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「止まってください。って言ってるのにさぁ」河本結のツイートから考える“SNSとプロツアー”
宮里藍 サントリーレディスオープン初日、気になった観戦マナーについて、女子プロゴルファーの河本結がツイートしました。これに対し、共感、援護、批判、さまざまなリプライが寄せられました。果たしてプロゴルファーやツアーとSNSの距離感とは?
「大事な大事な、大事な、一打なの。集中して打たせてください」
SNS全盛時代。直接会える相手以外は、既存メディアを通すしか大勢の人に言葉を届ける術のなかったアスリートたちも、自分の気持ちを発信できるようになりました。特に、様々なイベントが制限されたコロナ禍の中で、その存在がクローズアップされた部分もありました。
言葉の一部を切り取って、意図したものとは違う形にされたり、報道する側の都合や思い込みで尾ひれが付けられたり、逆にに忖度や手加減が加えられることがないのがSNSのいいところです。スピード感もまったく違います。
発信者と受け取る側の言葉のキャッチボールも直接できるため、良くも悪くも“距離感”もグンと近くなります。同意や称賛だけでなく、批判や悪意も含めて、ですが……。個人のアカウントでSNSを通じて発信する場合、基本的にはマネージャーのような身近な人でさえ、止めることも守ることもできない。つまり発信に対する反応を正面から受け止めるのか、反論するのか、スルーするのかを自分で決めなくてはならなくなります。
日頃からSNSを使っている人にとっては、ごく当たり前のことですが、プロゴルファーのような有名人になると、その良さと危うさのどちらの幅も大きくなります。相手が多いほど、意見もさまざまになるのは当然ですね。
最近、河本結選手がこんなツイートをしました。
「止まってください。って言ってるのにさぁ。動かないで。ナイロン袋のガサガサも 聞こえちゃうから。お願いします。大事な大事な、大事な、一打なの。集中して打たせてください。お願いします。」
時刻は6月9日午後0時27分。宮里藍 サントリーレディスオープン初日、7時20分にスタートし、プレーを終えてさほど時間が経っていないタイミングです。
ゴルフは、プロの試合であっても選手と観客の距離がとても近いスポーツです。間にはかろうじてロープが張られていることが最近の試合では多くなっていますが、広いゴルフ場を観客が自由に歩き回りながら観戦するのが基本です。観客の側もある程度の知識やマナーを持っていないと危険だし、試合の進行の妨げにもなります。
試合の妨げにならないよう“観戦初心者”へのケアも大切
一方、ツアーに人気が出てファンが増えれば“観戦初心者”がコースに来ることも多くなります。他のスポーツ同様、ゴルファーでないファンを増やすことこそ、プロスポーツとしてゴルフが生き残る道でもあり、もちろん歓迎すべきことです。人が増えればさまざまなことが起きるのも、当然の成り行きです。
マナーを守ることが大切にされるゴルフだけに、観客側のマナーが問われることも多いのですが、前述の“観戦初心者”も含めたファンのみなさんにそれを分かってもらうことは、試合を行う側の仕事の一つだと言えます。
時代の変化とともに、マナーそのものや試合会場でのルールが対応していく必要もあります。その辺りも含めて、周知し広めることは、人気が出れば出るほど大切です。その仕事は主催者、運営関係だけでなく、選手自身もその一端を担っている部分があります。
河本選手のツイートに対しては、当然ながらさまざまな反応がありました。共感、援護、批判……。誹謗中傷は論外ですが、SNSで発信する以上、避けては通れません。
少し時間が経ってから、河本選手はこうもツイートしています。
「まぁ難しい問題だよなぁ。有観客で応援がパワーに変わっていいパフォーマンスができてる とも思うし。何言ってんだと思う方も いるかもしれないけど。選手が発言することでちょっとでも気をつけようと思ってくれる方が いてくれるといいなぁ。と。その分、選手はナイスプレーで返します!!」
河本のツイート内容の是非を、ここで云々したいわけではありません。SNSに書き込むということは、意図してもしなくても議論を生むことになります。それは決して悪いことではありませんが、一方でエネルギーを必要とするのも間違いありません。
観戦マナーはスタート表等に書くだけでは伝わらない
「沈黙は金」という文化が根強い日本の中でも、特にスポーツの世界にはまだまだそういう考え方が残っています。欧米では、プロゴルファーがツアーを批判したり、納得がいかなければファンにも苦言を呈するケースは珍しくありませんが、日本ではさほど多くはありません。けれども、それでは選手たちが何を考えているのか分からないのも事実。誤解も生じやすくなるでしょう。
世界との距離も近くなり、さまざまな文化の中で生きている以上、コミュニケーション能力を高めることは必須の時代。使い方次第ではありますが、SNSがその幅を広げてくれるのはまちがいありません。
諸刃の剣であることを十分に踏まえた上でのSNSでの発信は、アスリートたちにとって、存在を知ってもらう大切な機会です。自分の本質、本音を伝えることもあれば、遠慮のない言葉によって、間違いを指摘される場合もあります。SNSとの共存が当たり前になった今、そこでのあり方も試行錯誤の中で変化していくのでしょう。
SNSについて考えると同時に、女子ツアーだけでなくゴルフ界全体で観客に対する啓蒙活動をもっとしっかりする必要があります。
従来のように、入り口で配布するスタート表やウェブサイトにアリバイ的に書いただけ、では、コアではないファンには伝わりません。それこそSNSをもっと活用して「こんな風にマナーを守って観るのがイケてる」「プレーの妨げになる観戦スタイルはイケてない」と伝えて広めてもらう。伝達方法も含めて、改めて考えなくてはならないでしょう。
小川淳子
ゴルフジャーナリスト。1988年東京スポーツ入社。10年間ゴルフ担当記者として日米欧のトーナメントを取材する。1999年4月よりフリーランスとしてゴルフ雑誌やネットメディアなどに幅広く寄稿。
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