真っすぐ動かすと真っすぐ転がらない!? 理想のパッティングに必要な動きとは? | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

真っすぐ動かすと真っすぐ転がらない!? 理想のパッティングに必要な動きとは?

14本のクラブの中で、最も使用する頻度が高いのがパター。全ストロークの3~4割程度を占めるパッティングの回数が減れば、スコアはアップするし、安定したゴルフができるようになるはず。ツアープロコーチの大本研太郎氏に、パッティング上達のコツを教えてもらった。今回のテーマはヘッド軌道について。

フェースは開閉するように設計されている

「ボールを真っすぐ転がすためには、ヘッドを真っすぐ引いて、真っすぐ出さなければいけない」、「フェースを常にターゲットに向けておかなければいけない」と思っているゴルファーは多いですよね。

 しかし、ストレート軌道やフェースを真っすぐキープしてストロークするのは間違いです。

トゥ側を上に向けてバランスを取ろうとしても、ヘッドがクルっと回ってトゥが下を向く。パターはフェース向きを一定にしづらい設計になっている

 ヘッドやフェースを真っすぐ動かすには、体を左右に大きく動かしたり、頭を左右に振ってストロークするなど、軸をズラし、不安定な動きをしなければいけなくなります。これでは再現性が著しく低下し、思ったところにボールを転がせません。

 ストレート軌道やフェースを真っすぐ向けたままストロークしてはいけないのは、パターが偏重心設計であること、パターにライ角があることが理由にあります。

ライ角通りに振れば自然に正しい軌道になる

 クラブはシャフト軸線上に重心がありません。パターを横にし、トゥ側を上に向けてバランスを取ってみてください。ヘッドがクルっと回転して、トゥ側が下を向きますよね。

ライ角が90度ならストレート軌道で問題ないが、パターのライ角は70度前後。扇状に動くのが理想の軌道

 ヘッドが回転するということは、フェース向きが変わるということ。つまり、フェースは開閉するように設計されているわけです。

 これは、フェースバランスのパターでも同じ。また、バランスを取ると、トゥ側が上を向くように設計されているパターもありますが、こういったモデルでも一度動き出せばフェースは開閉しようとします。

 もうひとつの理由がライ角の存在。ライ角とは、クラブの底の部分(ソール)を地面に置いた時に、シャフトと地面の間にできる角度のことです。

クラブの慣性を生かせば自然にイントゥイン軌道になる

 もしもライ角が90度であれば、「ヘッドを真っすぐ引いて真っすぐ出す」が最も安定する軌道になります。

 しかし、ルール上、ライ角90度のパターは禁止されており、一般的なパターのライ角は、70度前後に設計されています。

理想軌道はイントゥインだが、意図的に扇状に動かすのはNG。パターの慣性を活かした結果、イントゥインになるのが理想

 では、フェースが開閉するように設計され、ライ角が70度あるパターは、どうやって動かせばいいのか。その答えは、パターの慣性に逆らわずにストロークすること。

 アドレスの軸をブラさず、パターが動きたいように動かしてあげれば、ヘッドやフェースの動きを管理することができます。

 パターの慣性を活かしてストロークすると、ヘッドは扇状に動きます。つまり、イントゥインが最も安定するヘッド軌道ということになります。しかし、意図的にイントゥインに動かすのはNG。

「バックスイングでインサイドに引く」、「フェースを開閉させる」など、自分の力でヘッドやフェースの動きを作るのも慣性に逆らうことになるからです。

 何より大切なのは、パターの動きを邪魔しないこと。この原理を知っておくことが、パッティング上達の第一歩といえるでしょう。

取材協力・GPC恵比寿

【指導】大本研太郎(おおもと・けんたろう)

1974年生まれ。レッシュプロジェクト・マスター級トレーナーの資格を所持。データと理論に基づくティーチングの他、マネジメントやメンタルの分野にも精通したレッスンに定評がある。2018年PGAティーチングアワード最優秀賞を受賞。プロコーチとして、東浩子、藤田さいき、臼井麗香らの指導も行っている。「GPC恵比寿」主宰。

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理想軌道はイントゥインだが、意図的に扇状に動かすのはNG
ヘッドを真っすぐ動かそうとすると、スエーやリバース・ピボットなどのエラーが起こりやすくなる
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