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- 飛距離だけ見ていませんか? アイアンのパーオン率を左右する「落下角」の重要性
近年のクラブフィッティングで重要視される「落下角」。PGAツアーでも注目されるこの数値は、グリーンでボールを止める性能に直結します。アマチュアが目指すべき基準値や、落下角を改善するクラブ選びのポイントを解説します。
落下角とは「どの角度でグリーンに落ちるか」
近年の弾道測定器の進化には目を見張るものがあります。以前はヘッドスピードや飛距離、打ち出し角、スピン量程度しか測定できず、専用ボールが必要な機種も少なくありませんでした。しかし現在では、マイボールを使いながら、さまざまなデータを高精度で計測できるようになっています。
こうした弾道測定器の進化は、クラブフィッティングの考え方にも変化をもたらしました。その代表的な指標が、今回取り上げる「落下角」です。本稿では、落下角を中心に最新のフィッティング事情について解説します。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

まず、落下角とは何かを説明しましょう。落下角とは、ボールが最高到達点を過ぎてから、主にグリーンに対してどのような角度で落下していくかを示す数値です。
日本では比較的最近になって注目され始めた指標ですが、実はPGAツアーでは2018年頃から重要視されていました。PGAツアーのグリーンセッティングやピンポジションが非常にシビアであることは広く知られています。そうした環境では、グリーンに着弾した後にどれだけボールが転がるかが重要になります。そこで着目されたのが落下角です。
ちなみに現在のPGAツアーでは、落下角が50度以上ないとボールをグリーン上で止めにくいといわれています。
もう少し詳しく説明します。私自身もそうですが、従来は「初速・打ち出し角・スピン量」といった、いわゆる“飛びの3要素”を中心に弾道を評価していました。つまり、ボールの出発点に注目していたわけです。
一方でPGAツアーでは、グリーン上の着地点から逆算して弾道を考えています。言い換えれば、ボールがどこに、どのように着地するかにフォーカスしているのです。
一見すると目からウロコの考え方ですが、冷静に考えればスコアメークにおいて重要なのは、最終的にボールがどこに止まるかです。その意味では、着地点を起点に考えるほうが合理的ともいえるでしょう。もちろん、こうした分析が可能になった背景には、弾道測定器の飛躍的な進化があります。
フジクラも着目した「落下角」という新発想
先ほど、日本では比較的最近まで注目されていなかった数値だと説明しましたが、実は早い段階から落下角に着目した製品を発売していた国内メーカーがあります。
それが、現在国内シェアNo.1のシャフトメーカーであるフジクラです。同社は2023年に「TRAVIL(トラヴィル)」というアイアンシャフトを発売しました。中元調子で70グラム台から110グラム台まで幅広いラインアップを展開しており、落下角の増加を意識した設計が特徴となっています。
従来のアイアンシャフトは飛距離や方向性、振りやすさといった観点で評価されることが一般的でした。しかし、着弾後の止まりやすさという新たな視点を持ち込んだことで、フィッティングの考え方にも変化が生まれました。
アマチュアは「45度」を目標にしたい
では、我々アマチュアゴルファーにはどの程度の落下角が必要で、フィッティングではどのように活用すればよいのでしょうか。
先ほど、PGAツアーの選手は50度以上を目指していると説明しましたが、それはあくまでツアーセッティングのグリーンにおける話です。一般的なゴルフ場であれば、45度程度を目安にすれば十分でしょう。
ただし、落下角が40度を下回るとパーオン率が大きく低下するといわれています。グリーンを狙うクラブについては、最低でも40度以上を確保したいところです。
では、落下角を増やすにはどうすればよいのでしょうか。私はフィッターの立場から、クラブ選びの観点でお話しします。
一つは、ロフトを寝かせる方法です。同じ7番アイアンでも、ロフト28度のモデルと33度のモデルでは、同じように打てば後者のほうが高い落下角を得やすくなります。
ストロングロフトのアイアンを使用していて、なおかつパーオン率に課題を感じている方は、アイアンの見直しを検討する価値があるでしょう。
ただし、ロフトを寝かせれば落下角は増える一方で、飛距離が落ちる可能性があります。そこで現実的なフィッティングとして私がお勧めするのは、落下角が不足している番手をフェアウェイウッドやユーティリティに置き換える方法です。
フェアウェイウッドやユーティリティは、同程度のロフトでも高い打ち出し角を確保しやすく、結果として落下角を大きくできます。そのため、飛距離を維持しながら、アイアン以上のパーオン率を期待できるのです。
いかがでしたか。今回は近年、新たな指標として注目を集めている落下角について解説しました。
練習場で弾道測定器を使う際、多くのゴルファーは出球やスイングデータばかりに目が向きがちです。もちろんそれらも重要ですが、一度「ボールがどのように着地するのか」という視点から落下角を確認してみてください。新たな発見につながるかもしれません。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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