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松山英樹が選んだ新エースシャフト TOUR AD FIは「引っかけにくいのに高弾道」なぜ実現できた?
松山英樹(まつやま・ひでき)が長年愛用した「TOUR AD DI」からスイッチしたことで注目を集めるGRAPHITE DESIGN(グラファイトデザイン)「TOUR AD FI」。引っかけにくさと高弾道を両立した最新シャフトの特徴を、実測データと試打結果から検証します。
合う・合わないが極端に出るザ・カスタムシャフト
今回紹介するのは、GRAPHITE DESIGN(以下、グラファイト)の最新シャフト「TOUR AD FI」(以下、FI)です。

FIは「Flight Intelligence(フライト・インテリジェンス)」の略で、開発コンセプトは「賢く飛ばす」。その名の通り、非常に興味深い特徴を持ったシャフトです。また、後述しますが、マトリックス図ではかなり珍しい位置付けとなっている点も特徴です。それでは早速、実測データと打感から見ていきましょう。(文・クラブフィッター・石井建嗣)

まず、実際に測定した5S(50g台S)の振動数と、3球の弾道・計測値について触れます。測定条件は長さ45.5インチ、ヘッドはピン「G440 MAX」で重量202グラム(スリーブ込み)のドライバーです。
振動数は261CPM。これまでに紹介したシャフトの中で最も高い数値を取っています。グラファイトのシャフトは、いわゆる4大シャフトメーカー(グラファイト、フジクラ、三菱ケミカル、USTマミヤ)の中でも比較的硬めのものが多いので、個人的には特に驚きはなかったのですが、ベンチマークであるアッタスV2と比べると半フレックス程度硬めのシャフトということは知っておいてください。
振動数以上に感じる“手元の硬さ”

実際に打ってみた感想ですが、正直私に扱えるシャフトではないという印象を受けました。振動数を先に計測していたのでしっかりしたシャフトという認識はしていましたが、それ以上に硬さを感じました。
というのも、前回紹介した三菱ケミカルのディアマナBBは振動数が260CPMとFIと大差ない数値でした。しかしBBは気持ちよく振れたのに対し、FIは明らかに違和感を覚えました。
語弊があってはいけないのでお伝えしておきますが、この試打企画の感想はプレーヤーとしての私とフィッターとしての私の両面から解説しております。プレーヤーとしての感想はあくまでも私見です。むしろカスタムシャフトという位置付けなので、合う・合わないが極端に出てくれた方がフィッターとしての評価は高いです。そこをご理解いただき、読み進めていただければ幸いです。
話を戻します。違和感の正体は手元側の硬さです。BBは振動数の数値こそ高いものの、手元の剛性を抑えているのでまったりとした振り心地に感じました。対してFIは手元部分がしっかりしているため、棒のような切り返しのイメージになりました。
案の定、1球目はトップ気味の右ペラになりました。そこで次はトップを避ける意識だけを持って普通に打ってみると、今度は弾道の高いスライスになりました。3球目は絶対に捕まえてやるという意識で打ったのですが、やや引っかかりました。私にとってはかなり手強い相手でした。
引っかけにくいのに高弾道という新発想

ここからはフィッター目線で話しますが、非常に面白いシャフトと感じました。というのも冒頭で書きましたが、マトリックス図ではあまり見ない場所に位置付けされるシャフトだからです。
グラファイトを含めた多くのメーカーのこれまでのシャフトは、基本的にマトリックス図の左上か右下に位置付けされます。理由は簡単で、捕まると高弾道というのがセットで、引っかけにくいと低弾道がセットになるからです。
ここでシャフト特性を長々と話す気はありませんが、すごくざっくり言うとポイントは先端剛性です。先端部分を軟らかめに設計すると捕まりやすく、同時に弾道が高くなりやすいです。逆に先端を硬めにすると引っかけにくく、弾道も低めになります。
しかしこのシャフトは引っかけにくいのに高弾道なのです。おそらくここがグラファイトの言う「賢く飛ばす」の意味だと思います。
このシャフトは引っかけやチーピンのミスは避けたいが、弾道の高さはキープしたいゴルファーに最適です。また、ある程度スピンが入るシャフトなので、近年のロースピンヘッドに変えて初速は満足しているが、スピン量が極端に減ってしまった方はぜひ試してほしいですね。
最新ヘッドに合わせたDIの進化版

グラファイトのシャフトで手元も先端もしっかりとした硬さを持っている中調子といえば、真っ先に思い浮かぶのが2009年発売ながら未だにカタログから姿を消さないDIでしょう。DIといえば松山英樹が高校時代から使い続けている超ロングセラーシャフトです。
松山はクラブ変更をあまり好まないタイプであるにもかかわらず、今年の開幕戦からFIに変更しました。これはメディアでも大きな話題になったと同時に、FIがDIの後継シャフトであることを印象付けました。現にグラファイトのカタログに掲載されているシャフトポジションマップでも、FIとDIはかなり近い位置に配置されています。
ただ、フィッターとしては後継と言わずに進化版と捉えています。先ほど少しだけ触れましたが、このシャフトは近年のトレンドである高MOI+低スピンヘッドに対応して開発されています。
先端剛性はしっかりしているにもかかわらずスピンがある程度入るので、このシャフトにチェンジする際は各メーカーが出している最もロースピンモデルのヘッドに移行するという選択肢もアリだと思います。
一般的なクラブ選びの順番はヘッド→シャフトですが、このシャフトに関してはシャフト→ヘッドという特殊な選択肢も提案できます。
これまで紹介してきたシャフトの中で合う人が最も少ないニッチなシャフトですが、フィッターとしては一番ワクワクするシャフトです。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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