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- “韓国人頼み”から脱却しつつある訪日ゴルフ旅行 ブームの予感も外国人との“予約争奪戦”は心配なさそうな理由
コロナ禍でほぼストップしていた海外から日本へのインバウンド旅行が本格的に動き出し、ほうぼうで外国人旅行者の姿を目にする機会が増えてきました。そんな中、ゴルフを主目的とした旅行先としても日本が注目され始めています。ただ、一時期の過熱ぶりは一服したとはいえ、日本国内もゴルフブームで、ゴルフ場の予約が取りづらい状況が続いています。外国人との“予約争奪戦”なんてことにはならないのでしょうか。
3月には世界中のゴルフ旅行バイヤーが宮崎に
いま、日本のゴルフが世界から注目を浴びています。
ブリヂストン、スリクソン、ミズノ、三浦技研などを筆頭に、ハイクオリティーなゴルフブランドを世界に送り出す「ゴルフ用品大国」として知られてきた日本ですが、最近ではゴルフデスティネーション(ゴルフ旅行先)としても海外のゴルファーから注目を集めるようになってきました。
その要因は、日本の豊かな観光資源、食、文化が世界から注目を集めていることが大きいでしょう。ゴルフを主目的とした旅行=ゴルフツーリズムは、観光産業の一つとして古くから注目されてきました。ハイクラスなゴルフリゾートや国際大会を誘致してゴルフツーリストを呼び込むという活動は、アジアではタイをはじめ、フィリピン、ベトナム、カンボジアといった国々が積極的に行っています。
欧州でいえば、気候の良いスペインやポルトガルなどが人気のゴルフデスティネーションとして根強い人気を誇っています。それが昨今、ユニークな文化とゴルフが同時に楽しめる旅行先として、日本が人気を集めるようになってきたのです。
去る3月14~16日には、宮崎県のフェニックス・シーガイア・リゾートにて「第9回アジアゴルフツーリズムコンベンション」(AGTC)が日本初開催されました。このコンベンションは国際的なゴルフツーリズムの団体「IAGTO」が年に1度、アジアで開催する商談会で、世界30カ国330名の旅行会社やゴルフ場などが一堂に会するイベントです。サプライヤーと呼ばれるアジア各国のゴルフ場、ホテル、観光局などが商談テーブルを構え、バイヤーと呼ばれる世界各国のゴルフ旅行を販売する旅行会社がそのテーブルを回っていきます。
日本開催だったこともあり、日本からは北海道から沖縄までゴルフ場やホテル、旅行会社など計30社が出展しました。
海外からのバイヤーは、欧州、米国、オーストラリア、タイやシンガポール、韓国、中国など、多様な地域からはるばるやってきました。アジアのサプライヤーたちが集まるコンベンションで、アジア各国のゴルフ場と商談を行うことが主目的ですが、もっぱら彼らの関心は「日本を訪れること」でした。欧米の旅行会社はいまだ日本へのゴルフツアーの実績がない会社も多く、担当者自身が日本を視察し、ようやく新しい旅行商品を造成し始めたのです。
旅行者のラウンドは平日遅めの時間が中心
今までは日本を訪れる外国人ゴルファーといえば韓国がメインでしたが、このコンベンションを機にさまざまな国が日本へのゴルフ旅行の企画を本格化させています。AGTCの後、東アジア諸国に加え、オーストラリア、ニュージーランド、ドイツ、オランダ、タイ、シンガポールなどの旅行会社が、さっそく旅行商品を造成しました。すでに5月にはタイのグループが来日し、東京や箱根などのゴルフ場を巡りながら、日本の食文化とショッピングを楽しむツアーが催行されています。
現在は日本国内もゴルフブームとあって、スタート時間が取りにくい状況が続いていますが、旅行者の場合はほとんどのプレーが平日です。しかも、日本を周遊しながらゴルフを楽しむため、首都圏などの混雑したゴルフ場ではなく、観光資源豊かな地方のゴルフ場が選ばれることが多く、空いている枠をうまく利用できている印象です。また、ホテルでゆっくりと朝食を楽しんでから出発をするケースが多いため、10時以降の遅めのスタート時間が選ばれやすいことも特徴かもしれません。
日本のゴルフ場予約数の全体から見ればまだまだ少ないですが、旅行者によるプレーは少しずつ、確実に増えてきています。彼らはゴルフ文化も言語も違いますが、同じゴルフを愛する仲間たちです。ゴルフ場で出会ったら、ぜひ「日本を楽しんでいってね」と声をかけてあげてください。そうすれば、きっと私たちが彼らの国に行ったときも、歓迎してくれることでしょう。
文・薬師寺輝
ゴルフツーリズムコンサルタント、イベントプロデューサーとして活動し、IAGTO Japan Directorを務める。NibLinks代表。
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