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- 「SDGsバッジ胡散くさ」そんな人にこそ知ってほしいアディダスとGDOの“本気すぎるサステナブル”
国連が定めた「世界海洋デー」である6月8日、アディダスとGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスは環境保護についてのプレゼンテーションを行い、アディダスは製品の100%をリサイクル素材化、GDOはコースからのペットボトルの一掃を明言しました。
アディダスは2年後に製品の100%をリサイクル素材に
国連が定めた「世界海洋デー」である6月8日、アディダスとGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスは「#PLAYSUSTAINABLE -サステナブルでスマートなゴルフを」と題するイベントを同コースで開催。両社から環境保護についてのプレゼンテーションが行われました。
こう聞くと「ハァ、またSDGsネタですか。大企業がご時世的に仕方なく“やってる感”出すのに精を出してるアレね。実効性は怪しいもんだよね」などと、斜に構えた第一印象を持ってしまう方も、ごくごく少数いるかもしれません。何を隠そう筆者も、SDGsバッジをつけている人を見ると「この人、本当にそんな環境に配慮した生活をしてるのか?」と、胡散臭く感じてしまうごく少数の1人でした。
しかし、そういう人にこそこの記事を読んでいただきたいのですが、プレゼンテーションを聞くに従い、「この両社はかなりの本気度で環境負荷軽減に取り組んでいるのだな」と、納得せざるを得ない内容でした(筆者、チョロいですかね……)。
まず、アディダスが打ち出したコミットメントは「2024年までにすべての製品においてバージンポリエステルの使用を廃止し、リサイクルポリエステルを使用する」というもの。同社はこれを「END PLASTIC WASTE」というスローガンに集約し、要するに「プラゴミ・ゼロ」に全社挙げて徹底的に取り組んでいくということなんですね。
「2024年て、もう2年後じゃん。そんなこと可能なの?」と、何事もひねくれた見方をする筆者は思いましたが、アディダスのような世界的大企業が何の根拠もなくそんな高い目標を公にするわけもありません。
「すでにアディダス全製品の約70%、ゴルフは特に力を入れていて約90%がリサイクル素材を使って生産されています」(アディダスゴルフAPACブランドマネージャー・木戸脇美輝成氏)とのことでした。
同社はこうしたリサイクル素材の使用にとどまらず、自社製品を回収して新たに作り変えたり、自然に返る素材で製品を作る取り組みをすでに始めています。
なんと、あの名作スニーカー「スタンスミス」を“キノコ”をベースとした素材で作ったモデルが存在するそうです。
ペットボトルを一掃する代わりにMYボトルと飲料を安価で提供
一方でGDO茅ヶ崎ゴルフリンクスのコミットメントは以下の3つ。
1.2022年末をメドにコース内でのペットボトル販売を廃止(MYボトル推奨)
2.7月1日から、コース内の使用電力を再生エネルギー100%に切り替え
3.近隣小学校のSDGs委員会と連携し、コースの問題解決を進める
同コースが環境保護への取り組みを本格化させるきっかけとなったのが、昨年アディダスとのコラボレーションで同様のイベントを行ったことだそう。
「私が登壇したときに、サステナビリティーに関するイベントにもかかわらず手に持っていたのがペットボトルだったということに気づき、これはイカンと。そうしてみると、コース内の自販機はペットボトルだらけで、真剣に考えていかないと……と思うに至りました」(GDO茅ヶ崎ゴルフリンクスGM・伊藤修武氏)
誤解のないように付け加えると、実はペットボトルは現在、100%のリサイクル率を実現しており、バージンプラスチックは使用されていないといいます。ですからペットボトルは必ずしも悪者ではないのですが、同コースはものの2~3分で湘南の海に出られるシーサイドコース。海や浜辺へ直接のポイ棄てや川から流れてきた家庭ゴミなど、結局は人間のモラルのなさが海を汚します。そうしたことを考慮してのペットボトル一掃ということです。
しかしながら、ゴルフ場は熱中症のリスクが高い場所。当面は経過措置を取りながら、MYボトル推奨を利用者へ徐々に周知していくと言います。
とはいえ、人間なんらかのインセンティブがないと動かないもの。同コースではアディダスとコラボしたMYボトル(市価6000円程度のもの)を「圧倒的に安い価格」(伊藤氏)で販売するほか、クラブハウス内カフェのデトックスウォーターやスポーツドリンクをこれも「圧倒的に安い価格」で提供していくとのこと。足元見ない感じがいいですね。
ゴルフ場は環境だけでなく社会的にも持続可能性が重要
忘れてならないのが3番目の近隣小学校との連携。「SDGs委員会」が小学校にあるというのも時代だなあと感じますが、こうした地域とのつながりを大事にすることもゴルフ場としてのサステナビリティー(持続可能性)にとっては大事なこと。サステナビリティーというと、どうしても環境保護の側面にばかり目が行きがちですが、地域で必要とされるという社会的側面もゴルフ場が存続していくためには必須です。特に同コースは主たる地権者である県が暫定的に5年のゴルフ場営業を認めている状態。地域密着がその後も存続するための生命線なのです。
現在はゴルフを始める若者が増えているとはいっても、2025年にはそれを大きく上回るシニアがゴルフ場から姿を消すと言われています。おそらく2000余りある今のコース数を日本で維持することは難しく、会員に愛され、地域に愛され、伊藤氏もプレゼンで言ったように「ここにゴルフ場があって幸せだよね」と言われるコースでなければ生き残っていけないでしょう。
環境問題は「セクシーに取り組むべきだ」と言って炎上したどこぞの環境大臣がいました。とはいえ、私たち個々人はまなじりを決してというよりは、自らや大切な誰かの幸せにつながると思って「ハッピーに」いったほうが、取り組みそのものも持続可能なんじゃないでしょうか。
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