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- 「難しいクラブを使った方が上達が早い」この考えは古い? オーバースペックアイアンを使うメリット&デメリット
「難しいクラブを使った方が上達が早い」という人がいますが本当なのでしょうか?今回はオーバースペックのアイアンで練習するメリットやデメリットを、人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
以前は圧倒的にクラブの選択肢が少なかった
たまに、上達するためには「マッスルバック」などの難しいアイアンを使って練習するほうが良いという人がいます。確かに芯の狭いクラブで練習することでナイスショットとミスショットの違いが顕著に現れやすくなるのは事実です。
またシャフトも重いモノで練習しておけば、軽くなった時に楽に振れるという考えもあながち間違いではありません。ただ、オーバースペックのアイアンで練習することは良いことばかりではありません。本日はオーバースペックアイアンを使うメリット、デメリットを詳しくお伝えしようと思います。
そもそもこの考え方は比較的年配のゴルファーが口にすることが多い印象です。というのも20年以上前はこの考え方が当たり前だったからです。なぜ当時はこの考え方が主流だったかというと、現在よりも圧倒的にクラブの選択肢が少なかったからです。
ヘッドも今より難しいモデルが大半でしたし、スチールシャフトに関していえば「ダイナミックゴールド」か「NSプロ950GH」という選択肢しかなかったような時代です。選択肢が少ないがゆえに、若いうちはできるだけ難しいヘッドと、できるだけ重くて硬いシャフトの組み合わせで練習することで上達が早くなるという教えが普通となっていました。同時にそれを打ちこなすことを美徳と感じる人も多く、当時はほとんどのゴルファーがそれを実践していました。
ただ、現在はギアの選択肢が当時より圧倒的に増えています。ヘッドはキャビティや中空モデルが登場し、とにかく芯が広いモデルが主流です。またストロングロフトの登場により、ハンドファーストに打たなくても勝手に球が上がり距離が出るようになりました。
また、シャフトの進化はそれ以上でスチール、カーボン問わず数多くのアイアンシャフトが発売されています。以前は重く硬いスチール、軽く軟らかいカーボンというイメージがありましたが、現在は60グラム台のスチールシャフト、120グラム台のカーボンシャフトがあるくらい選択の幅が増えています。選択肢が増えたということは、それだけ個々のゴルファーに合った組み合わせができるようになったということです。そうなってくると無理にオーバースペックのクラブを使って練習するのではなく、本当に自分に合ったクラブで練習した方が、練習効率が上がるのは間違いありません。
難しいヘッドは芯で打つ感覚を養える
オーバースペックアイアンを使用するデメリットですが、これは特にシャフトに関して見受けられます。私のフィッティングデータではまず重すぎるシャフトを使用しているゴルファーは入射角が甘くなる、簡単にいうとダウンブローに打ちにくいという弊害が生まれます。また硬すぎるシャフトを使っている人はスイング軌道が暴れる可能性が高くなります。少なくともシャフトに関しては自分に合ったモノで練習する方が間違いなく上達が早いです。
ヘッドに関しては、難しいモノを打ちこなすことで、芯で打つ感覚を養えると思います。また、そういうアイアンの大半はロフトが寝ています。ダウンブローかつハンドファーストでインパクトしないと飛距離が出ないので、そこも難しいヘッドを使って練習するメリットといえるでしょう。
クラブの選択肢が少なかった時代は「自分がクラブに合わせる」という考え方が普通で、そのクラブを打ちこなすために自分のポテンシャルを高めるという時代でした。ただ現在は「クラブを自分に合わせる」時代になり、自分に合うギアで効率よく上達することができます。ギアの進化ももちろんですが、タイムパフォーマンスが求められる時代だからこそ、ゴルフギアに対する考え方も変わってきているのかもしれませんね。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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