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- 「甘い」「厳しい」は誤解? インドアゴルフ施設の飛距離データに“バラツキ”がある理由
インドア練習場で「いつもより飛ぶ」「この機械は厳しい」と感じたことがあるゴルファーも多いはずです。実は飛距離データには機種ごとの違いがあるそうです。シミュレーターの数値との上手な付き合い方を聞きました。
インドア施設の飛距離データは機種によって違いがある
インドアレンジやインドアスクールを練習拠点にするゴルファーが、ここ数年で一気に増えました。筆者自身も3〜4年前から練習の中心をインドア施設に移しています。理由はシンプルで、天候に左右されず、時間を確保しやすく、周囲の視線を気にせず練習に集中できるからです。真夏でも真冬でも一定の環境で練習できるのは、思っていた以上に快適でした。
実際、街を歩いていてもクラブケースを担いでインドア施設に向かう人をよく見かけます。都市部では「打ちっぱなし練習場よりインドアのほうが通いやすい」という感覚も定着しつつあるようです。
ただ、インドア施設に通っていると、以前から気になることがあります。それは「施設によって飛距離データが違うように感じる」という点です。同じクラブで打っているはずなのに、ある施設では飛び、別の施設では飛ばない。利用者の間でも、「あの店は甘い」「この機種は厳しい」といった会話を耳にすることがあります。

この点について、インドアスタジオの運営経験もあるレッスンプロの三浦辰施氏に話を聞いてみました。
「正直に言うと、インドアレンジの飛距離データはシミュレーションマシンの機種によって違うと思います。それは設定が「甘い」「厳しい」というよりも、何にフォーカスしているかの違いです」
「たとえばクラブの動きにフォーカスしている機種と、ボールの動きにフォーカスしている機種では、データに違いが出ます」
「前者はクラブがボールに当たる直前のスピードを検知しています。後者はボールに当たった瞬間のスピードを検知しています。クラブにボールが当たった瞬間、クラブのスピードは減速しますから、当たる直前に検知している機種よりもスピードは出ません」
つまり、インドア施設の数値は、「どれが正しいか」というより、「どんな考え方で測っているか」によって変わる部分があるということです。利用者が感じる“甘い”“厳しい”も、測定ロジックの違いによる可能性があります。
レンジボールの“飛距離補正”も設定が異なる
加えて、使用ボールの問題もあります。インドア施設では、スクリーンやネットの耐久性を考慮し、コースボールではなくレンジボールを使うケースが一般的です。レンジボールは「ボールスピードが4〜5%くらい落ちる」といいます。そのため、多くの機器では補正をかけて、コースボールと近い飛距離になるよう調整しています。
しかしながら、この補正が難しいようです。単純にボールスピードを上げるだけと、今度はスピン量とのバランスが崩れます。「ボールスピードは上がっているのに、スピン量がレンジボールのままなので、思ったより飛んでしまう」という現象が起きることがあるそうです。
したがって、一部の機種では「クラブの番手ごとに係数を変えられる」という話もありました。つまり、施設側がある程度、数値の味付けを調整できる余地があるということです。
そうなると、「ショップの試打室は飛ぶ」という都市伝説のような話も気になります。三浦氏も「ショップの試打室は普段よりも飛ぶと感じる人がいるのも不思議ではありません」と話していました。新しいクラブを試打したときだけ10~20ヤード飛ぶ、という声はアマチュアの間でもよく聞きます。
こうした事情を踏まえると、インドアのデータは「絶対的な正解」として見るよりも、「同じ環境の中で比較するための指標」として使ったほうが現実的なのかもしれません。同じ施設、同じ機器、同じ設定であれば、スイングの変化やクラブの違いを把握しやすくなります。
インドア施設は今後さらに増えていくと思いますし、データを活用できるのは大きな魅力です。ただし、その数字はメーカーや機種、設定によって変わる可能性があることも理解しておいたほうがよさそうです。数値が見られるのは便利ですが、ボールがどう飛ぶかどうかを最後に決めるのは、やはり実際のショットそのものなのでしょう。
保井友秀(やすい・ともひで)
1974年生まれ。出版社勤務、ゴルフ雑誌編集部勤務を経て、2015年にフリーライターとしての活動を開始。2015年から2018年までPGAツアー日本語版サイトの原稿執筆および編集を担当。現在はゴルフ雑誌やウェブサイトなどで記事を執筆している。
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