プロやキャディーさんによっても解釈はまちまち
グリーン上でラインを読むとき、よく使われる「カップ1個」右とか左。キャディーさんに狙いどころを聞くと、こうした表現で教えてくれることが多いと思います。
「カップ1個」と言われると、実際のカップの隣にもう一個カップがある絵をイメージする人が大半だと思いますが、さて、あなたはその仮想カップの“どこ”を狙って打っていますか?「本来のカップの真ん中に決めるのが理想だから、そこからカップ1個分右(左)とすると、当然、真ん中だよね」という人もいれば「本来のカップからどれくらい離れた地点かを言っているのだから、端っこが自然でしょう」という人もいるようです。
あるいは、いまだによく分からずに曖昧なまま、という人も少なくないのではないでしょうか。
カップ(ホール)の大きさは、世界共通のゴルフ規則で直径108ミリ(4.25インチ)と決まっていますから、真ん中と端っこの差は約5センチ。小さいようで大きいような……。いったいどっちが正解なのでしょうか?
「みなさん人それぞれで、どちらが正解ということはないようです」というのはコースでの実戦的レッスンにこだわるスクール「GEN-TEN」の寺嶋慶介コーチ。
実際、ゴルフ雑誌やネットの記述をいろいろと調べてみても、プロやキャディーさんの中でも見解が分かれていて、白黒つけられる問題ではなさそうです。
「キャディーさんや競技ではない友人同士のラウンドでの会話で使われる表現だと思いますが、曖昧さを避けたいなら“カップ1個”という言葉が出た時点でお互いに確認しておくといいかもしれませんね」
どちらが正解というよりは、その日のラウンドではどちらの解釈でいくのか、認識をすり合わせることがもったいないミスパットをしたり疑心暗鬼になることを防ぐ手立てと言えるかもしれません。
アマの多くはラインを薄く読みがち
ただし、アマチュアの場合、「基本的には“端っこのつもり”でいたほうが無難」と、寺嶋コーチは言います。
「わずか5センチの差ですから、ショートパットでない限りあまり気にしないでいいかとも思いますが、どちらかといえば、私としてはカップの端っこを想定したほうがいいと思います。なぜならアマチュアの方は、ラインを薄く読む人が圧倒的に多いからです」
「たとえば左傾斜のフックラインなら打ち出した瞬間からボールは物理的に左に出ます。この打ち出した瞬間の転がりを計算せず、真っすぐ転がると思う人が多い。そうなると想像より左に切れる。つまり、読みが薄いということになるのです」
1メートルくらいのショートパット以外は、カップを狙わず確実に2パット(超ロングパットなら3パットでOK)で上がることが大切。いかに2打目(あるいは3打目)をOKパットの距離に寄せるかが大前提です。
「イメージの仕方としては、カップにぴったりの距離でラインを読んでいただきたい。よく、オーバーしないと入らないなどと言いますが、それは高度で難しい。長い距離でもカップを狙うプロや上級者向け、と考えてください」
カップまでの距離ぴったりに打つ距離感で、曲がり幅やタッチを計算して打つ。そうなると、オーバーさせるより曲がり幅が厚くなるはずです。
「ただし、1メートルくらいのショートパットの場合、長い距離よりは打つ強さが当然弱くなるので、カップぴったりの距離で打つと傾斜の影響が強くなります。ですから、ショートパットに限ってはオーバーさせるつもりで。とはいえカップ20~30センチ程度でOK。それより強く打つのは危険なので気をつけましょう」
カップと同じ距離にラインを厚めに打つ。
こういうイメージでラインを読む習慣を身につければ、パッティングが確実に上達するでしょう。
寺嶋慶介コーチ
コースレッスンでリアルなゴルフを学べるスクール「GEN-TEN」(https://www.gen-ten.jp)所属。ビギナーを対象とした、常識にとらわれないレッスンが好評。