今の時期は最大で52組前後、プレーヤー数210人前後
トップシーズンを迎えて各地のゴルフ場が大混雑しています。とある週末、パー3のティーイングエリアでなんと4組待ちの事態が発生していたという話を知人が報告してくれました。
ホールの距離や難易度にもよりますが、パー3のホールをプレーするには1組おおむね10分程度かかるといわれます。4組目の人たちは、ティーショットを打てるようになるまで下手をすると30分以上ここで待たねばなりません。イライラを通り越してあきらめの境地、あるいは暗くなる前に18ホール回りきれるか心配するレベルの大渋滞といえるでしょう。

ゴルフコースを回る人数には限りがあります。18ホールのゴルフ場では1日に最大何組がスタートできるのでしょうか。関東の複数のゴルフ場に問い合わせたところ、いくつかのゴルフ場関係者が話を聞かせてくれました。
そこから見えてきた標準的な組数とその決め方は次のようなものです。
・1日にスタートできる組数は季節によって変わる。気象庁や国立天文台等から発表される日の出、日の入り時間の観測値を元にトップスタート、最終スタートの時間を決めている。
・今の時期は最大組数52組前後、プレーヤー数は最大210人前後。しかし、現実的に200人を超えることはほとんどない。
・年が明けると徐々に日が長くなる一方、寒さは厳しくなるため、10月から1月までの組数は同じ。2月に入ると54組前後に増え始める。
・夏場、特に6月前半の梅雨入り前は最も日が長く陽気もよいため、最大60組、240人までスタートさせることが可能。ただ、現実的には約220人が限界。60組入れる場合は、同時にかなりの待ち時間が出ることを想定する。
10月、11月はゴルフのベストシーズン。コースコンディションも最高です。それに加え今年の夏は猛暑でゴルフを控えていた人も少なくなかったでしょうから、この時期に満員御礼のゴルフ場が多いのも分かります。
しかし、あるゴルフ場の関係者は、こう複雑な胸中を語ります。
「秋晴れの続く週末には、サイトの予約枠がいっぱいだからと、直接電話で予約をとろうとするお客さんが多数います。しかし、ほとんどはお断りせざるを得ない状況です。秋が深まる11月は、1年で最も日の入りが早い冬至(12月22日)に向かって日に日に日没が早まっていく時期でもあるからです。プレーヤー全員が日没前に余裕をもってホールアウトできるよう、なるべく45~46組に抑えているのが現状です」
経営面では一人でも多くのプレーヤーを入れて利益を上げたいのが本音でしょうが、だからといってMAXの組数までスタートさせてしまうと、進行に支障が出ることは明らかです。それではプレーヤーにとってはゴルフになりませんし、ゴルフ場にしても本来提供すべきホスピタリティーがおろそかになりかねません。
予約に応じてMAXまで入れるか、進行重視のために抑えるか。多くのゴルフ場はぎりぎりのところで悩み、日々苦渋の決断を下しているのでしょう。
グリーンオンしたら後続組に打たせる「コールオン」は行うべき?
ところで、冒頭のパー3。3組も4組も待っている場面では、コールオンをかけて後ろの組にティーショットを打たせるべきなのでしょうか。進行は早くなるものか、なるとすればどれだけ効果があるのかも、今回複数のゴルフ場関係者の見解を聞いてみました。
「グリーン上のプレーには4人で2分、大きいグリーンだと4分かかるといわれます。加えて、200ヤードを移動するのにも2分近くかかります。コールオンすれば2つを同時に行うことができるので、前の組がグリーンのプレーをしている間に移動を済ませられます。200ヤード近くある長いパー3やアゴの高いバンカーがある難しいパー3などでは、かなり有効だと思います」
「やるかやらないかであれば、やったほうが多少でも時間面ではプラスに働くでしょう。ただ、ティーショットはできても、グリーンを外したときにアプローチは打てません。その場合は2打目地点で待ち、グリーンが空いてから打つわけですから、5分も6分も短縮することはできません」
「大勢のギャラリーの前で緊張してOB続出。1組4人でトータル6発も7発も打つケースがあります。それだとグリーンに乗る前にボールを見に行ったり拾いに行ったりしなければなりませんから、さらに後ろの組を待たせることになります。前の前の組も詰まっているようなときは、無理せず先に行ってもらってもいいかもしれません」
ゴルフ場は適正な組数をコントロールし、プレーヤーはいいプレーをし、お互い渋滞解消に努めたいものです。