まったく新しいものを試すよりベストの組み合わせを探す
4月のマスターズ以降は怪我の治療に専念して、PGAツアーから離れていた松山英樹。約1カ月ぶりの復帰戦となった「AT&T バイロンネルソン」では3位タイという好成績を残しました。この試合で注目を集めたのはドライバーのヘッドとエースシャフトを変更したことです。

マスターズまでドライバーは「スリクソン ZX7(以下、ZX7)」を使っていましたが、約1カ月ぶりの試合では「スリクソン ZX5(以下、ZX5)」に替えていました。もともと松山英樹は2020年の秋から「ZX5」を使い始めて、そのドライバーで2021年の「マスターズ」で日本人男子初のメジャー制覇を達成しました。
しかし、同年8月に開催された東京オリンピックから「ZX7」を使用。そのドライバーで同年10月の「ZOZOチャンピオンシップ」を制しています。22年に入って「ソニーオープン」で優勝したときも「ZX7」を使っていましたが、休養明けにはふたたび「ZX5」に戻したことになります。
20年モデルの「ZX7」と「ZX5」はどちらもヘッド体積は460ccになっていますが、「ZX5」の方が投影面積が大きいので、見た目が大きく見えて安心感があります。一方の「ZX7」はややディープフェース(ヘッドに厚みがある形状)になっていて、シャープな形状になっているのが特徴です。
20年には両モデルのテストを繰り返していましたが、当時から現在まで松山英樹のクラブを担当している宮野敏一さんはこう明かします。
「形状としては『ZX7』のほうが松山選手が好む顔になっていますが、トラックマンなどを使って飛距離を計測すると『ZX5』のほうがキャリーで3ヤードから5ヤードくらい飛んでいました」
ドライバーはヘッドを変更しただけでなく、シャフトも変えています。松山英樹は10年頃から「ツアーAD DI」をエースシャフトにしていましたが、この試合では「ツアーAD BB」を使っていました。過去にも松山英樹がエースシャフトを変更することはたびたびありました。昨年の東京オリンピックでは「ツアーAD UB」を使っていましたし、19年の試合では「ツアーAD GP」をテストしていたこともありました。実は「ツアーAD BB」も18年の6月頃、しばらく使っていました。
「ツアーAD BB」の特徴としては、「ツアーAD DI」よりもフェード系で弾道もわずかに低め。歴代の「ツアーAD」シリーズの中でも、かなりハードなシャフトと言われています。
松山英樹はクラブを替えるときも、新しいモデルを試すというよりは以前に使っていたヘッドやシャフトの中から現状で最も良い組み合わせを選んでいるようです。このドライバーで「AT&T バイロンネルソン」の最終日には10アンダーをマークして3位タイ。翌週の「全米プロ」でも期待が高まる結果となりました。
松山英樹の最新セッティング
ドライバー スリクソンZX7(ロフト/9.5度 シャフト/ツアーAD BB)
FW テーラーメイド SIM2(3W/15度 シャフト/ツアーAD DI 9 TX)
FW コブラ キング ラッドスピードツアー(5W/17.5度 シャフト/ツアーAD DI9 TX)
アイアン スリクソン Z-フォージド(番手/4I-9I シャフト/DGツアーイシューS400)
ウェッジ クリーブランドRTX4 フォージドプロト(46度、52度、56度、60度 シャフト/DGツアーイシューX100)
パター スコッティ キャメロン ニューポート2 GSS プロト