飛ばなくてもムキになっちゃダメ!練習場とコースでボールがまったく別物な理由

練習場では、ラウンドの時と比べてボールの飛び方に違いがあると感じることはありませんか? 一般的に、練習場のボールは飛ばないように設計されていると言われていますが、その理由とはどんなものなのでしょう?

事故防止のために飛ばない設計のボールを使っている

 練習場でボールを打っていると、ラウンド時と飛び方が違うことに気づくかもしれません。特にドライバーを打ったときは、思うように高さが出なかったりと飛んでいないのではないかと感じる人もいるでしょう。

なぜあえて「飛ばないボール」を採用するのか。そこには練習場ならではの理由がありました 写真:AC

 もちろん、ラウンド中はアドレナリンが出て一種の興奮状態ですから、それがスイングスピードに影響して、練習場よりも飛距離が出ている可能性もあります。しかし、練習場でボールが飛ばない理由は、そもそも飛ばない設計のボールが使われているからなのです。

 まず、練習場用のボール(以下、練習ボール)とコースで使用するボール(以下、コースボール)では構造が異なります。コースボールは3~5ピース(層)の複雑な構造のものが主流で、それぞれの層の素材や厚さを工夫することで、ドライバーからアイアン、ウェッジ、パターまで最適な弾道が出やすいように設計されています。

 一方、練習ボールは1~2ピース(層)のシンプルな設計が主流です。柔らかい素材が多く使われていて、非常にソフトな打感になっています。

 柔らかく設計される理由は、打ったときの衝撃が少なく体にやさしいことや耐久性が高くなることが挙げられます。また、コスト的にコースボールよりも安く済むことも、多くの練習場が練習ボールを採用する理由になっています。

 そして、練習ボールは柔らかい設計の分、ボール初速が伸びにくく、総じてコースボールより飛距離が出ません。飛ばないと聞くとデメリットに感じるかもしれませんが、練習場を運営する上では事故を防止するという重要な目的があるのです。

 最長85ヤードの練習場「ニュー成城ゴルフセンター」の服部朋春社長は次のように話しています。

「当ゴルフ場はネットまでの距離が短いこともあり、キズや亀裂の入ったボールが当たると衝撃で破れてしまうことがあります。万が一、ネットを突き抜けてボールが外に出てしまうと大惨事になりかねないので、コースボールを打つことを禁止しています」

 練習場によってはネットを越えないように上がりにくいボールを採用したりと、事故防止に努めています。練習ボールが飛ばないのには、明確な理由があるわけです。

練習場ではスイング作りに集中しよう

 練習ボールとコースボールには、性能的に明らかな違いがあります。そのため、練習場でボールを打つ際にはその違いを理解した上でスイングすることが大切です。

 まず、無理に飛ばそうとしないことが大切です。たとえばドライバーで打つ場合、コースボールに比べて10~30ヤードは飛距離が落ちますが、だからといって必要以上に力んでしまうとスイングを崩す原因になってしまいます。

 また、練習ボールは構造上、コースボールとはスピンのかかり方や曲がり幅にも違いが出ます。スピンをかけるアプローチや意図的に曲がる球を打つ練習をするには少し難があるかもしれません。少なくともコースではボールの止まり方や曲がり幅に違いが出る可能性があることは頭に入れておきましょう。

 これらを踏まえて、練習場ではボールの飛び方は気にせず、スイング作りに集中するのが最も重要です。飛ばそう、上げようと力むのでなく、自分自身のスイングリズムや軌道を整えることで再現性が高まれば、おのずとスコアアップにつながっていくでしょう。

 練習ボールは、コースボールとは性能的にまったくの別物。飛距離や弾道、球筋にこだわり過ぎないことが上達への一番の近道です。

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右手の親指と人差し指を支点にしたまま、ハーフスイングでボールを打つ。ヘッドの重さを感じながら振るのがコツ
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コックを入れずにスイングすると、ヘッドの運動量が少なくなってヘッドスピードが上がらない
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