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- アイアンのストロングロフト化は終息へ? 7番アイアンのロフトから見る最新事情
7番アイアンのロフト角は、この20年ほどで大きく変化しました。一時は飛距離を追求したストロングロフトモデルが人気を集めましたが、近年はスコアメークを重視したクラブ選びへの変化も見られます。アイアンのロフトを改めて考えます。
ストロングロフト人気を変えた「飛距離」という魅力
皆さんは、自分が使っている7番アイアンのロフト角をご存じでしょうか。
フィッティングの際にお客様へ尋ねても、正確に答えられる人は3割にも届きません。フィッティングを受けるゴルファーでその割合ですから、全体ではさらに少ないかもしれません。
なぜロフト角を尋ねるかというと、アイアンのロフトは長年にわたって立つ方向へ進化してきたからです。(文/クラブフィッター・石井建嗣)

代表的なモデルで比較すると、約40年前の7番アイアンは36度前後、約20年前は34度前後が一般的でした。しかし2010年前後からストロングロフト化が加速し、現在では30度前後、あるいはそれ以下のモデルも珍しくありません。中には25度前後の、いわゆる「飛び系アイアン」も登場しており、もはや「7番アイアン」という名称だけでは性能を判断できない時代になっています。
ストロングロフト化が進んだ理由はシンプルです。飛距離が伸びるからです。
例えば36度の7番アイアンと25度のモデルを打ち比べれば、多くのゴルファーが飛距離の違いに驚くでしょう。ドライバーでは劇的な飛距離差を体感する機会は少ない一方、7番アイアンで20ヤード以上変わるケースもあります。これだけ違えば、多くの人が興味を持つのも自然です。
なお、「ストロングロフト」に明確な定義はありませんが、業界では7番アイアンで29度以下を指すことが多くあります。
飛び系アイアン人気を象徴した「RMX UD+2」
飛び系アイアンの代表格として挙げられるのが、ヤマハの「RMX UD+2」です。7番アイアンのロフトは26度で、フェースの反発性能も高く、「プラス2番手の飛び」をコンセプトに人気を集めました。
当時を振り返ると、このモデルは他のアイアンとは少し異なる売れ方をした印象があります。
2014年当時は、すでに飛距離性能を打ち出したアイアンは他メーカーからも発売されていました。しかし、「7番で180ヤード」というキャッチコピーや、「プラス2番手」という分かりやすいネーミングが多くのゴルファーの関心を集めました。
さらに、ショートホールで普段より短い番手を使えるという体験が口コミで広がり、その飛距離性能が評価されてヒットモデルになったと感じています。
一方で、「実質5番アイアンに7番の刻印を入れただけ」という冷ややかな声もありました。
しかし実際には、飛距離だけでなく、高い打ち出し角を確保しながら短い番手で打てる安心感も、多くのゴルファーに支持された理由だったと思います。このモデル以降、各メーカーから飛距離性能を重視したアイアンが数多く発売されました。
最近は「飛ぶ」だけでは選ばれなくなった
それから約10年が経ち、ストロングロフト化には以前ほどの勢いは見られなくなったように感じます。
理由はいくつか考えられますが、私が大きいと感じているのはフィッティングの進化です。
近年はアイアン選びで「落下角」が重視されるようになりました。落下角とは、ボールが最高到達点からグリーンへ落下する際の角度を指します。
最新のフィッティングでは、この数値を参考にクラブを選ぶケースが増えています。そのため、飛距離だけを追求したストロングロフトモデルは、以前ほど優先されない場面もあります。
アイアンは飛距離よりも、狙った場所へ止められる性能がスコアに直結するという考え方が広がってきたことも背景にあるでしょう。
とはいえ、私はストロングロフトを否定するつもりはありません。
使いたい人が、自分の目的に合わせて選べばよいと思っています。
「ストロングロフトではスイングが上達しない」という意見もあります。確かにダウンブローを強く意識しなくても飛距離が出るため、スイングづくりには向かない面があるかもしれません。
しかし、ゴルフは競技であると同時に娯楽でもあります。すべてのゴルファーが技術向上だけを目指しているわけではありません。
だからこそ、クラブ選びで最も大切なのは、自分のプレースタイルや目的に合った一本を選ぶことだと考えています。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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