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- 難しいシャフト選び…もう曖昧なフレックス表記はあてにしない! これからは「振動数」の時代だ!って本当?
近年、数多くのメディアで「振動数」という言葉を目にしますが、きちんと理解している人は少ないと思います。人気クラブフィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに振動数について聞きました。
振動数はシャフトがしなり戻る速さ
近年、数多くのメディアで「振動数」という言葉を目にします。何となくシャフトの硬さの目安の数字なのかな?と思っている人は多いようですが、振動数をきちんと理解している人は少ないと思います。今回は最近注目を浴びてきた振動数について詳しく解説します。
振動数を解説する前に、そもそもなぜこの数値が近年になって日の目を見るようになったのかを説明します。
ゴルファーにとって、シャフトの硬さの一番の目安になるのはフレックス表記だと思います。フレックスとはシャフトに書かれたアルファベットの表記で一般的にL→A→R→SR→S→Xという順番で硬くなっていきます。ただ、このフレックス表記の厄介な所はメーカーやブランドによって基準がバラバラな点です。
極端な言い方をすればすごく硬いRがあったり、逆にすごく軟らかいSがあったりするという事です。「あっちのRシャフトはこのSシャフトより硬い」という逆転現象が起こることも多々あります。そうなるともはやシャフトに書かれているフレックス表記が信用できません。じゃあ代わりになる指標は何か?という時に焦点が当たったのがまさに今回お話する振動数なのです。
では、ここから振動数について詳しく説明します。この数値が表す本当の意味は「シャフトがしなり戻る速さ」です。よく振動数を説明する時に「シャフトの硬さを“表す”数値」という人がいますが、厳密に言えばこれは正しくはありません。振動数はCPMという単位で表されますが、これは「Cycles Per Minute」の略で要するに1分間にシャフトが何回しなり戻りを繰り返したかを計測した数値です。
振動数は硬さの「目安」になる
つまり、数値が大きければしなり戻りが速く、数値が小さいほどしなり戻りが遅いという事になります。つまり、硬さを表した数値ではありませんが、硬さの目安になる数値であることは間違いではありません。フレックス表記があてにならなくなった近年、この振動数がシャフト選定の新たな基準になってきているのは確かです。
ちなみに振動数はドライバーからウェッジまで全て測ることが出来ますが、クラブは番手によって長さが違います。一番長いドライバーはボールに当たるまでの半径が大きく、逆にウェッジは小さくなります。半径が小さいクラブはボールに当たるまでの時間が短くなるので早くヘッドが返ってこないと上手くインパクトを迎えられません。つまりクラブの長さが短くなるごとにしなり戻りが速くなる、要するに振動数の数値が上がっていくのが適正なクラブセッティングになります。
なお振動数が適正値より小さい場合、ヘッドが遅れてくるのでフェースが開いて当たる、またロフトがつくので右に高い球が出やすくなります。逆に適正より大きい場合はしなり戻りが速いのでフェースが閉じる、さらにロフトが立つので左に低い球が出やすくなります。
しかし、誰しも振動数が合っていようがなかろうが真っすぐ打とうと試行錯誤します。そうするとしなり戻りが遅いシャフトを使っているゴルファーは、ヘッドが戻って来るのを待つために体の回転を止めて打つ癖がついたり、逆にしなり戻りが早いシャフトを使っている人は、球を上げようとしたり右に打ち出そうとしてシャンクしたりします。どちらにしてもクラブに自分のスイングを合わせる事になるので決して良いスイングにはなりません。
以上をまとめると振動数は「シャフトがしなり戻る速さ」を数値化した値で、硬さの目安になる数値です。そして私が行っているフィッティングにおいてはドライバーからウェッジまでの振動数のフローを合わせる事で、クラブを持ち替えても同じような硬さに感じやすいので上手く打てる確率が格段に上がっています。自分のクラブセッティングにおける振動数のフローが気になる方は、一度フィッティングを受けてみる事をおススメします。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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