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- アスリート御用達! スリクソンの軟鉄鍛造アイアン「ZフォージドII」と「ZX7 MkII」を試打比較
本格的なアスリート向けアイアンとして、同じカテゴリーに属するスリクソンの「Z フォージド II」と「ZX7 MkII」。ゴルフライターの鶴原弘高が、メーカー各社の新製品を比較試打して性能を検証する定例企画「ギアくら―Gear Comparison club―」。第5回目は、国内外のダンロップ契約プロが使用している軟鉄鍛造アイアン2モデルを取り上げます。
打点部分を肉厚にすることで打感の向上を図った2モデル
アマチュアゴルファーが真剣にゴルフに取り組み始め、ギアに対しての知識が深まると、軟鉄鍛造のアイアン(フォージドアイアン)に憧れを抱くようになります。この記事を読んでいる方の中にも、アイアン選びの第一条件として“ヘッドが軟鉄鍛造であること”を挙げる人もいるのではないでしょうか。
鍛造アイアンといっても、その素材は一つではありません。近年では製造技術の進化によって、ヘッド素材に高強度で反発性能が高いクロムモリブデン鋼(クロモリ)を使った鍛造製法のモデルもあり、またボディー部とフェース部を別素材にして、ボディー部だけを軟鉄鍛造にしているモデルなども存在します。
スリクソンの「ZフォージドII」と「ZX7 MkII」は、どちらもヘッド素材にS20Cという軟鉄が使われています。S20Cは、昔からゴルファーに愛されてきた軟鉄鍛造の代表的なヘッド素材であり、この2モデルはボディー部とフェース部が一体鍛造されていて、まごう事なき本格アスリート向けのフォージドアイアンといえます。言い換えれば、飛距離ではなく、正確性や操作性を引き上げるために開発されているモデルです。
ただし、「ZX7 MkII」のほうには3番から7番までのヘッドのトウ側にタングステンが加えられています。これはヘッドの重心位置設計のための一つの手法であり、寛容性を高めるためのもの。ちなみに「ZX7 MkII」は、2023年の「全米プロゴルフ選手権」を制したブルッククス・ケプカの使用アイアンでもあります。
どちらの製品名にも「II」が使われていることから分かるように、「ZフォージドII」と「ZX7 MkII」はそれぞれ二代目のモデルとなります。
「ZフォージドII」を初代モデルと比べると、ブレード長は短くなり、オフセットが少なく(よりストレートネックに)なりました。初代モデルよりもシャープ感を感じるヘッドになっています。
「ZX7 MkII」のほうも前作よりヘッドがほんの少しだけ小ぶりになり、よりシャープな印象を与えるようにつくられています。とはいえ、前作がかなり好評だったからか、あえてサイズやヘッドシェイプを大きく変えていないようにも感じられます。前作の「ZX7」からスイッチしても何も違和感はないでしょう。
前作比でいうと、2モデルともバックフェース部の造形が大きく進化しています。スリクソンでは「PUREFRAME」と名付けていますが、打感をより良くするために打点の裏側部分が肉厚に設計されていて、どちらのモデルもフィーリング面の向上が図られています。
ヘッドシェイプはよく似ており、最も異なるのはサイズ感
■構えてみると:
「ZフォージドII」と「ZX7 MkII」を構え比べてみると、やはり同じブランドの製品なのでヘッドシェイプはよく似ています。これまでのスリクソンらしいヘッド形状を踏襲していて、どちらかいうと引っ掛けのミスが出づらそうな印象を抱きます。2モデルを構えたときに感じるいちばんの違いは、やはりヘッドサイズ。「ZフォージドII」のほうが小ぶりで、よりアスリートライクな雰囲気です。
そもそも初代モデルの「Zフォージド」は、巷では本格マッスルバックといわれてきましたが、実はそれほど手ごわいモデルではありませんでした。ブレードタイプにしてはヘッドサイズが大きめで、女子プロのなかにも使用選手がいたことからも分かるように、案外やさしく打てるブレードタイプのフォージドアイアンだったのです。
それが2代目になって、ヘッドの見た目からして本格的なプロユースに進化しています。メーカーとしては、寛容性を高めたモデルとしてタングステンを備えた「ZX7 MkII」を用意しているので、2モデルの差別化を図ったのだろうと推測できます。
