QT挑戦のハードルが上がったことも原因
時が経つのは本当に早いもので、私も今年で33歳です。日本女子ツアーで一緒にプレーする韓国の選手たちはたくさんいますが、今後の人生についても考える年齢になってきたと思います。

親友の(キム・)ハヌルも今年引退を決めて第2の人生を歩んでいますが、新たに日本ツアーに挑戦する韓国の選手は少なくなりました。
私が日本に来た時は、まだ日本ツアーのQTに挑戦できました。しかし、現在はプロテストに合格するなどしてJLPGA正会員にならないと、QTに挑戦できなくなりました。
もちろんそれは海外の選手だけでなく、日本の若い選手たちも同じ条件ですから、よりハードルが高くなったのは間違いありません。
新たな韓国選手が日本に来ないのは、コロナ禍で日本に行くのが難しくなったことも大きな要因でしょう。
2019年にプロテストに合格して正会員になった(アン・)シネも自由な行き来ができずに、ツアー出場を断念しています。
2018年の日本ツアーのファイナルQTに挑戦した(ユ・)ヒョンジュも、もしかしたら下部ツアーの推薦などで、日本に来られるタイミングはあったかもしれませんが、その選択肢を断念せざるを得ない状況になっています。
少しでもそうした選手たちと同じフィールドでプレーできた可能性を考えると、コロナ禍によって失われた時間の大きさを感じます。
条件厳しくとも「いつか日本ツアーに来て欲しい」
一方で、近年は韓国女子ツアーがとても充実してきました。
2021年シーズンは29試合が開催され、大手のスポンサードがかなり手厚くなり、優勝賞金額も日本ツアーに匹敵するくらいになりました。

それだけ人気、実力のある若手がどんどん出てきているということです。
韓国内のツアーが充実すると、「あえて海外に出なくていい」という選手が増えるのはある意味しょうがない部分があると思います。
ただ、私は日本で10年もプレーして、日本ツアーの良さをたくさん知っています。
大会が開催されれば、プレーヤー中心で運営されますし、ファンの方たちもいいプレーには声をかけて、ちゃんと拍手を送ってくれるギャラリー文化が日本にはあります。
ゴルフ場には練習場もありますから、うまくなる環境が整っています。実は韓国のゴルフ場には、練習施設が整っていないところも比較的多いんです。
それに今は日本の“黄金世代”や“プラチナ世代”など若手のレベルがどんどん上がっているので、韓国の実力ある若手たちとしのぎを削る姿も見てみたいです。
あ、もちろん私もまだまだ現役ですから!(笑)。
日本は私たち韓国選手にとっては“海外”ですから、異文化を経験するという意味でも、私がまだ現役でプレーしている間に後輩たちには来て欲しいと思っています。
「いつか日本ツアーで戦ってみたい」という韓国選手は多いと聞きます。
日本ツアーの制度変更やコロナ禍で、日本ツアーへのチャレンジが難しい今ですが、それでも様々な条件をクリアして新たな選手が来るのを心待ちにしたいです。
【プロフィール】
イ・ボミ/1988年生まれ、韓国出身。2010年に韓国女子ツアー賞金女王となり、11年から日本ツアーに参戦。15年に7勝、16年は5勝して2年連続で賞金女王となる。ツアー通算21勝。2019年12月に俳優イ・ワン氏と結婚。愛称は“スマイル・キャンディ”。延田グループ所属。