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- キャビティーとマッスルバックを組み合わせたい! 異なるモデルで構成するコンボセッティングのメリット&デメリット
全米女子OPで自身2度目のメジャー制覇を果たした笹生優花選手。優勝のクラブセッティングを見ると、マッスルバックとキャビティーアイアンを番手ごとに組み合わせた「コンボセッティング」になっています。PGAプロに多く見られる「コンボセッティング」はアマチュアがマネしても大丈夫なのでしょうか。
同じモデルだとカバーできない緻密な弾道イメージを実現
今年の全米女子オープンは笹生優花選手が優勝し、海外メジャー2勝目という日本人初の快挙を成し遂げました。
そんな笹生選手のキャディバッグを覗いてみると、4、5番アイアンはキャビティー、6番アイアン以下はマッスルバックと、2種類のアイアンを混ぜて使うセッティングとなっていました。こういう別モデルを混ぜて使ういわゆる「コンボ」セッティングについて、ゴルフフィールズユニオンゴルフ店の小倉勇人店長に聞いてみました。
笹生選手のアイアンは、4、5番アイアンがキャロウェイの「APEX CB」というキャビティーモデルで、6~9番アイアンが同じキャロウェイの「APEX MB」というマッスルバックアイアン。
こういったコンボセッティングは、PGAの選手などにもよく見られます。アダム・スコット選手は4番アイアンがダンロップの「スリクソンZX5 Mk II」、5~7番アイアンが「スリクソンZX7 Mk II」、8、9番が「スリクソンZフォージド II」と、3機種のアイアンをコンボさせています。
コリン・モリカワ選手も3番アイアンがテーラーメイド「P790」、4番アイアンは「P770」、5、6番アイアンは「P7MC」、7番アイアン以下が「P730」と、4種類ものアイアンを混ぜて使っています。
彼ら以外にも、笹生選手のように下はマッスルバックで上だけキャビティーバックを使うという選手は多数います。
「こういったコンボセッティングは、ショートアイアンはコントロール性が高いマッスルバックを使いつつ、ロングアイアンは球が上がりやすくミスに寛容なキャビティーや中空モデルにするというように、上の番手に『やさしい』アイアンを入れることで全体のバランスをとることがおもな目的です」
「うまく構成できれば、単一モデルのセットではできない番手ごとの緻密な弾道の演出や役割分担をすることができます」(小倉店長)
6番アイアンまではイメージどおりの弾道が打てるが5番アイアン以上では少し球が上がり切らないとか、ショートアイアンのバックスピン量をもう少し増やしたいなど、具体的な弾道のイメージを実現するための手段として、有効な方法の一つといえるでしょう。
実現するには細かな調整とハイコストを覚悟する必要がある
しかし、普通のアマチュアゴルファーがきちんとしたコンボアイアンセッティングを組み上げるのは、なかなかハードルが高いと小倉店長はいいます。
「構えた顔の形状やロフト設定などの流れを整えるためには、コンボを前提としたアイアン同士の組み合わせでないと、なかなかキレイな流れは作れません。モデルが切り替わったところで顔がガラッと変わってしまったり、飛距離の階段が崩れるようでは、コンボのメリット以上にデメリットが強くなってしまいます」
「笹生選手の使うキャロウェイの『APEX』シリーズやタイトリストの『Tシリーズ』などはコンボを前提としたシリーズ構成になっていますが、それ以外の多くの場合では、単純に同メーカーのモデル同士を組み合わせてもスムーズな流れにはならないので注意が必要ですよ」(小倉店長)
さらに、顔やロフトだけではなく、重量やバランスなどの問題もあります。
同じシャフトで組み合わせたとしても、もともとの長さの設定が違うケースもありますし、ヘッド重量の差などで重さの階段がそろわなかったりします。さらに、バランスに大きな差が出たりすると振り心地がバラバラになり、アイアンセットとしての統一感が出せなくなります。
実際にコンボアイアンとして使う場合は、ただ2つのモデルを組み合わせればいいということにはならず、工房などでそういった微調整を行う必要があるでしょう。
「もう一つ現実的な問題として、コストがあります。いまはほとんどのアイアンが『セット売り』なので、コンボセットを作るためには複数セットのアイアンを買い、そのなかから使うものだけをピックアップすることになります」
「最低でも、アイアン2セットぶんプラス、それを工房で調整するコストがかかるのです。大手メーカーではほぼ唯一、ピンがアイアンを1本ずつバラ売りしているのと、タイトリストはフィッティングを受けての注文販売であればコンボ対応をしていたはずですので、この辺が現実的なところだと思います」(小倉店長)
なお、大手メーカーではないパーツ売りのいわゆる「地クラブ」系のメーカーでは、番手ごとのバラ売りをしていることも多いので、コンボセッティングを目指すのであれば、こちらも有効な選択肢になるでしょう。
また、大手メーカーでもアイアンセットは6番~PWで、ロングアイアンは単品売りというケースもあるので、こういった商品を活用して「5番だけキャビティー」などのような構成にするのも手かもしれません。
このように、実際に組み上げるのはたいへんですが、実現すれば番手ごとに自分好みの弾道を得ることができますし、いかにも「通っぽい」セッティングでかっこいいです。
興味を持った方は、工房に相談してみてはいかがでしょうか。
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