筋肉を覆っている薄い膜“筋膜”の滑りを良くする“筋膜リリース”
コリン・モリカワが通算6勝目を挙げた米ツアー、ZOZOチャンピオンシップ。PGAのトッププロに伍して、石川遼や小平智ら日本選手も優勝賞金2億2900万円をめぐりエキサイティングな戦いを繰り広げました。

そんな熱戦の裏側、選手しか入れないホスピタリティールームでは、試合の推移とは別に“あるモノ”が設置されて話題になったそうです。
それは米国ハイパーアイス社(本社・米カリフォルニア州)が開発・販売しているマッサージガン。設置されたのは「ハイパーボルト2」「ハイパースフィア」「ハイパー3」の3機種。いずれもピストルのような形をした先端を肩や腰などの患部に押し当てると振動が伝わり、疲労回復を促したり運動機能を引き出したりするウェルネス機器です。
サッカー、野球、フットボール、テニス、陸上、トライアスロンなどさまざまな競技の有名アスリートが同製品を愛用。ゴルファーでも、今回ZOZOチャンピオンシップに出場したリッキー・ファウラーをはじめ、ローリー・マキロイ、トニー・フィナウといったビッグネームがツアー転戦中のコンディショニングやケアを行うPGAツアー公認のデバイスです。
トッププロも愛用するマッサージガンでどのような効果が得られるのか。ハイパーアイス社の国内正規販売代理店の(株)ツインズの担当者は次のように説明します。
「同製品は、疲労回復や運動機能を引き出すために開発されたデバイスです。プレー後の疲労回復はもちろん、ラウンド前の緊張や力みを取り筋肉を緩めるには、筋肉の柔軟性を高めること。そして関節の可動域を広げていくことが大切です。それには筋肉を覆っている薄い膜、つまり筋膜の滑りを良くして“筋膜リリース”を行う必要があります。このデバイスは筋肉を弛緩させ、柔軟性と可動性を高めてくれるのです」
同製品のアンバサダーでもあるローリー・マキロイは、ツアーにもよく携行しているようです。
「練習している時などにちょっと気になるところがあったり、緩めたいところがあったりした時にすぐ使うことができるからです。コンパクトかつ軽量で使い勝手がいいから、キャディーバッグ用のホルダーにつけてどこにでも持ち運びます」
一般ゴルファーもラウンド後のクールダウンやケア、またスタート前のウォーミングアップとしてストレッチ効果を期待したくなります。
とはいえ、「家電量販店でマッサージガンをいくつか試したことがあるけど、他社製品とどこがどう違うの?」と疑問を持つ方も多いと思います。
「モーターが大きいからパワーが強く、ストロークが大きい。それによって奥のほうの患部までしっかり振動が届くのが特長です。効いているかわからないような弱い振動ではないので、骨に当たると痛いこともあります。また、パワーが小さい機器ではアタッチメントを押し付けると振動が止まることがあるようですが、同社の製品は、そのようなことはほとんどありません」(前出・ツインズ)
プレー前は鎖骨の下、左右30秒ずつ、計1分
ゴルフの前後にも、日々のデスクワークによる肩凝りや腰痛解消にも使ってみたいと興味がわきますが、何事も三日坊主の飽きっぽい人にアメリカ生まれのマッサージガンを使いこなすことはできるのでしょうか。
そんな疑問に答える動画がハイパーアイス社のサイトにありました。PGAツアー、フィットネススペシャリストのアレックス・ベネット氏が次のように使い方を解説しています。
「正しいゴルフスイングをするには、肩の回転が非常に重要です。ハイパーアイス社のマッサージガンは、体の内側だけでなく、スイングに必要な外側の筋肉も緩めます」
「まず鎖骨のすぐ下にある凝った筋肉を見つけてください。その周辺に30秒ほどアタッチメントを滑らせます。するとパワフルな振動によって筋肉がほぐれ、関節が自由に動くようになります。筋肉の内部と外側が硬くなるのを防ぐ効果があります」
「プレー後は肩が凝らないように、またゴルフスイングを正しく行うために、肩上部(僧帽筋)の凝りを見つけてほぐすことが重要です。これを約30秒間、常に両側に行なうようにしてください。肩甲骨と頚椎の間(首の付け根の後ろ側)にも30 秒間アタッチメントを滑らせましょう。筋肉が緩むのを感じると思います」
「ゴルファーはもちろん、特に、一日中机に向かい座っている人や頻繁に旅行する人にもオススメです。肩凝りが解消し、肩が動かしやすくなります」。
プレー前は、鎖骨の下、左右30秒ずつ。計1分。
プレー後は、肩上部、首の付け根後ろ側、それぞれ左右30秒ずつ。計2分。
たった1分か2分なら…とゲンコツで当該部位を叩いてみました。気持ちよくほぐれるのが分かりますが、トータル1分、自分の手で鎖骨の下を叩き続けるのは、かなり大変。肩上部と首の付け根後ろ側は、そこへ手を持っていくだけで腕が疲れてしまい、速く強く叩くことさえ無理でした。やはりこうした機器に頼ることは、体が硬くなってきた人にはなおさら必要なようです。