高橋彩華の前は23年前の村井真由美までさかのぼる! 今回の優勝が打ち破った大きなジンクスとは!? | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

高橋彩華の前は23年前の村井真由美までさかのぼる! 今回の優勝が打ち破った大きなジンクスとは!?

フジサンケイレディスで涙の初優勝を飾った高橋彩華。昨シーズンも賞金ランキング11位に入るなど、実力には定評があったが、ようやく手にした初優勝だった。実は今回の優勝、23年ぶりにある大きなジンクスも打ち破ったという。

「初日を終えて4打差首位に立った選手は勝てない」というジンクス

 フジサンケイレディスで高橋彩華が悲願の初優勝を飾った。何度もチャンスを逃がした末につかんだ栄冠は、レジェンドクラスでさえその壁を越えられなかった大きなジンクスをも打ち破ってのものだった。

 初日に高橋が63をマークして4打差の首位に立った時、筆者は「残念ながら初優勝はまたお預けか」と考えた。なぜなら、「初日を終えて4打差首位に立った選手は勝てない」というジンクスがあったからだ。

高橋彩華が打ち破った「初日4打差首位のジンクス」 写真:Getty Images

 トーナメントで勝つには、初日に好スタートを切ることが大事である。出遅れから巻き返す例はあるが、それは少数派。

 初日の順位がいいほど優勝の確率は高くなり、女子ツアーでは優勝者の4分の1強が初日首位発進を決めているというデータがある。

 だが、なぜか4打差首位に限っては優勝につながらなかった。

 高橋以前で勝ったのは1999年日本女子オープンの村井真由美にまでさかのぼらなければならない。この村井以降の初日4打差首位発進した選手を列挙してみよう。

大会    選手   最終順位
1999年日本女子オープン  村井真由美  優勝
2000年アピタ・サークルK・サンクスレディス  金萬壽  5位
2001年サントリーレディス  小俣奈三香  4位
2001年ヨネックスレディス  西田智慧子  20位
2003年東洋水産レディス北海道  表純子  2位
2005年SANKYOレディース  不動裕理  2位
2006年中京テレビ・ブリヂストンレディス  大場美智恵  2位
2007年LPGAツアーチャンピオンシップ  不動裕理  2位
2010年スタジオアリス女子オープン  朴仁妃  2位
2011年meijiカップ  古閑美保  2位
2012年日本女子プロ  吉田弓美子  3位
2016年ヨコハマタイヤPRGRレディス  キム・ハヌル  4位
2017年ニチレイレディス  山田成美  48位
2022年フジサンケイレディス  高橋彩華  優勝

 上記のように、12連敗中だったのだ。この中には永久シード選手の不動裕理や、世界ランキング1位経験者の朴仁妃(パク・インビ)の名前もある。彼女らレジェンドクラスでさえ、このジンクスに飲み込まれていたのだ。

 2017年のニチレイレディスでは優勝経験のない山田成美がトーナメントコースレコードを塗り替える64を叩き出したあと、2日目78、最終日80と無残に崩れ去っている。

 村井が1999年日本女子オープンに勝った時、初日に大量リードを奪ったがために「逆に落ちた時のみじめさを考えた。だから、余計に緊張していました」と重圧がのしかかっていたことを明かしている。大量リードは傍目には有利に映るが、当の選手にとっては逆に苦しい精神状態に陥ってしまうこともあるのだ。

初日が終わって5打差首位だと勝率は100%

 とはいえ、初日5打差首位となると1999年日本女子オープン以降で5例あってすべて優勝というデータもある。初日4打差首位が長く勝てなかったのは、論理的に説明できないジンクスとしか言いようがない。ちなみに、初日に6打以上のリードを奪った例はまだない。

レジェンド・不動裕理は2度経験も「初日4打差首位のジンクス」を打ち破れなかった 写真:Getty Images

 高橋自身はこのジンクスを知る由もなかっただろうが、逃げることの苦しさはひしひしと感じていたはず。実際、2日目を終えてリードは1打に縮まり、最終日は1、2番の連続ボギーで一時は首位の座を明け渡した。

 だが、そこから盛り返したことには大きな価値がある。過去、首位で最終日を迎えた5回すべて逆転負けを喫していた負の連鎖も断ち切った。

 高橋はこれまで未勝利だったとはいえ、昨シーズンはトップ10に21回も入り、賞金ランキングは11位につけるなど実力は十分にあった。特に、パーオン率が2019年4位、昨シーズン2位と非常に高い数字を記録しているようにショットには定評があった。

 今年成長したのはパーオンできなかったホールでパーセーブする確率を示すリカバリー率。昨シーズンの56位(59.7365%)から今年は6位(70.3704%)にまでジャンプアップ。フジサンケイレディスでも度々ピンチを切り抜けていた。
 
 昨シーズンまで勝てそうで勝てなかった西郷真央が今年の開幕戦で初優勝を飾ると一気に3勝とブレークした。高橋も勝てそうで勝てなかった選手の代表格。西郷のように弾ける可能性は大いにあるはずだ。

高橋 彩華(たかはし・さやか)

1998年7月24日生まれ、新潟県出身。昨季は前半戦から幾度となく優勝争いに絡んだが、あと一歩届かない惜しい試合が続いた。最強世代と呼ばれる「1998年度生まれ」としてプレッシャーがかかる中、フジサンケイレディスで悲願の初優勝を遂げた。東芝所属。

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高橋彩華が打ち破った「初日4打差首位のジンクス」 写真:Getty Images
レジェンド・不動裕理は2度経験も「初日4打差首位のジンクス」を打ち破れなかった 写真:Getty Images

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