞金が贈られます。
米ツアー側のこうした「アメとムチ」の防衛策を、果たしてノーマンは突破できるのでしょうか。ツアーの詳細、とりわけ参加する選手の発表が待たれるばかりです。
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