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長い距離をラクに打てるUTはどっち? 同じキャロウェイでも正反対の「APEX UW」と「スーパーハイブリッド」を比較試打
キャロウェイは、豊富なユーティリティーのラインアップを揃えています。そのなかには、ゴルファーの苦手をなくすように開発された新ジャンルのモデルも展開されています。ゴルフライターの鶴原弘高が、「APEX UW」と「パラダイム スーパーハイブリッド」を比較試打。各モデルがどんな性能なのかを検証しました。
フェアウェイウッドが苦手な人向けと、ユーティリティーが苦手な人向けのクラブ
ユーティリティーは登場した当初、3番や4番アイアンといったロングアイアンに代わる番手としてつくられたクラブでした。それが時代とともに位置付けやゴルファーの認識が少しずつ変わり、現代ではフェアウェイウッドとミドルアイアンの間の距離を埋めるためのクラブとしてよく使われています。
7番ウッドや9番ウッドだと球が上がりすぎるという人や、アイアン型ユーティリティーだと難しく感じるという人にとって、ウッド型ユーティリティーはロングレンジの距離をラクに打つときにとても重宝するクラブです。
キャロウェイには通常のウッド型ユーティリティーのほかに、新ジャンルのユーティリティーを展開しています。それが「APEX UW」と「パラダイム スーパーハイブリッド」です。
「APEX UW」は、“ユーティリティー・ウッド”の頭文字から命名されているモデルで、フェアウェイウッドに近いユーティリティーです。ヘッド体積や形状は、同じロフト角のショートウッドよりも小ぶりでシャープ感があり、それでいてクラブの長さは通常のユーティリティーよりも長め。さらにシャフトの先端径がフェアウェイウッドと同じになっているため、装着されるシャフトはユーティリティー用ではなく、ドライバーやフェアウェイウッド用となっています。つまり、ヘッドは小ぶりでも、シャフトを含めた振り心地までが限りなくフェアウェイウッドに近いのが「APEX UW」です。
「パラダイム スーパーハイブリッド」は、チタン製のヘッドを採用している高価なモデルになります。ユーティリティーとしては大ぶりのヘッドが特徴で、クラブの長さは一般的なユーティリティーと同じ。同じロフト角のショートウッドよりもクラブ自体が短いので当てやすく、やさしく直線的に飛ばしやすいクラブとして開発されています。こちらは、ショートウッドが苦手な人向けのクラブと言ってもいいでしょう。
「APEX UW」と「パラダイム スーパーハイブリッド」は、ユーティリティーという同じジャンルに属していますが、メーカーの開発意図からして正反対と言ってもいいぐらいの2機種です。実際に打ってみるとどんな違いがあるのか、同じロフト角の21度で試打比較して確かめてみましょう。
前作よりもスピンがよく入り、操作性がいい「APEX UW」
「APEX UW」は、今作で2代目になります。2022年に発売された初代モデルは、ロフト角以上に飛ばせる性能で人気がありました。ただし、強く前へと飛ぶ弾道になるため、グリーンに止まる球を打ちづらいという意見もゴルファーからは出ていました。
最新モデルの「APEX UW」を打ってみると、前作よりもスピンが多く入るようになっていて、ボールがキレイに吹け上がります。スピンのおかげで弾道の最高到達点が高く、このヘッド性能であれば、グリーンに止まる球を打つことも容易です。
また、「APEX UW」の特徴的な性能として挙げられるのは、弾道の操作性がいいところです。ヘッドを自在に動かしやすく、なおかつスピンもしっかり入ってくれるので、ドローやフェード、弾道の高低を打ち分けしやすいクラブになっています。
ミスに強くて高弾道! 直進性も強い「パラダイム スーパーハイブリッド」
「APEX UW」のヘッド体積が125ccなのに対して、「パラダイム スーパーハイブリッド」は144cc。構えた時のヘッド投影面積はかなり大きく、思わず「おっきいな」という感想が口から漏れてしまうほど。ただし、ユーティリティーが苦手な人からすると、当たってくれそうな安心感をもたらしてくれるヘッドサイズになっています。
キャロウェイのチタン製「スーパーハイブリッド」は、おそらくこのモデルで3代目。定番的な隠れた人気モデルとなっていて、その理由はボール初速の出しやすさと飛ばしやすさにありました。その一方で、従来のモデルはフェース面の見た目が独特で、ターゲットに対してスクエアに構えづらいという意見が出ていたのも事実です。
最新の「パラダイム スーパーハイブリッド」になって、懸念点だった構えづらさはずいぶん解消されています。実際にボールを打ってみると、直進性と弾道の高さにビックリ! 少しぐらい打点がズレても、スイング軌道がおかしくなっても、ある程度の幅の中にボールが収まり、高弾道で真っすぐに飛んでくれます。トップ気味の当たりにも強く、とにかくミスに寛容でやさしく打てるクラブです。
こちらもスピン量は多めになるタイプで、標準装着されているシャフト「VENTUS TR 5 for Callaway」はフレックスSでも軟らかめ。筆者がドライバーのヘッドスピード45m/s前後の感覚で打つと、大ぶりのヘッドの影響もあって、シャフトが戻りきらずに右方向に飛ぶボールがよく出ていました。この標準シャフトだと、ドライバーのヘッドスピードが40m/s前後の人にマッチしそうです。
ボール初速の出しやすさと弾道の高さは、どちらのモデルも最高レベル
キャロウェイ独自のAIを使ったフェース設計のおかげなのか、どちらのモデルもボール初速を出しやすく、オフセンターで打ったミスショットでも飛距離が落ちづらい性能を備えています。さらにスピンも適度に入ってくれるので、高弾道でグリーンに止まる球を打ちやすいです。そういった実戦的な性能も備えているところは、2つのモデルの共通点として挙げられます。
「APEX UW」は、そういったミスヒット時の寛容性を備えているものの、比較的ヘッドを機敏に動かしやすいのが特徴です。そのおかげで操作性が良いのですが、どちらかいうと中上級者向けのクラブです。注意点としては、クラブ自体が少し長いところ。21度の標準の長さは40.5インチですが、カスタムシャフトを装着すると41インチとなり、ユーティリティーとしてはかなり長いクラブになります。ゴルフクラブは、長ければ長くなるほど、芯に当てづらくなって難しくなるもの。その点から考えても、やはり「APEX UW」は中上級者向けのクラブといえます。
それに対して、「パラダイム スーパーハイブリッド」はヘッドが大きく、ある意味では鈍感で、クラブ自体も長くありません(ヘッドの投影面積が大きいおかげで、むしろ短く感じるぐらい)。多くのゴルファーにとっては「パラダイム スーパーハイブリッド」のほうが打ちやすく、スコアに貢献するクラブになりそうです。難点を挙げるとすれば、ユーティリティーにしては価格が高すぎるところなのですが、そこはスーパーな性能のハイブリッドなので、ご了承いただきたく。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :@tsuruhara_hirotaka
【取材協力】フライトスコープジャパン
今回の取材はフライトスコープジャパン本社内のパフォーマンススタジオをお借りし、「FlightScope MEVO Range」と「Pro V1 RCT」ボールを用いて計測を行いました。
公式サイトhttps://flightscope.co.jp/
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