流れが悪い時は、何をしても上手くいかないので割り切る
■高久みなみ(たかく・みなみ)/2000年生まれ、福島県出身。3姉妹の末っ子で、長女のあずさ、次女のゆうなとともにアマチュア時代から活躍。2度目の挑戦となった2021年11月の最終プロテストで通算5アンダーをマーク。2位で合格を果たした。来季の出場権をかけたファイナルQTでは通算4オーバー、44位。来季前半のレギュラーツアー数試合とステップ・アップ・ツアー全試合の出場権を獲得した
11月30日から12月3日までの4日間、葛城ゴルフ倶楽部・宇刈コース(静岡県)でファイナルQTが開催されました。

QTは来シーズンの出場権を持たない選手たちが参加する予選会で、順位に応じて来シーズン前半戦の出場権が与えられます。
この試合で注目したのは、私が主宰するスクールの合宿に参加している高久みなみ選手です。
彼女は2021年度のプロテストを2位で合格し、その後に行われたQTファーストステージ(A地区)で通算11アンダーをマーク。トップ通過して今回のファイナルQTに挑みました。
高久選手は、「プロテスト合格」、「QTファーストステージトップ通過」の勢いをそのままに、5アンダーの2位タイで初日を終えました。しかし、2日目は好調を維持することができませんでした。
3番でボギーを打つと、続く4番でもボギー。そして、7番から13番まで7連続ボギーを打ち、大きくスコアを落としてしまったのです。この日は9ボギーの81でホールアウト。通算4オーバーの54位タイまで順位を下げてしまいました。
その後、3日目を73、最終日を71でプレーし、最終順位は通算4オーバーの44位でした。悔やまれるのはやはり2日目の7連続ボギーです。
高久選手は、なぜ“ボギー列車”から降りることができなかったのでしょうか。ポイントは10番ホールです。ティーショット、セカンドショットに成功し、好位置からサードショットが打てるシチュエーション。ピンは左サイドに切ってありました。
この時、前半で5ボギーを打ち、しかも3連続ボギー中だった高久選手は、「スコアを伸ばして挽回しなければ!」と考え、左サイドのピンをデッドに狙っていきます。しかし、このショットをグリーンの左に外してしまい、4連続ボギーに。悪い流れを断ち切ることができず、結果的に7ホール連続でボギーを叩いてしまいました。
ゴルフには、“流れ”というものがあります。流れが悪い時は、何をしても上手くいかないもの。無理に挽回しようとすると、傷口を大きく広げてしまうことがあります。
高久選手の10番ホールのケースは、ピンをデッドに狙ってバーディーを獲りにいかず、「パーを獲ればいいんだ」と割り切って、グリーンセンターを狙っていれば、悪い流れを変えることができたかもしれません。
“謙虚な”狙いが流れを変える

悪い流れの時は、「フェアウェイのど真ん中からウェッジでグリーンを狙える」などの“物理的チャンス”のシチュエーションでも、“流れ的ピンチ”の中にいることを忘れてはいけません。
そんな時は、気持ちを落ち着かせ、謙虚にグリーンセンターを狙うことが賢明。パーオン、2パットのパーを獲ることが、流れを変えるきっかけになります。
この試合で44位タイに入った高久選手は、来シーズン前半戦の数試合に出場する権利を獲得しました。今回の経験を活かし、プロのツアーで大いに活躍してもらいたいです。
■石井 忍(いしい・しのぶ)/1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。