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- “ぶっ飛び女子”神谷そら “道具を替えない”今平周吾が使うヤマハ新作ドライバーの性能は? 3機種を試打比較
ヤマハの新しい「RMX VD」シリーズが2023年10月から発売されています。新ドライバーにスイッチしてから、飛ばし屋として知られる神谷そらが女子ツアーで2勝、今平周吾が男子ツアーで2勝、藤田寛之が日本シニアオープンで優勝を果たしました。結果を出してきたドライバーの性能をゴルフライターの鶴原弘高が試打検証しました。
3モデル展開のドライバーはどれも前作より重心位置が浅くなっている
新しい「RMX VD」シリーズのドライバーには、「RMX VD/R」「RMX VD/M」「RMX VD/X」の3モデルが用意されています。シリーズ全体的には従来よりもヘッドの重心深度が浅くなっていて、振りやすさ、ヘッドスピードの上げやすさ、操作性の良さを重視した設計になっているのがポイントです。
今平周吾が使用している「RMX VD/R」は小ぶりヘッドのモデル。ソールのトウ・ヒール方向に移動できるスライド式ウエートを備えていて、最も重心が浅いモデルにもなっています。
飛ばし屋として知られる神谷そらが使っている「RMX VD/M」は、ソールの前・後方に移動できるスライド式ウエートを備えています。構えたときの投影面積は大きめで、3つのモデルのなかでは中間的な性能のモデルです。
もう一つのモデル「RMX VD/X」は、4つのポジションを選べる付け替え式ウエートを搭載。3モデルの中では重心深度が深めで、どちらかいうとアベレージゴルファーがやさしく打ちやすく、球をつかまえやすい設計になっています。
ちなみに、藤田寛之が日本シニアオープン優勝時に使用していたのは市販されていないプロトタイプのモデルですが、性能的には「RMX VD/R」に近いモデルのようです。
今回の試打クラブは、3モデルともロフト角10.5度。「RMX VD/M」と「RMX VD/X」が標準シャフト「TENSEI TR」のフレックスS、「RMX VD/R」のみカスタムシャフトの「TOUR AD VF-5」のフレックスSで試打しました。
最もやさしい「X」はウエートの付け替えによって球筋が大きく変わる
アベレージゴルファー向けのモデルとなっている「RMX VD/X」は、ほんの少しネックにオフセットが付いているのが特徴です。そのおかげでアイアンと同じような印象で構えやすく、ドライバーに苦手意識を持っている人には安心感がありそう。そのわりにフックフェースではなく、フェース面はしっかりとターゲットを向いてくれるので、ボールが左に飛び出しそうな雰囲気もありません。構えてみると、このあたりがヤマハのクラブらしく、非常にうまくつくられているように感じます。
打ってみると、「キン!」という小気味いい弾き音とともにボールが高く飛び出し、フェアウェイの左端に着弾。標準仕様のウエート位置(ヒール側から2番目)でも球がよくつかまり、球が右に飛び出すことがありません。筆者が打つと、球がつかまりすぎる傾向にありますが、ウエートポジションをトウ側の2番目にすると、ちょうどいいドロー弾道に。最もトウ側のポジションに移動させて打ってみると、別モノのドライバーのようにヘッドの重さを感じやすくなり、フェースターンが抑えられ、ストレートからフェードの弾道に変わりました。
打ち出し角が高く、スピンは適度に入ります。ドライバーを高いティーアップでアッパーに打つのが苦手な人、右方向に打ち出してしまうスライスに悩んでいる人には良さそうな性能です。また、ウエートポジションによって振り心地や弾道が大きく変わるため、今はスイング改善に取り組んでいて、今後いろいろ調整して使い続けたい人にもうってつけだと思います。
真ん中の「M」は直進性が高くて低スピン! 構えやすさが秀逸
クセのないオーソドックスなヘッド形状。ソールの据わりが良く、ボールの後ろにヘッドを置くと、素直にフェースがターゲットを向いてくれます。それだけでなくフェースのトップラインとフェース全面が平行に揃って見えるので、構えやすさについては最上級と言っていいでしょう。
筆者が標準のウエートポジションで打つと、弾道はストレートからフェードめ。打ち出し角のわりにスピン量は少なく、「RMX VD/X」と比較すると300~500回転はスピン減となります。選択するロフト次第では強弾道が打ちやすい性能です。また、弾道直進性が高いところには現代的なヘッド性能も感じられます。
アスリートタイプのゴルファーに好まれそうなヘッド性能ですが、一つ気になったのは打感です。金属的な弾き音がして、筆者には少し耳障りにも感じられました。打感や打音には好みがあるので、フィーリング面については個々のゴルファーに試打して確かめてもらいたいです。
投影面積が小さい「R」は往年のヤマハの良さと現代的な性能を融合
ヘッドの投影面積が小さく、いかにも操作性が良さそうで、見た目からして完全にアスリートユースのモデルです。ただし、ヘッドシェイプの美しさには往年のヤマハらしさが感じられ、「こういうモデルを待っていた!」という人も多いはず。決してオープンフェースではないのですが、フェースのヒール側に張り出し感があり、引っかけにくそうなオーラを醸し出しているのも特徴的です。
打ってみると、他の2モデルよりも打感がやわらかく、フェースの球持ちが長く感じられます。そして「RMX VD/M」よりも、さらに200~300回転ほどスピン量が少ない強弾道になりました。
3モデルのなかでは、最も重心位置が浅いため、球が右に滑るのではないかと危惧していましたが、それほど手厳しい印象はありません。ヘッドの操作性が良いおかげでフェースターンをしやすく、意外といい球を打ちやすいと感じるゴルファーも多いでしょう。ただし、スピン量はかなり少ないので、もともと弾道の高さを出せる人でないとドロップしてしまう危険性はあります。
各モデルの対象ゴルファーが満足できる優秀な弾道特性
「RMX VD/X」は球をつかまえやすいアベレージ向け、「RMX VD/M」は現代的なアスリート向け、「RMX VD/R」は小ぶりを好むアスリート向け。3モデルは各ジャンルの対象ゴルファーがうまく打てるように差別化して開発されていて、それぞれ優秀な弾道性能を備えています。
新しい「RMX VD」シリーズは、前作からガラッと印象が変わっていて、そこに戸惑ってしまう人がいるかも知れませんが、ヘッド性能は期待を裏切らないはずです。
最後に、この新シリーズからスリーブの形状が変更されています。従来スリーブのシャフトを所有していても、新シリーズのヘッドには取り付けられないので注意が必要です。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram:@tsuruhara_hirotaka
【取材協力】フライトスコープジャパン
今回の取材はフライトスコープジャパン本社内のパフォーマンススタジオをお借りし、「FlightScope MEVO Range」と「Pro V1 RCT」ボールを用いて計測を行いました。
公式サイトhttps://flightscope.co.jp/
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