日本と海外ではちょっと意味が違う!? 優勝した選手がブレザーを着るのはなぜ? | e!Golf(イーゴルフ)|総合ゴルフ情報サイト

日本と海外ではちょっと意味が違う!? 優勝した選手がブレザーを着るのはなぜ?

ゴルフのトーナメントでは、優勝した選手がジャケットやブレザーを着る姿をよく見ます。では、どのような背景があって行われているのでしょうか。

一代限りの特別会員として迎える

 テレビで放送されるプロのトーナメントでは、最終日に全員がホールアウトした後、優勝者をたたえるためのセレモニーが行われます。

2022年マスターズを優勝したスコッティ・シェフラーにグリーンジャケットを着せる21年覇者の松山英樹 写真:Getty Images
2022年マスターズを優勝したスコッティ・シェフラーにグリーンジャケットを着せる21年覇者の松山英樹 写真:Getty Images

 式典では、優勝トロフィーや賞金、副賞がスポンサーの責任者などから授与されるほか「ウィナーズジャケット」や「チャンピオンブレザー」と呼ばれる上着を羽織るシーンを見たことがある人も多いかもしれません。

 なぜゴルフの試合では「ジャケット」や「ブレザー」を着る風習があるのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は以下のように話します。

「結論から言うと、日本のトーナメントで実施される優勝セレモニーは『マスターズ』を表面上まねしただけのものになりつつあるのが現状です」

「世界4大大会の一つとして知られる『マスターズ』は、前回大会の優勝者がその年優勝した選手にオーガスタナショナルゴルフクラブの会員の証である『グリーンジャケット』を着せてあげるのが伝統です」

「そして、グリーンジャケットの授与には『あなたを一代限りの特別会員として迎え入れますよ』という意味が込められています」

「後に、日本でもマスターズでの習わしを参考にして、トロフィーなどと合わせてジャケットを着用させることが一般化しました」

「しかし、国内のゴルフ場ではメンバーシップのジャケットを作っていないところが多いため、あくまでも式典をより華やかに見せるものでスポンサーが用意しているのが基本です」

 マスターズのグリーンジャケットは表彰式用の仮のもので、後日改めて採寸されたフルオーダーメイドの「本物」が作られます。

 また、アメリカ女子ツアーの「シェブロン選手権」では、優勝者が18番ホールの池に飛び込むのが「お約束」となっているため、ジャケットの代わりに「チャンピオンズローブ」と呼ばれるバスローブが渡されます。

専用ロッカーが与えられる場合もある

 飯島氏は優勝者にはジャケット以外にも「特別会員になった証」として送られるものがあると話します。

「優勝した、もしくは深く関わったゴルフ場内に、ネームプレートの付いた専用ロッカーが設けられることもあります。日本ではあまり目にするケースは少ないですが、例えば茨城県の石岡ゴルフクラブには『帝王』ことジャック・ニクラスがコース設計に携わったとして彼のためのロッカーが作られました」

「ほかにも、宮崎県のフェニックスカントリークラブにはタイガー・ウッズやトム・ワトソンなど歴代優勝者の名前が書かれた専用ロッカーが作られています」

「ジャケットと同様にパフォーマンス的要素が強いのですが、一般用のロッカールームにあるので『あの有名ゴルファーもここを使ったんだな』と気持ちも高まります」

 マスターズのグリーンジャケットは、1年だけ持ち出しが許され、その後はクラブハウスに返却し、以降はコース内でのみ着用が許されるシステムが取られています。

 ウィナーズジャケットに込められた意味や価値は、日本の通常トーナメントと海外の由緒正しいものとでは大分異なるようですが、優勝者の栄誉を称賛するものとしては変わりません。選手たちのプレーそのものだけでなく、優勝式典の内容についてよく見てみるのも面白いかもしれません。

【写真】「ウソ! マックより安いじゃん」 マスターズ会場のフードメニュー表や名物のサンドイッチを見る

画像ギャラリー

2022年大会のメニュー表
「マスターズクラブ」という名のついたハムとチーズのサンドイッチ
スナック類の品揃えが豊富で安い
右手にビール、左手には飲み終わった大量のカップを持つパトロン
カメラを向けると笑顔で応えてくれたスタッフの皆さん
マスターズの会場内に数カ所あるコンセッションスタンド(売店)
2022年マスターズを優勝したスコッティ・シェフラーにグリーンジャケットを着せる21年覇者の松山英樹 写真:Getty Images
「禁止されている品目」として、大きく注意喚起されている
電子機器(携帯電話、ノートパソコン、タブレット、ポケットベル等)、ラジオ、テレビや音楽再生機器、旗、横断幕等、カメラ(静止画を個人的に使用するだけなら練習日は撮影可能)、足先の尖ったイス、折り畳みのひじ掛けイス、折り畳みでないイス、ベビーカー
飲食物、メタルスパイクシューズ、はしご、潜望鏡、セルフィー・スティック、約25センチ×25センチ×30センチ以上のリュックやバッグ
スマホ完全禁止のマスターズでは、外部と連絡をとる手段は公衆電話のみ

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