球のつかまり感に2モデルの違いがある
■「ZフォージドII」試打クラブのスペック:番手:7番(33度)。シャフトはオリジナル「ダイナミックゴールド DST」S200
■「ZX7 MkII」試打クラブのスペック:番手:7番(32度)。シャフトはオリジナル「「ダイナミックゴールド DST」S200
2モデルを打ち比べてみると
「ZフォージドII」は7番が33度、「ZX7 MkII」は32度のロフト設定になっています。弾道計測してみると、このロフト通りの差が出ました。弾道の最高到達点は「ZフォージドII」のほうが少し高くなり、飛距離に関しては「ZX7 MkII」のほうが少し飛びます。
「ZX7 MkII」は、PUREFRAME構造によって前作よりも打感が柔らかく進化しています。しかしながら、それでも「ZフォージドII」の打感の柔らかさには及びません。この2モデルを打ち比べて打感の優劣をつけるなら、「ZフォージドII」に軍配が上がります。誤解のないように付け加えておくと、軟鉄鍛造アイアンとしては「ZX7 MkII」の打感も最上レベル。さらに柔らかいフィーリングを備えているのが「ZフォージドII」ということです。
試打は「ZフォージドII」から打ち始めましたが、意外にも打ちやすい! 小ぶりだから振りやすいというだけではなく、芯に当てやすいという表現のほうが的確かも。他メーカーのブレードタイプのアイアンには、もっと手厳しいモデルがありますが、そういう打ちづらさを「ZフォージドII」には感じません。おそらくゴルファーがヘッド形状から受ける印象と、ヘッド自体の重心バランス、ソールの抜け感などがトータルで優れているのでしょう。
そのまま「ZX7 MkII」に持ち替えて打ってみると、「あれっ?」と驚くぐらいに弾道がドローに変わりました。同じシャフトを装着した番手で同じように振っても、「ZフォージドII」でストレート弾道なら「ZX7 MkII」でドロー弾道、「ZフォージドII」でフェード弾道なら「ZX7 MkII」でストレード弾道になります。これは打ち手にもよるでしょうが、著者の場合は2モデルで球のつかまり感の違いを大きく感じました。
もう一つの違いは、ヘッド挙動の安定性です。ヘッドのトウ側にタンスグテンを備えている「ZX7 MkII」のほうがスイング中のヘッド挙動を安定させやすく、それが弾道の直進性にも寄与します。どちらのヘッドも操作性が良くて弾道の打ち分けが可能ですが、スイング軌道がズレたときの寛容性は「ZX7 MkII」が勝っています。
プロユースの軟鉄鍛造にも打ちやすさを加えるスリクソンの巧みさ
どちらのモデルも、優れたフォージドアイアンとして太鼓判を押せます。ヘッドサイズやデザインだけでなく、打ち比べてみると性能的にもうまく差別化されていて、なおかつ両モデルともに打ちやすい。隠し味のように、スリクソンならではの打ちやすさがヘッドに秘められている印象を持ちました。
2モデルのどちらを選ぶべきかは、ゴルファーが求めるものや好みによります。操作性と打感を重視し、純粋無垢な軟鉄鍛造アイアンを使いたい人には「ZフォージドII」がオススメ。少し飛ばしやすいロフト設定で、直進性も担保された現代的なアスリート向けフォージドを使いたい人には「ZX7 MkII」をオススメします。
性能差として球のつかまり感について言及しましたが、正直にいってこれは“慣れ”でカバーできるぐらいの差です。あくまでも著者の場合、持ち替えるとこうなったというだけで、それほど気にとめる必要はないことも重ねて付け加えておきます。
試打・文/鶴原弘高
つるはら・ひろたか/1974年生まれ。大阪出身。ゴルフ専門の編集者兼ライター。仕事のジャンルは、新製品の試打レポート、ゴルフコース紹介、トレンド情報発信など幅広く、なかでもゴルフクラブ関連の取材が多い。現在はゴルフ動画の出演者としても活躍中。ギア好きゴルファーの会員制コミュニティサイト『3up CLUB』(https://3up.club/)では、配信される動画のキャスター兼編集長を務めている。Instagram :tsuruhara_hirotaka
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