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- 世界1位の「パー4で8」はなぜ起こった? アマも気をつけたい“攻めるか守るか”の判断基準
多くのツアープロのコーチとして活躍している石井忍氏が、“ここはスゴイ”と思った選手やプレーを独自の視点で分析します。今回注目したのは、米国女子ツアー「DIOインプラントLAオープン」でのコ・ジンヨン。世界ランキング1位の彼女がパー4で「8」を叩いた理由とは?
レッドペナルティエリア内で好条件がそろっていた
米国女子ツアー「DIOインプラントLAオープン」が開催されました。優勝したのは畑岡奈紗選手。2位に5打差をつけて米女子ツアー6勝目を挙げました。
そんな畑岡選手と3日目の終盤までマッチレースを演じていたのが、世界ランキング1位のコ・ジンヨン選手です。
コ選手にトラブルが起こったのは、3日目の17番(パー4)でした。
2打目をグリーン左の小川(レッドペナルティエリア)に入れ、「8」を叩いてしまったのです。
3日目まで優勝が狙える位置にいたコ選手でしたが、このスコアが影響し、今大会を21位タイで終えました。
ところで、皆さんは2019年から施行されたゴルフの新ルールで、ペナルティエリアの救済方法が変わったのをご存じですか。
ペナルティエリアにはレッドペナルティエリアとイエローペナルティエリアがありますが、今回はコ選手がトラブルに遭ったレッドペナルティエリアについて触れましょう。
レッドペナルティエリアに球が入った場合は、あるがままに打つか、1罰打のうえ、救済を受けるかを選びます。1罰打の救済には3つの選択肢があります。
(1)最後のプレー地点に戻る
(2)球がペナルティエリアの最後に横切った地点とホールを結ぶ線上、その後方に基点を決め、そこから1クラブレングスでホールに近づかない所にドロップ
(3)球が最後に横切った地点を基点に、そこから2クラブレングスいないでホールに近づかないエリアにドロップ
新ルールではペナルティエリア内でソール(クラブの底を接地させること)できるようになり、ボール周りの木の葉や石などの自然物(ルースインペディメント)を取り除くことが可能になったことも覚えておきましょう。
さて、話をコ選手に戻しましょう。
クリークから脱出するには、身長以上の高さがある目の前の“壁”をクリアしなければいけません。
1罰打の救済を受けることもできましたが、コ選手は「あるがままに打つ」を選択。
しかし、3打目は壁に当たって跳ね返り、再びクリークに。4打目でもう一度脱出を試みましたが、またしても失敗。結局、1罰打の救済を受け、6打目でグリーンに乗せ、2パットの8で17番を終えました。
この時、なぜコ選手は最初から救済を受けなかったのか。
理由のひとつとして考えられるのが「ライが良かったこと」です。
コ選手がつかまったレッドペナルティエリアは、水が流れている所と土がむき出しになった所があり、ボールが止まっていたのは土の上。
しかも、左足上がりのライで、うまく打てば球を上げられる状況でした。
ゴルフに“たられば”はありませんが、もしもフラットなライだったら、球が水の中に沈んでいたら、コ選手は最初から救済を選択していたかもしれません。
レッドペナルティエリア内で好条件がそろっていたことが、「8」を叩いた一因だったのではないでしょうか。
打つ前に考えて欲しいリスクと報酬のバランス
ゴルフをしていると、誰にでも「チャレンジするか、安全策をとるか」の選択を迫られる場面が訪れます。
例えば、池越えの残り200ヤードというシチュエーション。普段なら、池の手前に刻んで次打でグリーンを狙うという人も、「ボールが浮いている」、「フォローが吹いている」などの条件がそろっていると狙いたくなりますよね。
そんな時、打つ前に考えて欲しいのが、リスクと報酬のバランスです。
チャレンジに成功した時、失敗した時の2パターンをイメージし、どちらを選択すべきかを冷静にジャッジしてください。
好条件がそろっていても、ミスした時のリスクが著しく高ければ、安全策をとるべき状況もあります。
そして、冷静にジャッジした結果、チャレンジを選択した場合は、勇気を持ってそのショットに挑んでください。
コ・ジンヨン
1995年生まれ、韓国ソウル出身。米ツアーの初勝利は2017年。翌年から同ツアーに本格参戦し、シーズン2勝を挙げてルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝く。19年のANAインスピレーションでメジャー初勝利を挙げ、同年はエビアン選手権でも勝利。メジャー2勝などの活躍で世界ランキング1位に上り詰めた。ツアー通算13勝(メジャー2勝)
【解説】石井 忍(いしい・しのぶ)
1974年生まれ、千葉県出身。日本大学ゴルフ部を経て1998年プロ転向。その後、コーチとして手腕を発揮し、多くの男女ツアープロを指導。「エースゴルフクラブ」を主宰し、アマチュアにもレッスンを行う。
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