大胆な伐採で“何も変えずに”生まれ変わった!? 名門・川奈のビッグチェンジ

今週の国内女子ツアー「フジサンケイレディスクラシック」が開催されている川奈ホテルゴルフコース富士コース。日本を代表する名コースとして知られるこのゴルフ場が、実は“ビッグチェンジ”していたことをご存じでしょうか?

“誰でもプレーできるコース”の最高峰

 今週の国内女子ツアー「フジサンケイレディスクラシック」が開催されている川奈ホテルゴルフコース富士コース(静岡県)。日本のゴルフ場として世界的な評価が最も高い廣野ゴルフ倶楽部(兵庫県)を設計するなど、日本のコースデザインの父とも言えるC.H.アリソン作で1936年に開場しました。

 国内屈指の名コースとして知られる川奈が、実は“ビッグチェンジ”を果たしていたのです。今週の女子ツアー観戦では、プレーだけでなく、ぜひコースにも注目していただきたいと思います。

川奈ホテルゴルフコース富士コース14番・パー4の現在の姿。海に向かってすっきりと抜け、岬の突端に向かって打つようなイメージを抱かされる 写真:中村祐治氏提供

 富士コースについてあまりご存じない方のために説明すると、ここは静岡県伊東市の切り立った海岸線に展開するゴルフ場で、日本を代表するシーサイドコースとして知られています。また、日本の名コースとしては珍しく「パブリックコース」であることも特徴で、(お金さえ払えば)誰でもプレーできるコースとして最高峰であることは間違いないでしょう。

 トーナメントでは、長く男子ツアーの「フジサンケイクラシック」を開催していましたが、2005年に同大会が富士桜カントリー倶楽部に移転したことから、女子の「フジサンケイレディスクラシック」の開催地となりました。

 灯台も設置された岬が突き出るなど、入り組んだ海岸線を生かしたレイアウトは、まさにシーサイドコースの醍醐味が凝縮されています。多くのホールで相模灘が望める絶景は、遠く伊豆大島の姿も認めることができます。

 その絶景と吹き抜ける海風は、時に挑戦心を奮い立たせ、時に恐怖心を煽ります。

海に向かって抜けのいい7番・パー4がハイライト

 そんな名コースがどこが変わったかというと、実はいわゆる「改造」の範疇に属することは何も手をつけられていません。

 最も権威あるゴルフ場ランキングとして知られる米ゴルフマガジンの「世界トップ100コース」をほとんど制覇し、同ランキングのパネリストの何人とも交流のあるゴルフトラベラーの中村祐治氏はこう説明します。

「実は川奈はここ2~3年で樹木の大胆な伐採を進めてきたのです。途中経過も見てきましたが、特にここ1年でガラリと印象が変わりました。中でもハイライトは7番・パー4。トーナメントでは18番がスタートホールになるため、ここは8番として使われているのですが、グリーン奥にあった木々がすっかりなくなって、まるで別のホールであるかのように見えます。スコーンと抜けがよく海が見えますから、距離感も変わってきますし、何よりグリーンに向かって打つショットの恐怖心が全然違います。奥にカップが切られたら、突っ込めずにショートする選手が続出するのではないでしょうか」

 インコースでも、灯台のある11番・パー5(トーナメントでは12番)や14番・パー4(同15番)や15番・パー5(同16番)が伐採によりすっきりと海が見えるようになり、景観、戦略性ともに見違えるようになったと言います。特に14番は伊豆大島がきれいに見えるようになり、おすすめだとも。

「海への解放感ではペブルビーチGL(カリフォルニア州)よりも上なんじゃないかと思いますね。世界トップ100に入るようなシーサイドコースでも、意外と海が多くのホールできれいに見えるところは少ないんですよ。今、日本のコースでは廣野が37位、川奈(富士コース)は62位に入っていますが、富士コースは次のランキング(24-25年版)では大きく順位を上げるんじゃないかと見ています。実際、私が撮影した写真を見せたパネリストがこぞってプレーしたいと言ってますしね」

1936年の開場以来、ほとんどコースに手を加えられていない

 川奈の凄いところは、アリソンの手による設計がほとんど変えられることなく現代まで残されているところ。日本の名コースの多くが改造を繰り返し、近年でも海外の有名設計家に依頼してのリノベーションが半ば流行化しています。昨年の東京五輪の開催コースであった霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県)をはじめ、日本人が初めてつくったゴルフクラブである東京ゴルフ倶楽部(埼玉県)や前述の廣野もしかり。しかし、川奈は開場当時の重機に頼らずモッコとツルハシによる人力での、人の手が最低限にのみ加えられた姿を維持しているのです。

 そうした古い名コースは、川奈以外には鳴尾ゴルフ倶楽部(兵庫県)などがわずかに残るのみです。ちなみに、鳴尾も現在改造中ではありますが、コースのデザインには手をつけずグリーンのみ。しかも、元の高麗芝を現在主流のベントグリーンに変えるのではなく、アップデートしたクオリティーの高い高麗芝に張り替えるのが主眼です。

 ゴルフの歴史を追体験するようなラウンドができるのが川奈の魅力。やはり、多くのゴルファーが「一生に一度は回りたいコース」として名前を挙げるのにふさわしいゴルフ場だと言えます。決して安くはないプレー代を貯めるモチベーションを高める手段として、今週のフジサンケイレディスではコースに着目するのもいいのではないでしょうか。

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