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- フジクラ「SPEEDER NX BLACK」を試打 先中調子が安定性を高めた理由とは
フジクラの「SPEEDER NX」シリーズで唯一「先中調子」と位置付けられている「SPEEDER NX BLACK」を試打しました。先調子系シャフトの特徴である高弾道とつかまりを維持しながら、独自技術「VTCテクノロジー」によって安定性も追求したモデルの特性を、実測データとともに解説します。
先調子系シャフトの弱点をどう克服したのか
今回は、フジクラの「SPEEDER NX」シリーズで唯一「先中調子」と位置付けられている「SPEEDER NX BLACK」(以下、NXブラック)を紹介します。シリーズの他モデルはすべて中調子であることからも、NXブラックは異なるコンセプトで設計されたモデルといえます。実際の計測データや試打をもとに、その特徴を見ていきます。(文・クラブフィッター・石井建嗣)

まず、実際に測定した5S(50g台S)の振動数と、3球の弾道・計測値について紹介します。測定条件は長さ45.5インチ、ヘッドはピン「G440 MAX」、ヘッド重量202グラム(スリーブ込み)のドライバーです。

振動数は251CPMでした。同シリーズの「SPEEDER NX GOLD」(以下、NXゴールド)は254CPMだったため、大きな差はありません。ただし、以前にもお伝えしたように、振動数は手元側の硬さが数値に反映されやすい傾向があります。一般的に先調子系シャフトは先端を軟らかめに設計するため、手元側はしっかりした作りになりやすいのが特徴です。
あくまで筆者の推測ですが、もしNXゴールドと同様の設計思想で先調子化していれば、振動数は260CPM近くになっていた可能性があります。先調子系を好むゴルファーのニーズや、同社「VENTUS」シリーズとの位置付けを考慮し、あえて振動数を抑えた設計にしたのではないかと感じました。
球筋のばらつきが大きく感じられなかった

実際に試打してみると、筆者個人としては好みとは異なる振り心地でした。もともと手元がしっかりしたシャフトは得意ではなく、先調子系シャフト全般に同じ印象を持っています。
ただ、従来の先調子系シャフトと比べると、球筋のばらつきが大きく感じられなかった点は印象的でした。
フジクラは「SPEEDER NX」シリーズ以前に「Speeder EVOLUTION(エボ)」シリーズを展開していました。7年間続いたシリーズでは、奇数モデル(1・3・5・7)が先中調子、偶数モデル(2・4・6)が中調子という性格分けがされていました。
筆者はこれまで奇数モデルを何本も試打してきましたが、特に「エボ3」は手元が非常にしっかりしており、一方で先端は大きくしなる典型的な先調子系シャフトでした。飛距離性能は高かったものの、球筋のばらつきも大きかった印象があります。直近の「エボ7」は安定感こそ向上していたものの、決して暴れないシャフトという印象ではありませんでした。
NXブラックを打った印象は、そのエボ7に最も近いフィーリングでした。過去に計測したエボ7(5S)の振動数も250CPMとほぼ同等だったことから、筆者としてはエボ7を思わせる味付けを受けました。高弾道やつかまりといったエボ7の長所を残しつつ、弱点だった安定性を改善したモデルという印象です。
トルクを活用した「VTCテクノロジー」に注目

では、NXブラックの最大の特徴をもう少し掘り下げます。
エボ7の魅力は、ボールのつかまりやすさと高弾道でした。ボールがしっかりつかまることで初速を出しやすくなり、高い打ち出しによってキャリーを伸ばせるため、このような特性を好む女子プロも少なくありません。
一方で、先端が大きく動くシャフトはインパクト時の再現性が難しくなるというデメリットもあります。再現性の高いスイングができるツアープロであれば性能を引き出しやすいものの、一般のアマチュアゴルファーでは球筋が安定しにくくなるケースもあります。
その課題を改善するため、フジクラが採用したのが「VTCテクノロジー」です。これはシャフトの部位ごとにトルクをコントロールする設計思想で、NXブラックでは先端をしならせながらも、先端部のトルクを抑えることで安定性の向上を図っています。
トルクとは、一定の力を加えた際にシャフトがどれだけねじれるかを示す数値です。一般的にはトルクが大きいほどフェースターンが起こりやすく、ボールもつかまりやすいとされています。NXブラックでは先端部のトルクを抑えることで、先調子系シャフト特有の過度なつかまりを抑制し、方向性を高めようとしているわけです。
総合的に見ると、NXブラックは従来の先調子系シャフトの特徴を残しながら、安定性を高めたモデルという印象でした。筆者の試打では、高弾道とつかまりの良さを維持しつつ、方向性も改善されていると感じます。
今回の試打では、ボールがつかまる割にスピン量はやや多めでした。そのため、ロースピン性能を持つヘッドとの組み合わせであれば、さらに飛距離性能を引き出せる可能性があります。スライスに悩む人や、高弾道でキャリーを伸ばしたいゴルファーは、一度試してみる価値のある1本ではないでしょうか。
【解説】石井 建嗣(いしい・たけし)
香川県丸亀市で「ゴルフショップイシイ」を営むクラブフィッター。フィッター界の第一人者である浅谷理氏に師事し、クラブ&パターフィッター、TPIインストラクター、ゴルフラボ公認エンジニアの資格を持つ。ゴルフはHDCP「9.9」の腕前だが、自身のプレーより他人のクラブを“診る”ことに喜びを感じる職人肌。出演するYouTubeチャンネル「ズバババGOLF」では軽快なトークで人気を集める。
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