- ゴルフのニュース|総合ゴルフ情報サイト
- 記事一覧
- ギア・グッズ
- “バルジ”と“ロール”がウッドのミスを軽減してくれる! 中級ゴルファーなら知っておきたい「ギア効果」とは?
ドライバーで芯を外した際に「ギア効果」の影響でミスが軽減されると聞いたことがある人は多いと思います。今回はギア効果についてについて、人気フィッターの石井建嗣(いしい・たけし)さんに聞きました。
水平方向のカーブを「バルジ」、垂直方向のカーブを「ロール」
ドライバーで芯を外した際に「ギア効果」の影響でミスが軽減されると聞いたことがある人は多いと思います。ただ、実際にどれほど影響があるのかわからないという人も多く、OBを多発するゴルファーの中には、その性能を全く感じたことがないという人もいます。今回はギア効果について解説いたします。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

ドライバーなどウッドのフェース面は、よく見ると緩やかにカーブしています。水平方向のカーブを「バルジ」、垂直方向のカーブを「ロール」といいます。このバルジとロールのおかげで、ヒールやトウ、芯の上下に当たると「ギア効果」が発生しますが、その際に飛球方向のばらつきを減少させてくれます。もう少し具体的にお話しします。水平方向のギア効果の方がイメージしやすいと思いますので、まずはヒールとトウに当たった時の例を紹介します。
基本的に右打ちの場合、ボールがヒールに当たるとフェースは左を向き、ボールは左方向へ打ち出されます。しかしヘッドが回転することで、ボールに逆回転が生じます。これがまさにギア効果で、2つの歯車がかみ合った時に起こる現象に近いのでこういう名前が付けられています。
つまりフェースが左に回転したことでボールには右回転がかかり、結果スライス回転がかかってターゲット方向へ戻るのです。もちろん逆にトウに当たるとフェースは右を向き、ボールは右方向へ打ち出されますが、左回転(フック回転)がかかることでターゲット方向に戻ります。ちなみにヒールに当たるとスライス回転がかかるためスピン量は増え、トウ側に当たるとフック回転になるのでスピン量は減ります。
今の説明からも分かるように基本的にギア効果はヘッドが回転する、要するに真芯から打点がずれることによって起こります。逆にいえば真芯で打てればギア効果は起こりません。ただ、フェースにおける真芯というのは本当に小さな点なので、基本的にはほとんどのショットにおいてギア効果は生まれているといえます。そして打点位置が真芯からずれればずれるほどヘッドの回転が大きくなるためギア効果も大きくなるのです。
ギア効果はあくまでも「お助け機能」
では、ここからは垂直方向のギア効果について説明します。芯の上と下に当たった場合はバックスピン量に大きな影響を与えます。芯の上に当たるとヘッドが上を向き、打ち出しが高くなります。ただ、ギア効果によってボールのスピン量が減り、弾道が上がりすぎるのを抑えてくれます。逆に芯の下に当たるとヘッドは下を向き、打ち出しが低くなりますがスピン量が増え、弾道を上げる効果が生まれます。
ここまで説明すると、ギア効果はすごい性能だと感じる人も多いと思いますが、あくまでも「お助け機能」としての要素が強いことを認識しておいてください。飛んでいくボールの行方はギア効果よりもフェースの向きやスイング軌道の方が大きく影響します。例えばインパクトでフェースが開いて右に出たり、閉じて左に出たりしても、ヘッドが回転しない限りギア効果の恩恵は受けられません。ギア効果はある程度真っすぐに飛ばせる人にとっての補助的な機能というわけです。
また、近年は打点がぶれてもヘッドが回転しにくい超高慣性モーメントのヘッドも登場しております。ヘッドの上下左右慣性モーメントの数値が10000g/cm2を超すモデルも登場しているので以前ほどヘッドが回転しないという特徴もあります。そうなってくるとますますギア効果の影響が少なくなってきます。
以上のことから、当たり前ですが、ギア効果を期待してターゲット方向に飛ばすよりも、できる限り芯付近で打って真っすぐ飛ばす練習をすることを強くお勧めします。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
- 1
- 2
最新の記事
pick up
ranking